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始まりの兆し
岡を切り抜いた場所に、その学校はあった。
南学大学附属小学校。
古びた校舎からは、長年の歴史を感じる。もう、100年以上その学校はそこに建ち続けていた。
そんな学校より、もっともっと長生きの木がある。
校庭の目の前に立つ大きな楠木。第二次世界大戦中も、どんなときでも学校を守り続けていた木。
そんな木の周りには、放課のたびにたくさんの生徒が集まってきて、木登りをしたり、木のブランコに乗ったりする。
生徒はみんな、その木が大好きだった。
私もまた、例外ではなかった。
だけど、楠木なんか気にしていられないほどの大事件が起きたのです。
はたから見たら、何でもない事かもしれない。
だけどそれは、私にとって人生を左右する大事件だった。
そう、その事件が全ての始まりの兆し。
私や、私の周りの人に関わる大事件・・・。
たくさんの人を傷つけ、自分をも見失ってしまうほどの大事件の始まりでした・・。