キララ「回復と未来」アキ「夜があけて」
今回でこの章終わりです。
Aki「季節も追いついよな」
最近思います。こんなに早かったっけ?季節めぐんの?
Aki「なにおじさんくさいこと言ってんだよ」
いや、マジで。というか、学生ならよくわかると思いますけど、定期テストの間隔が月日のめぐりをありありとわからせるんですよね。
Aki「あぁ、確かにな。学期に二回のくせにほんとちょくちょくある気がする」
そうしたら、気づいたら季節が変わって。
Aki「……あるかもな」
なんか、切なくなってしまった。行きましょう。
Aki・Tsubasa「神秘への旅立ち、案内しよう」
「―――身よ、……が……よ」
体が揺らされる感覚と誰かの声が聞こえる。
「―――が分身よ、我が分身よ!!」
「ん……。キララ?」
俺は瞼を開けると眼前には血色のいいキララの顔が目一杯に写っていた。
辺りを見ると暗かったはずの外が明るくなっていて、手元には読んでいた小説が不格好な形になっており、部屋の電気を消していたため明かりを求めてつけたスタンドがこうこうと光を放っていた。
そこまで確認した辺りでようやく血が巡りキララの看病をしていたはずが寝落ちしていたことを知る。
「んっ……悪い。寝てたみたいだな」
「気にすることはない。我こそ礼を言おう」
「その調子じゃ、全快してるみたいだな」
「当たり前だ。我が不覚をとるわけあるまい」
風邪を引くことじたいが不覚だと思うんだが……、まあ、ツッコンだら負けかな。
「だとしても、今日は体育は休んだ方がいいな」
今日は金曜日でたしかキララは体育があったはずだ。生徒手帳に俺がそのむねを書けば正式に見学として扱われる。
……なんか、大切なことを忘れてるような。
恐る恐る時間を確認する。眠気を吹っ飛ばしている、いつもは一番遅く起こされているキララ。その寝坊のキララが起きているということは……。
「……あれ?」
時間は七時。いつも俺が起きている時間よりは遅いし今から朝食を慌てて作ったとしていつものようなボリュームのものを作る時間は無いが菓子パンは常備しているからそれを食べればよかった。
「今日は早いんだな」
「昨日は早く、長く睡魔に体を貸しておいたからな」
「なるほど」
つまりは夜更かしせずにたっぷり眠ったから元気というわけだ。
「よし、じゃあパッパと飯食って学校行くか」
「よかろう。……あっ」
「どうした?」
何かを思い出したような声に戸を開きかけていた手を止めてふりかえる。
「この人形は、我が分身が直したのか?」
「ん?ああ、そうだな」
キララは俺が昨日簡単に直した人形を抱いていた。
少しほつれていてそこから綿が出ていただけなのでよく見たり、昨夜の俺みたくきつく持たない限りわからないはずのそれをよく見つけていたものだ。それに俺が直したことにも気づいているとは……。
「前から破れていたのか?」
「少し前からの……。我が気にするまでも無いと思い無視していたのだがな」
「そうか。まあ、確かにちょっとだけだったからな」
わざわざ俺に頼むほどでもないと思っていたのか。確かに俺も暇じゃなかったら無視していただろうな。
そんな話をしているうちにふっと昨日考えていたことを思いだし話す。
「そうだ、キララ」
「なんだ?」
「誕生日かクリスマスか……人形か服作ってやろう―――」
「本当!?」
「うわっ」
想像以上の食いつきにビックリする。てか、中二病モードじゃないのか。
「本当?」
「あっ、ああ。人形と服、どっちがいい」
「誕生日……」
「ん?」
「誕生日に服、クリスマスに人形じゃダメ?」
「……別にダメじゃないが……ゲームとかフィギュアとかでもいいんだぞ?」
「ううん。お兄ちゃんのやつがいい!!」
「……そっか」
ちょっと暖かい気持ちになってキララの頭を撫でる。気持ち良さそうに笑うキララ。
その様子を見て兄離れ、妹離れがもう少し時間がかかりそうなことを悟る。
俺のことをシスコン呼ばわりする奴らの気持ちが一ミリだけ理解できた。
今回の章でKirara人気が上がったと思います。
Aki「ちょっとあざとい感じもあった気もするけど」
一番あざとく作ってるのはMiyukiだけどね。
Aki「それは、確かに」
さて、次回は今年最後の章になりそうですね。では次回。
Aki・Tsubasa「親愛なる者たちへ、我らとまた会おう」




