キララ「年を重ゆる日」アキ「ドッキリ(ネタバレ)パーティー」
という訳でこの章ラストです。普段よりやや長めになってますがご了承ください。
Miyuki「2,496文字やんな?いつも千字前後やから約二話ぐらいになるんや」
そだね。分けてもよかったんだけども、どこで切ったらいいかわからなかったのでもういいやって。
Miyuki「ふ~ん、そうなんや。それじゃ」
Miyuki・Tsubasa「至高なる楽しさを味わいたまえ」
「まだか、我が分身よ?」
「今行くから待てって―――ベランダの鍵も閉めたし、大丈夫だな」
俺はキララとミユキの待つ玄関に急ぐ。そのついでに机の上に置いたままであるミサンガを手首にはめる。
今日は朝からナナの家に行くことになっていた。ことの発端は昨日の夕食時だ。
「―――我が分身よ」
「うん?」
「明日はあいておるか?」
「明日……あぁ」
俺はこの時にキララが何を言いたいのかを先に読み笑いだしそうになるのを堪えた。
「空いてるよ」
「そうか、なら、明日は我らと共にナナ姉の家に参るぞ。よいな?」
「ナナの家に……?まあ、いいけど」
多少の演技を加えつつキララがこれ以上ボロを出さないように気をつかった。
そんなわけでナナの家はここから自転車で三分、徒歩でも五分ほどでつく。なので、基本的にはナナの家までは徒歩でいく。自転車を使うときはよっぽど急いでいるときぐらいだ。
さて、こんな徒歩シーンをだらだら書いても仕方ないから割愛してナナ宅に到着だ。
ピンポーンとインターホンをならす。
「おはよ、アキ君。久しぶりだね」
「あっ、夏喜さん。お久しぶりです。お店の方はいいんですか?」
ドアを開けたのは以外にもナナの母、夏喜さんだった。普段は休日でも店の方に出向いているのでてっきり、今日もいないと思い込んでいた。
「今日は夫に押し付けてきたの。たまには休まなくちゃいけないしね〜」
「そうだったんですか。じゃっ、おじゃまします」
「はいは〜い。お邪魔してくださ〜い」
夏喜さんは普段となんだ変わらぬ調子で俺を案内する。
よし、恐らく俺を脅かしにかかるはずだから、精一杯演技しねえとな。
「あっ、リビングにそのままいって」
「はい」
俺は答えてリビングにつながるすりガラスがはられたスライド式の扉をあける。と、同時に。
「「「お誕生日おめでとう、アキ」」」
―――パンパン!!
「おわっ……って、笹原先生、心晴ちゃん」
扉の先にはてっきりナナ一人が待っていると思っていたのだが、以外な二人もクラッカーを手にいた。そういえば、昨日ナナが二人の連絡先を聞いてきた事を思い出す。このために聞いてきたのか……。
「くくっ、驚いたか?」
キララが尋ねてくる。本音で言えば驚いた要因の大半は心晴ちゃん達が来ていたことだが……それは言わないでおこう。
「ああ、驚いたよ。キララとミユキが昨日、ナナん家に行ったのってこの装飾を作りにか?」
「そやで。頑張ってんで」
「そっか、ありがと。キララもな」
俺は二人の頭を撫でてやる。気持ち良さそうな顔をしやがる。
「おぉ、流石シスコン小鳥遊だな」
「誰がシスコンですか。笹原先生」
「あはっ、でもホント仲いいよね」
「そうかな」
俺は先生コンビに軽く肩をすくめてみせる。というより、よく来てくれたな。
「アキ。早く座ってよ」
「はいはいっと」
俺はナナの隣、心晴ちゃんの向かいの席に腰をおろす。ついで、キララ、ミユキ、夏喜さんも腰をおろしてちょうどテーブルを埋めた。ちなみにテーブルの上にはショートケーキがおかれている。どうやら、買ってきてくれたようだ。
「あ、アキ。ちょっといい?」
少し上ずった声のナナ。どうしたんだろうか?
「こ、これ。私からのプレゼント」
「えっ……ああ。さんきゅ。早速開けていいか?」
「うん!!」
ナナの返事を受けてから可愛らしくラッピングされたそれを丁寧にはずしていく。
「……サマーセーター?」
「う、うん。編んでみたんだけど、どうかな?」
上目使いで心配そうに尋ねるナナにイタズラ心がわく。
「嬉しいよ。ありがと―――こういうの得意だよな。料理とちがって」
「なっ……」
「そうよね〜。なんで出来ないのかしら〜?」
「お母さんまで!?」
ナナの声に笑いが起きる。いじっていた楽しい奴だ。
「アキくん。これ。わたしと笹原先生から」
「あ、ありがとうございます―――えっと、ネックレスか」
二人からのプレゼントは十字架がついたネックレスだった。早速つけてみる。
「似合ってるよ、アキ兄ちゃん」
「そうか?心晴ちゃん、笹原先生、ありがとうございます」
「私は金をだしただけだ。選んだのは木原だ。礼なら木原だけにしな」
「そうなの、心晴ちゃん?」
「う、うん……で、でも似合っててよかった」
「これで似合ってなけりゃ困る。木原が二時間も悩んでその間私はずっとまたされてたのにな」
「さ、笹原先生!!」
「えっ、なに?二時間もかけて選んでくれたわけ?」
「う、うん」
「なんでまた……なんか、申し訳ないな……」
「う、ううん。気にしないで」
「そう?――――――って、なんだ、ナナ?」
「べっつに~」
なにか、またしてもじとっととした視線をナナから受ける。
「はいはい、嫉妬しないね」
「お、お母さん!?嫉妬なんかじゃないよ!!」
「……?」
なんだか、よくわからないやり取りをする二人。親子にしかわからない会話、ということにでもしておこう。
「我が分身よ。これは我らからだ」
「キララとミユキから。えっと……ブレスネットか」
「うん!!さっそくつけてみせて」
「そうだな……って、あっ」
俺はそれを右手につけようとしてはたと止める。右手首にはミサンガをつけたままだった。
「あれ?それって……」
「あ、あぁ。昨日机掃除してたらみつかったんだよ」
俺は左手首にブレスネットを付けながら言う。
「ほ~、なかなか似合うじゃないか?それで、そのミサンガどういうわけだ?」
笹原先生が感想を述べながら尋ねてくる。
「あぁ、この、ミサンガ―――いや、違うか。ナナ」
「えっ?」
「これは、願いの楔だったな、ナナ」
「あっ……!!」
顔を赤くするナナに意地悪気な笑みを浮かべてやる。
「願いの楔?どういうことだ?」
「それはですね――――――」
「アキ、やめ――――――」
「アキくん、ナナのことバラしちゃってバラしちゃって」
夏樹さんがナナの口を押える。
「むぐっ、フグッ――――アキやめて~!!」
ナナの悲痛な叫びを無視してナナの黒歴史を語りだした。
Nana「あれ?私ってこんなキャラだっけ?」
時々いじられてたからね~。
Aki「今回は俺の章と見せかけての実はNana章という感じか」
そうだね~。それでは。Nana~。いうよ?
Nana「うん……」
Aki・Nana・Tsubasa「そなたとの契り、またここで会おう」




