キララ「過去追走録」アキ「過去編です」
今回は視点変更、三人称視点です。
Aki「俺視点じゃないのか……」
まあ、メインはAkiだけどね。
Aki「じゃあ、実質かわりないんだな?」
まあね。でもAkiとNanaの幼少時の話だから……
Aki「だから?」
ロリコン、ショタコン歓喜!!
Aki「オイ!!」
冗談だよ。でも幼少時の話ってのは本当だから。では。
Aki・Tsubasa「楽しき時間を過ごしたまえ」
Kirara「我……出ていない回結構多いの」
Aki・Tsubasa「「あっ……」」
「い〜ち、に〜、さ〜ん」
幼い男の子の声―――幼いアキの声が家に響く。アキは今、リビングにある柱の一つに額を押し当てて数を数えていた。
「―――ごじゅう、ごじゅうい〜ち、ごじゅうに〜」
学校が終わり二人―――アキとナナはそのままアキの家で遊んでいた。アキの親は二人とも仕事で家におらず、妹であるキララは保育所に預けられているので今、ここにはアキとナナの二人だけだった。
「はちじゅうさ〜ん、はちじゅうよ〜ん、はちじゅうご〜」
まだ幼い二人は元気いっぱいでアキ達の本心としては公園で目一杯遊びたかった。しかし、外は朝から曇天でアキ達が帰宅途中にとうとう泣き出した。雨粒が路面に打ち付ける音が家にいても聞こえるぐらいの強い雨だ。この、初夏の季節の雨はそれで気温がさがるわけではなく逆に湿度が高くなり蒸し暑さを感じるだけだった。夏にふる雨のいいところなどセミのうるさい合唱がましになる程度だろう。
だけど、そんな事はアキ達に関係無く、家の中で遊んでいる。その遊びは―――
「きゅうじゅうは〜ち、きゅうじゅうきゅう〜、ひゃ〜く!!もういい〜か〜い?」
「…………………」
アキの声に答えるものはなかった。
アキ達がこの遊び―――かくれんぼをする時のルールで声で場所がわかったら面白くないので隠れ終わったら返事を返さないというルールがあった。つまり、『もういいよ』が無いのだ。もちろん『まーだだよ』は存在するし基本的なルールは変わらない。
「よ〜し、すぐみつけるからな!!」
返事が来ないことを確認してアキはリビングを飛び出した。
まずは自分の部屋の押し入れ、机の下、カーテンの後ろ隠れられそうな所を順に探していく。アキは毎回順番こそ変わるものの、近くの場所からグルッと一周するようにかくれんぼでオニとして探すときはそうしていた。
「ん〜……いない」
自分の部屋をみつめ呟くアキ。ナナはここにはいないと判断して次の部屋に移る。
両親の部屋、物置と化してる部屋、和室にトイレ……二階をあらかた探し回り一階に映る。
自分が先程までいた部屋や少し散らかった部屋……だが、ナナの姿はどこにも見あたらなかった。
「……ナナ〜?」
アキは見つけられない悔しさと少しの不安をこめた声をだす。その時……
―――ゴロゴロ!!
「うわっ!!」
外で雷がなる。距離も近いようで光ってから音がなるまで3秒にも満たなかった。
「な、ナナ〜!!」
アキは一人でいることが怖くなりどこかで隠れているであろうナナに呼び掛けた。しかし
「………………」
帰ってくるのは雨音のみだった。
―――ピカッ。
「あっ、うっ」
雷の光に反応し身を縮めて音にそなえ耳を塞ぐ。その刹那。
―――ゴロゴロ。
アキは耳をふさいだおかげか音を軽減できていたが、恐怖は残る。
「ナナ〜!!」
アキはナナを呼び再び二階に向かう。
しかし、ナナの姿は見当たらない。アキはナナを呼び続けるが帰ってくる声は無かった。
「ナナ出てきて〜!!どこいるの〜!!」
耐えきれなくなりアキは一際大きな声で叫んだ。
「――――――」
「えっ?ナナ?」
ナナの耳に声が届く。でも、なにを言っているのか分からない。声というのではなく音といった方がたたしいかもしれないが……でも、確かにアキには聞こえていた。
「ナナ?ナナ〜!!」
アキは一瞬聞こえた声の元に向かう。
「ナ〜ナ〜」
「―――アキ〜……ヒクッ」
「ナナ!?」
微かな声に反応しアキは辺りを見渡す。しかし、声の主の姿は見えなかった。
「ナナ!?ナナ〜!?」
「グスッ、アキ〜。アキ〜!!」
微妙に聞こえる声。その声の場所にアキは向かい、見上げる。この辺りから聞こえてきたはずだと、アキは見渡すが周りにはいない。
「ナナ!!どこっ!?」
「ぐすっ、うっ、こ、ここ」
やはり上から聞こえてくる声。そこでアキは思い出す。この辺りに天井裏のスペースがあることを。普段は使用しないし幼いアキが勝手に出入りしないようにと両親から言われていたので存在を忘れていたようだ。
近くを見渡すと倒れている、というよりは壁にもたれかかっている脚立をアキは見つける。なにかの反動等で脚立が倒れたようだ。
「まってて、ナナ!!」
アキは夢中になり脚立を立て登った。もう雨音も雷の音もアキには聞こえていなかった。
天井裏につながる扉を見るとスライド式の簡易な留め具がなぜかかかっていた。恐らくこのせいでナナは出たくても出られなかったみたいだ。
「ナナ!!」
アキは留め具を解除し天井裏に体をのりだし叫んだ。
「あっ、あ、アキ〜!!」
ナナはアキの顔を見ると両目から涙を流した。
「ナナ……いた!!」
アキはいてもたってもいられず天井裏に行き震えているナナをいつもアキのお母さんがやっているように優しく抱き締めた。
「もう、怖くないから。ボクがついてるからね」
「うんっ!!」
過去編はこれからも時折やってみたいですね〜。
Kirara「その度に我は出ないのか……」
あっ、いや。Kiraraも同じ家に住んでるから出る可能性はあるよ。
Kirara「それならよい」
う、うん。まあ、過去編やるかどうかも分かんないし。それじゃあ。
Kirara・Tsubasa「また、みなに会えるその時まで」
Miyuki「ウチは絶対でーへんの?」
あっ……
Kirara「いいきみじゃ」
Miyuki・Tsubasa「「えっ?」」




