キララ「天に轟く三対の邪気」アキ「主要人物三人目の登場です」
アキ「なあ、ツバサ」
なに?
アキ「サブタイトルってずっとあんな感じなわけ?」
そうだね。キララの中二病的な発言の後アキの日本語訳が続くよ。
アキ「日本語訳て……」
まぁ、いいから。それじゃアキ言うよ?せーの
アキ・ツバサ「楽しき時間を過ごしたまえ」
「よっ、と」
俺は卵を両手で持ちボールに当て割りいれる。
「うん、綺麗に……おっ?双子か」
ボールのなかに三つの黄卵が入っているのをみて呟く。どちらの卵が双子だったかなんてみてはいなかったがこういったものは嬉しいものだ。
卵を切るように混ぜる。そして前もって作っていただし汁をいれてさらによく混ぜた。
「とと、こっちもそろそろか」
卵焼き用フライパンを一別して素早く多めに油をひきキッチンペーパーで余分な油をふきとる。
その時キッチンペーパーが少なくなっているのに気がつき今日買ってこようと決める。
「これぐらいだよな」
約半分ぐらい卵をそれにいれる。
「よし、と。後は巻くだけだな」
僕は呟きそこから気を付けながら巻いていった。
「完成、と」
巻き終わった卵を皿にのせる。そして、軽く包丁をいれて4つに分けた。
「あっ、マジか」
そこで気づく。確かに今回は特に綺麗に巻けている。でも、白身が大きく出てしまっている。混ぜ方が甘かったらしい。
「うぅ〜ん。お兄……我が分身よ。起きたぞ」
「お、おう。おはよ」
俺は二階から降りてきた寝ぼけているキララを見る。
「うん〜、ん……あっ!!お兄ちゃん、今日だし巻き玉子!?」
「あ〜、そうだぞ。ちょっと、失敗しちまった」
苦笑いをみせながら言った。でも、久しぶりだし仕方ないよな〜。
「ふっふっふっ。我が分身よ。誉めて使わすぞ!!」「はいはい、分かったから顔洗って着替えてこい」
だし巻き玉子の嬉しさからでていた通常モードから中二病モードに戻ってたキララの背中を押す。
さて、俺も着替えなきゃな。だし巻き玉子を俺の分とキララの分、2つづつ弁当箱にいれて弁当箱を閉じてからそれぞれの鞄にいれた。
「では、いってまいるぞ」
「んっ、いってらっしゃい」
俺は鍵を閉めながらキララに言ってから猫の額程度の庭から自転車を押して家の前に立った。ひらりと自転車に乗ってポケットからウォークマンを取り出してイヤホンを片方つける。そのまま少しいじって今流行っているヴィジュアル系バンドのシルバーボム、通称銀爆の曲にしよう……としたが何となくその下にあったアニメ『流死腑亜』のオープニング曲にしてみた。いわゆるキャラソンというもので声優さんが歌っている。俺は曲がきちんと流れているのを確認して胸ポケットにウォークマンをしまい自転車をこぎだした。
『地獄魔法少女・流死腑亜』はオリジナルのアニメで原作はない。だが、そのクオリティーの高さからファンは多い。もともとこのアニメを作った監督やスタッフ等の作品には傑作と呼ばれるものが多い。特にネット上でかなり話題になった『戦闘少女マリア☆ミリア』は映画もあったりする。そして、そのアニメに出てくる名言『僕と取引して戦闘少女になってよ』はネットのコメントなんかで『僕と取引してになってよ』といった形でよく見かける。
俺もアニメアンチという訳ではないし、これらの作品が面白いのは事実と思う。でも、中二病を発病するきっかけにはしてほしくなかった。発病してから半年ぐらいは本気でアニメスタッフやテレビ局を相手取り裁判でも起こそうかと思ったほどだ。まぁ、勝てるわけないと諭されて我にかえったのだが。
