キララ「アクアマリージ」アキ「水族館にて」
とりあえず報告が三つほど。
Nana「なに?」
まず、本日は文化祭です。正しくは二日目ですけど。ボーッとしてるでしょうね。
Nana「そっか、もうそんな季節か」
二つ目。今回から後半の三人称視点は終了です。文字数の関係上こうなりました。
Nana「ふぅん……そうなんだ」
そして三つ目。指定校で受験できることに。執筆スピードが落ちるかと危惧してましたが大丈夫そうです。
Nana「それは別にどうでもいいけど」
ひどっ!!
Nana「とりあえず、早く私達を沖縄から返して」
はい……次回で最後です。と、とにかく、行きましょう。
Nana・Tsubasa「神秘への旅立ち、案内しよう!!」
修学旅行最終日。朝食を食べ終えたあとはすぐにチェックアウト。そのまま国際通りに向かい、そこで自由時間となった。
国際通りは様々な土産店もあり、沖縄特有の料理店もある。
本日はここで各自好きな店で昼食をとるとともに指定時間までの三時間をここで過ごしたのだった。
俺はやはりというべきか、一緒に回るのはあのとき一緒にシュノーケリングをしたメンバーで、昼食をとった料亭では、このくしくもなってしまったハーレムグループわ店主にいじられたりと、さんざんだった。まあ、アットホームな店で雰囲気もよく、美味しかったが……。
そしてそのあとは、世界で二番目の大きさをほこる、美ら海水族館へとむかった。
向かっている最中に、バスガイドさんが言っていたのだが、美ら海とは、沖縄の方言で清らかな海、という意味らしい。
「……まあ、美ら海水族館は楽しみだけどさ……」
ため息をついて右をみやる。
「タカッチ、こんな美少女二人いてため息なんて……、強欲だね」
「そういうことじゃねーよ。てか、自分で美少女言って恥ずかしくないのか?」
「恥ずかしい云々はタカッチには言われたくない」
「それは私も同意」
「……酷くね?」
「「全然」」
声を合わせて否定しやがった。まあ、もとから諦めてるけどさ……。
また、小さくため息をつく。
「それより、さっさと入ろうぜ。時間は無限じゃないし」
辺りをみると漫才を繰り広げている間に他の生徒はいなくなっていて俺たちと数人の教師しかのこっていなかった。
「そうだね」
「そうそう、早く行こー」
ナナたちも頷きさっさと水族館内にはいる。
事前に配布されていたチケットでゲートをくぐるとすぐにたくさんの水槽と魚に出迎えられる。
一般客の姿は見えるが他の生徒の姿が見えないので思いの外長い間喋っていたらしいことを感じる。
「わあー、あれなんて、魚だろ?」
子供のようにはしゃぐ青葉。ナナはそのあとを追いかけて隣につく。
シュノーケリングでは、小さな魚がメインだったので、また別な新鮮な俺もみいりそうになる。
―――ん?
だが、そのときに見覚えのある二つの顔が。
その顔の一つは青葉の声にピクリと反応していた。
「すでに入ってたんですね、日高先生、森坂先生」
「お、お前もいたのか、小鳥遊」
どうやら、俺には気づいていなかったようで驚いた顔をみせる。森坂先生はあら、といった表情で俺に顔をむけた。
「ええ、まあ。だらだらしてたら入るの遅れまして……それより」
チラリと森坂先生の左手をみる。その、薬指には真新しい綺麗な指輪がはめられていたのを確認する。
「おめでとうございます、日高先生」
あえて、森坂先生の顔を見ながら言う。一瞬キョトンとした表情をみせる森坂先生だが自分の左薬指をみて気がついたようだ。
「ふふっ、ありがと。でも、学校では森坂のままいるから、森坂先生、でいいわよ、小鳥遊君」
「そうですか」
俺も笑いながらそう返す。一人、少し不機嫌そうなのは日高先生だ。
「どうしたの、アキ?って、あっ……」
「ナナ?って、あぁーー」
俺がいつまでも近くに来ないことを不審に思ってか振り向くナナと、つられるようにみた青葉が声をあげる。
「チッ、面倒な奴に見つかった」
「センセー、自分のクラスの生徒にそんな言い草はないとおもいます」
「自分の担任への振る舞いを見直した上で言えるもんならもう一度言ってみろ」
「…………センセー、自分のクラスの生徒にそんな言い草はないとおもいます」
「言えんのかよ」
何だかんだで波長のあった二人の掛け合いに俺たちは笑い声をあげる。
「日高センセーは、どーでもよくって」
「どうでもいいって、失礼だろうが」
「森坂センセー、おめでとうございます!!」
「あっ、そうだ。おめでとうございます」
「ふふっ、ありがと」
日高先生はおいてけぼりにしつつ会話を進める青葉。二人ともすぐに婚約指輪を見つけていたらしい。
「先生、どうでした?星空は?」
「えっ?綺麗だったけど……なんで知ってるの?」
ナナの言葉に不思議そうな顔をする森坂先生。日高先生は言うなよ、と言いたげな目でナナを見ているだけだったので俺が補足する。
「ああ、実は俺たち一昨日の夜に日高先生にその場所につれていってもらってたんすよ」
「本人は認めなかったけど多分アタシたちは下見要因だね〜」
青葉が茶化すようにいう。それ、本当?と言いたげな顔でみる森坂先生だが、日高先生は顔を反らし答えようとしなかった。
「それじゃあ、俺らはお邪魔しちゃ不味いでしょうから先いくか」
「アキにしてはいいこというじゃん」
「ホント、自分のこと以外については聡よね」
「…………お前ら、な」
「あっ、小鳥遊君が天然で女の子を口説くって噂本当なんだ」
「先生にまで噂まわってるんすか!?」
「うん、去年の……秋ぐらいかな?には、聞いたよ」
「そんなに早くに!?」
「小鳥遊……ほどほどにしとけよ」
「ヒドッ!?」
なにこれ、四対一!?いや、考えろ。青葉にこれを見せれば……。
「なあ、青葉。百歩譲って俺がそうだとして、恋愛がらみなら日高先生は奥手だよな〜、ホラッ」
携帯を操作して昨夜とった、二人の写真―――おずおずと日高先生が手をつなごうとしていることが写真を青葉にみせる。
瞬間に目の色を変える青葉。
「なっ、た、小鳥遊……お前」
「ふふっ、撮られてたんだ。でも、私にはダメージは少ないかな」
「じゃあ、森坂センセー、拡散してもいいですか!?」
「いいわけねーだろーが!!」
「俺は賛成」
「私も皐月ちゃんに賛成で」
「うーん……私は棄権しようかな」
「じゃっ、賛成二、反対一、棄権一で可決で」
「させるかー!!」
必死で止める日高先生に笑い声をあげる面々。
俺はどうしよっかなー、なんて口にしながら大逆転した状況に喜ぶのだった。
「まあ、アキのタラシは本当だけど」
「ウンウン」
「えっ!?まだ続いてたの!?」
因みに、この次回投稿は学校の中で寝転びながらやってます。
Nana「えっ!?」
今日は朝からずっと、文化祭の準備なんですよねー。携帯もどうどうと使える。
Nana「だからって、大丈夫なの?」
みんな頑張ってますねー。いろいろやってる姿を尻目にくつろいでいます。
Nana「最低……」
いや、まあ、僕がただの休憩時間なだけなんですけどねー。それでは次回この章最終回です。
Nana・Tsubasa「親愛なる者たちへ、我らとまた会おう」




