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大好き!  作者: 七海 華
17/19

第十七話  運命の日。

 いつもより長いはずの春休みも、舞い散る桜の花びらと共に、風のように過ぎていった。


 そして運命の日。


 クラス分けの掲示板の前には、既に人だかりができていた。




「一緒のクラスだといいな」




 中等部にはクラス替えがない。


 一年で同じクラスになれるかどうかで、私の中の幸福度はかなり変わる。




「六クラスあるからな……さすがに無理かも」




 無理かもって優希君。


 そんなにあっさりと。


 私は何がなんでも、一緒のクラスになりたいのに。


 確立は6分の1。


 算数の苦手な私には、高いんだか低いんだかわからない数字だ。


 でも優希君が無理って言うんだから、無理なのかな。


 せっかく同じ中学に通えるようになったのに、入学式の喜びなんて全然ない。


 クラス割りのことなんて忘れてたよ。




「あっ、あった」




「はやっ!」




 暗い気持ちに掲示板を見るのを恐れていた私の思いなど、全く気付いていないかのような優希君の声に、ツッコミのようなノリで言葉を発してしまった。




「ほら、A組のところ」




「優希君はA組か」




 私は何組だろう。


 ああ、見るのが怖い。




「舞子もだよ」




「へっ?」




「舞子もA組」




「嘘っ!?」




 そんなラッキーなことあるはずない。


 信じられない思いに、急いで掲示板へと顔を向けた。




「あった!」




 上下に並んだ矢神優希と夢野舞子の文字。




「あったよ、優希君!」




 信じられない。


 まさにミラクル!




「あった、あった!」




「合格発表じゃないんだから」




 感極まり涙ぐむ私に、優希君は呆れ顔だった。


 でも、その目は優しく笑っていた。




「三年間、よろしくな。舞子」




「うん」




 三年間という響きが嬉しくて、私は満面の笑みで大きく返事をした。






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