キララ「箱庭会議」アキ「話し合いらしい」
なんか長なった。
Nana「そうなんだ」
いや〜、ちょっとはっきりさせたいことを詰め込んだからね。ですので、いつもよりはやや長めとなってますが、それでもすぐ読み終えられると思いますよ。
Nana「それにしても私視点か〜、楽しみ」
そうだよね〜。では、本編どうぞ。
Nana・Tsubasa「神秘への旅立ち、案内しよう」
なんの因果の巡り合わせか……アキたちの乗る観覧車のひとつ前のゴンドラにはナナ、ミユキ、心晴、未來のメンツで微妙な空気を漂わせていた。
別に誰かを蹴落とそうとか、陥れようとしているつもりは毛頭ないし、仲良くやりたいというのが本音だが、女は独占欲の強い生き物だ、という言葉をナナは思い出していた。
なぜこのメンバーになったのか、偶然にも程があると感じるナナだが、実は偶然ではない。笹原と恵の策によるものだ。手始めにキララを仲間に率いれていた。キララも警戒し、戸惑っていたが笹原の話し……もとい脅しと、いう通りにすればアキと一緒に乗れるという言葉を信じ、二人に乗った。グループを決めるさい、三人はどのような順番でなにを出すかを決めておく。そして、ナナ、心晴、ミユキ、未來にキララと同じように誘いをかけたわけだ。ただし、教えたのは三人が出す順番とは逆のもの。こうすることにより必然的に三と四に別れ、アキが三の方になればいいわけだ。どっちにふれるかは二分の一。仮に三回ぐらい四の方になったとしてもまさか、組んでいるということを公言することもできず流されるという手はずだ。多少穴はあるものもほぼ大丈夫だったのだろう。
そんな背景を知るはずもない彼女らはなんらかの伝言ミスでこうなってしまったんだと思っていた。笹原側からしたら運がよく、ナナ側からしたら運が悪く、一回目でアキが笹原側になったのもその要因だろう。
全員が全員互いを小さなことだが、欺こうとしていたためか、その小さな罪悪感がこの空気を助長させていた。だが、その空気を心晴が食い破った。
「きょ、今日は楽しかったね?」
明らかに無理をして作り出した言葉。しかし、これに乗らないわけには行かないと全員がわかり、それに続く。
「そうだね。夜景も綺麗だよ」
「ほんとですね。こんなに綺麗なの初めて見たかもしれません」
ミユキだけは、やはり人見知りなとこれがあるのか何も言わず、ナナの近くに少しよっただけだが多少は緊張した空気が弛緩する。その空気が流れた直後、全員の携帯が音をたてメールの着信をしらせる。不思議なこともあるものだと、それぞれ確認する。
そして、その送り先に嫌な予感をナナは感じた。
『from:笹原先生』
ディスプレイにはそう書かれている。そして、複数宛先にはミユキと心晴の名前。思わず顔をあげそうになるが、まさかと感じ内容を先に見る。そして、そのまさかが本当であることを理解する。
『小鳥遊のいない今だ。存分に話し合うがいい。なにをかまでは、言わなくていいだろう?』
そうかかれている文章。複数宛先に未來の名は無かったが、同時に鳴ったことから恐らくは同じような内容が恵から送られてきたのだろうとナナは推測する。それが正解であることを示す要因として未來の顔がひきつっていた。
苦い顔を浮かべ全員の視線が中央に集まり弾ける。沈黙の時間が数秒現れ、そして。
「ごめんなさい」
欺こうとしたこと、独占しようとしたこと……それらを含めた謝罪をナナがした。
「私も……ごめんなさい」
「大人気なかったね……ごめんね」
「わたくしも……」
全員の謝罪がゴンドラに響く。そして、一瞬の沈黙のあと、小さな笑いが起きた。その波が収まりそれぞれ誰にこの策をかけられたのかをカミングアウトしたあと、せっかくだからとこの機会を使うことにする。ゴンドラはもうすぐ頂上に向かおうとしていた。
「えっと……まず、気になってたんだけど、未來ちゃんはどれぐらい私たちのことをわかってる?」
「なんとなく、ナナさんとミユキちゃんは初めて海であったときから感じてました。アキさんのこと好きなんだなって……。木原さんは今日初めて会いましたけど……それも、なんとなく感じて……さっきのメールで確信しました」
「海の時から……」
あまりにさとい未來に驚きの声をあげるナナ。ミユキ、心晴も静かに驚いていた。
「でも……私、唐突に出てきて……数回メールのやり取りしただけでそれって。ナナさんとかにも悪い気がして」
感情の吐露。未來が続けた言葉に微かに驚くナナ。そして、フツっと汲み上がった少しの怒りをそのままぶつける。
「そんなことない」
「えっ?」
「そんなことない。途中からとか、最初からとか……そんなの関係ない。そんな気持ちで引き下がっても誰も得しないよ」
ずっと好きだったからこその言葉。アキのことをいつから好きになっていたのか……それはナナ自身分かっていなかった。ただ、この中では一番最初にアキを好いていたのは間違いなかった。そんなナナだからこそ言える言葉を続ける。
「アキって……鈍感でバカで……だけど変に優しくて、さといときもあるから……もしかしたら、私たちの気持ちに気づかずに先に未來ちゃんの気持ちに気づくかもしれない。でも、それも一つの結果。アキが未來ちゃんを気にかけたという事実は変わらない……。私、人を好きになるって、自分が満足するためにあるんじゃないと思うの。その人物の幸せを願えたら……。もちろん、他の子に取られたら悔しいよ?だけどね、それ以上に、アキが笑ってられるなら……いいかなって、そんな気がするの」
ナナの本音に静まる全員。ゴンドラは頂上を通過し下降を始める。
「あり……が、とう……で、いいのかな?」
ぎこちない笑みを浮かべる未來。それに軽く首を横にふるナナ。
「ありがとうとか、そういうのは無し。当たり前のことだし。それに、譲ったつもりもないしね……心晴ちゃん、ミユキちゃん。二人もいいよね?」
「ナナちゃんがそこまでいうならね。それに、わたしも新参ものだしね」
「わたくしも、同じ意見ですわ」
「よかった……あっ、そういや」
そこであることに気がつき未來に顔を向けるナナ。
「恵さんは、アキのことどう思ってるの?」
「あぁ、姉さんは。何だろう……弄りがいのある弟が出来たって感じかな……」
その言葉に一同ああ、と納得してしまう。そして各々アキに励ましの言葉を贈る。
「じゃあ、私たちはこれからも友達でライバル、いいですよね」
「うん」
「はい」
「よろしいですわ」
全員がナナの言葉に答え、そして笑顔を交わした。ゴンドラの外は綺麗な夜景が広がっていた。
はっきりさせたかったこと。相関図ですね。
Nana「そうなんだ」
はい。恐らく読者の皆様の中には恵もじゃないかと思っていた方がいらっしゃったかも知れませんが恵は違いました。あまり、増えすぎてもあれですし、恵の性格上違うだろうなと思いましたので。
Nana「ふーん」
いや〜、しかしやっとはっきりいったね。
Nana「?なにが?」
Akiが好きって。
Nana「あっ!?」
Akiに恋するNanaか〜。うんうん。いいよね〜。
Nana「な、なな、な……!!」
どうした〜?顔赤くさせて。
Nana「っ!!」
Nana「親愛なる者たちへ、我らとまた会おう!!」
ちょっ、Nana!?なに、一人でっ、て、イタイ、イタイ!!謝るから、ゴメンって、イタイ!!




