第二話 言葉の意味。
顔を赤くし、何度も振り返り手を振る舞子の姿は、本当に嬉しそうだった。
家に帰るとすぐに、俺は思いつくままに欲しい物をノートに書き出した。
『ゲーム』
両親に誕生日プレゼントとして買ってもらう予定だし。
『新機種のスマホ』
これも中学に入ったら入学祝いに親が買ってくれるって言ってたし。
第一、友人から買ってもらわないだろう、普通。
『ニーチェの全集』
こんな高額な物、ありえない。
『CD』
好きな曲はネットで落としちゃってるから必要なし。
『サッカーボール』
中学に行っても続けるかどうか微妙だしな。
『チョコりんに付いてくるレアなおまけ』
……問題外。
「こうしてみると難しいもんだな」
次々とバツが付けられてゆく品々に、俺はため息を漏らした。
ふと窓の外へと視線を移す。
青空に今まで見たことのない、くっきりとした虹が描かれていた。
途端、脳裏に虹に負けないくらい、鮮やかな笑みを浮かべる舞子の姿が浮かんだ。
「舞子に見せてやりたいな」
綺麗な物が大好きな舞子。
この虹を見たら大喜びするに違いない。
「そうだ、携帯!」
写真に撮ろうと思い立ち、傍らにある携帯に手をかけた瞬間、俺はあることに気付いた。
「……そうゆうことか」
その時、俺は一番という言葉の意味を理解した。