キララ「二対の想い」アキ「俺とナナ」
初の水曜日投稿。どのぐらいのペースで書いたりUPしたりしたらいいのかわかりません。
Aki「無茶なことをやるのが好きだよな」
それが、私です。
Nana「M?」
違う!!それだと努力家とか全員Mになるじゃん。
Aki「まあ、そう、なのか?」
そうなのです!!行きますよ。
Aki・Nana・Tsubasa「銀幕のあける舞台。さぁ、物語の始まりだ」
「まず、頭の中ごちゃごちゃだろ?なにから聞きたい?」
顔を歪ませてうつむくナナに優しく問いかける。先生たちがさってから数分、この道はたまに車が通る程度で他には誰も通らず静かなものだった。
「アキが一人で考えたんじゃないよね?お母さんに頼まれたの?」
瞳を少し赤くさせる。ナナ。自分がナナを追い込んでいるようで苦い気持ちが広がるがそれを押し戻す。今ここで俺が逃げてどうする。
「昨日、俺と夏喜さんが二人になるときがあって、そのときに夏喜さんから頼まれた。ナナに過去と向き合わせてと」
「お父さんに気づかれないようにしているあたり、それっぽいね」
ようやく、苦み帯びたものであるものの笑いを見せてもらって少しほっとする。
陸人さんがもしこの計画を聞いたらすぐに止めに入るだろう。あの人の娘への愛情は強すぎる。それすらも、きっとここのさんの件の裏返しなのだろうが。そういう意味では陸人さんもここのさんの件を乗り越えてないのかもしれない。
「他には?」
「どこまでお母さんはかかわってるの?」
「夏喜さんはほとんどかかわってない。俺に託しただけだ。その託された俺が先生たちに相談し、ことの成り行きで先生たちと未来ちゃんと恵さんにも手伝ってもらったんだ」
「えっ?お母さんほとんどかかわってないの?」
「うん。これは俺の憶測だけど、ナナの帰り道を残そうとしたんだと思う。夏喜さんが直接行動を起こしたらナナはどうしてた?」
「……たぶん、家出してたんじゃないかな」
「だろ?逆に、夏喜さんがかかわってるとわかった今では、家出しようとは?」
「思わない」
「やっぱりな。それに、夏喜さんが自分でうごいたら陸人さんにばれる可能性というのも広がるから、そういう意味もあったと思うけどな」
「そっか……」
「それで、他に聞きたいことは?」
俺に問いかけに首を横に振るナナ。よし、ならば本題に移ろう。
俺はゆっくりと紫苑の花束を持ち上げた。
「この花がどうしてここにあるのか。その意味が分かるよな?」
「お姉ちゃんの事故現場……」
「うん。それじゃあ、この花―――紫苑の花言葉は?」
「えっ?」
「君を忘れない。そして追憶。これが花言葉だ」
俺のいいたいことがわかってかまたしても黙り込むナナ。そのナナにどんどん詰め寄っていく。
「俺や、夏喜さん。それに陸人さんも、ここのさんのことをずっと忘れずにいる。だけど、ナナは忘れようとしている。違うか?」
「忘れたいじゃん……!!アキにはわからないよ。私が殺したようなもんなんだよ?」
「あれは事故だろ?それに責任の在所も、一応は突っ込んできたあの男の人になる。ナナの責任なんて、どこにも―――」
「そんなこと言ってるんじゃない!!気持ちの持ちようだよ。法律上とか、形式的にとか、そんなのどうでもいい。私が言ってるのはあそこで猫を見つけていなかったらとか、猫を抱えてさっさと別の場所に行ってたら、そういうもしもの世界のこと!!」
叫ぶナナ。声は悲痛なものに染まっている。でも、個人的にはその言葉が聞けて一歩進めたなと強く感じた。だから、まずはそれを指摘する。
「やっぱり」
「えっ?」
「忘れる事なんてしていなかった。ずっと考えていたんだろ?ただ、その考える自分を否定していただけで」
「…………完全にアキのペースにのせられてる」
図星を疲れたのが悔しいのかそう言葉を付けてうつむいた。
「そうだよ。私は考えることが嫌で、考えるたびにそんな自分を否定していた。だけど、変わらない―――逃げ出したいという気持ちは変わらない」
「それは、自分がここのさんを殺したと思ってるからか?」
「そうだよ」
「ナナがそう思うなら、本当の殺人犯は俺かもな」
自嘲の入り混じった笑い声をあげて紫苑の花束をナナに向ける。向けられたナナは驚いた顔で止まる。
「あのときの様子は覚えてるだろ?」
「お姉ちゃんが私の近くにきて、一緒に猫見てて、そうしたらアキが叫んで―――」
「そこ。おかしいと思わないのか?」
「……なにが?」
「ここはまっすぐな道、車がおかしな動きをしていれば少し気づくのが遅れたとしても、もっと早く気づけるだろ?だけど、実際に俺がさけんだのは、車が目の前に迫ってからだ」
「あっ……そう、だね」
驚いた表情からじゃあなんで問いかける顔に買えるナナ。俺はナナに向けていた紫苑の花束を胸に抱えなおす。あのときの様子を追憶する。
「俺はあの瞬間、周りを確認する気が無くて、車がいることにさえ気づけなかったんだ」
「……?」
「ここのさんに見惚れていた。猫と戯れる、普段はあまりみせない顔に完全に」
「それって……」
「俺はここのさんが好きだった。だからこそ、ナナにお願いしたい。ナナが自分がここのさんを殺したと思っていると、俺ももしもを考えてしまう。ここのさんに見惚れていなかった世界を。だから、これ以上、自分を責めないでくれ。誰にでもない―――俺の為に」
次回がこの章ラストです。そう考えると週に更新にしたらたぶん、だいぶ章が変わるのが早くなるのかなと思いますね。
Nana「章の変わり目が一番苦労するんですよね」
うん……。それだけが心配ですね。難産になったときが怖いですね。
Aki「まあ、嘘をつくのはダメだから頑張れよ」
はい。では、次回。
Aki・Nana・Tsubasa「encoreのその先へ。拍手が続く限り」