キキッと音をたて自転車を止めて赤信号を変わるのをまつ。するとチリンチリンというベルがなり振り替える。
「おっはよ〜。アキ」
「っ。大声だすなよ。ナナ」
俺は馬鹿でかい声をあげ同じく自転車で来た幼馴染みの白由利文月を注意しながらイヤホンをはずす。
「あははっ、ゴメンゴメン」
「たくっ」
小さく毒づく。そのナナはペロリと舌を出した。
「んっ、さっさと行くぞ」
俺はナナに一声かけて青信号に変わった横断歩道を渡った。
「あっ、待ってよ〜」
ナナの焦ったような声を背に学校へ向かった。
人は眠りにあがらえない。ましてや疲れが溜まっている時にたんたんとした作業をするならなおさらだ。そして、眠るというのは脳にもよい影響を与えるらしい。うん。言い訳は止めよう。
「ナナさん。日本史のノートを見せてください」
正々堂々とかっこよく頭を下げた。頭下げた時点でかっこよくないといったやつ。全くもってその通りです。
「また、寝てたんでしょ〜」
「仕方ないんだ。金曜日の7時間目。ただでさえきついのに6時間目は体育だ。寝ろって言ってるもんだろ」
誰だ?結局言い訳してるじゃんっていったやつ。全くもってその通りです。
「わかったわよ。見せてあげる。でも、その代わり〜」
「わ〜ってる。飯食ってけ」
「有り難うございま〜す」
ナナは嬉しそうに礼をのべる。うむ。笑顔だけは可愛い。顔面偏差値は確かに高い。ポニーテールの黒髪はピョコピョコと動いてるし。
「それじゃぁ、しゅっぱ〜つ」
「出発というよりは帰るんだけどな」
冷静にツッコンで鞄をもち自転車置き場へ歩き出す。
ナナと俺は物心がつく前から遊んでた。さらに、小中そして高校の2年間、一度たりとも違うクラスになったことは無い。これは偶然ではないと思う。では、なんなのか?神の悪戯か呪いでもあるのか。うん。キララの中二病がうつってきた。
それはともかく、ナナのご両親は2人で小さな書店を開いている。売り上げは決して裕福とは言えないが貧しいという訳では無いという事らしい。そういった仕事柄帰ってくるのは9時頃になるらしいのだ。なので、ナナは頻繁に俺の家に襲撃して飯を食ってく。主に金曜日に。ごめんなさい、日本史の池田先生。
「ねぇねぇ、キララちゃんはいるの?」
「キララか?ん〜、まぁどこにも出掛けていなければいるだろうな」
「ふふっ、じゃぁ、思いっきり可愛がってあげなきゃ」
語尾にハートが付き添うな感じではしゃぐナナ。
「甘やかしすぎないでくれよ」
「分かってるわよ」
とりあえず注意してみるが……聞くものかね。コイツもアニメ好きで数年前まで軽い中二病をわずらってたしな。俺がアニメや音楽ソフトのソンガーロイドいわゆるソガロを聞くようになったのもナナのお陰、というよりせいだ。別にいいのだけどもね。
「そんじゃ、帰るけど、どうする?このまま一緒に帰るか?それとも一旦家帰るか?」
自転車置き場に着き自分の自転車の鍵を施錠してるため目を合わせないまま聞く。
「う〜ん……そのまま行こっかな。キララちゃんに早く会いたいし〜」
「了解。じゃ、俺は商店街で買い物してから帰るから。先帰っといて。合鍵はいつもんところに置いてあるから」
「は〜い」
こんな会話も日常茶飯事だ。ナナは俺の家を把握しきっているしわざわざ合鍵を隠すような事も無いのだ。俺は「それじゃ、すぐ帰るから」とだけ告げて自転車をこぎだした。
というわけでナナの登場です。
ナナ「みんな、よっろしっくね〜」
ちなみに前書き後書きは出来るだけ毎回書きたいと思いますのでそれもお楽しみにして下さい。
じゃっ、みんな!!せーの
アキ・キララ・ナナ・ツバサ「また、みなに会えるその時まで」