キララ「水さえ跳ね返す布」アキ「水着回です」
これがあぁで。あれがあぁで……グワァ〜!!
Nana「ツバサさんどうしたの?」
Aki「明日からテストらしくってそれであぁなってるらしい」
Nana「そういや、英検の二次試験ももうすぐじゃなかったっけ?」
Aki「それもあって、あぁなるのに拍車をかけてる」
あハハ。空が綺麗だな……
Aki「壊れた……まぁ、いいや。ほっとこ」
Nana「いいの……かな?」
Aki「いいの、いいの。じゃっ、せーの」
Aki・Nana「楽しき時間を過ごしたまえ」
「ん〜……このピンクのとオレンジのとどっちがいい?」
「……どっちも可愛いと思うよ!!」
「我はどっちがよいかの〜?」
「き、キララならどっちでも似合うんじゃないかな!!」
カタコトと言葉をあげる。
ここは、女性用水着売り場だ。季節はゴールデンウィークあけの五月中旬。水着を買うにしては早すぎる気がするがナナ曰く「こういうのは先手必勝で買っとくものなの!!」というセリフによりナナ&キララの水着選びを行うことになった。心拍数が上がるのも仕方がないだろ?
さて、現在キララはワンピース型の水着で白と水色のもので可愛らしいフリルがついたもの、ナナは片方はワンピース型の淡いピンクでもう片方はセパレート型でオレンジ色のものだ。
「ちょっと、アキ。どっちがいいか教えてよ!!」
「我が分身よ。早く教えるがよい」
ぐぐぐ……逃げられないのか?桃源郷なんかじゃないからなこれ。実際にこんな場面に出くわしたら困惑に困惑を重ねるだけだから。
「ん〜……よし!!じゃぁ、キララちゃん。どっちがいいか決めて貰うためにも試着しようよ」
えっ?
「そうじゃの。我も賛成じゃ」
えっ?えっ?
「じゃぁ、着替えてくるから〜」
「ちょっ、オイ!!」
というツッコミも虚しく二人はそれぞれ更衣室に入る。
「………………」
さて、困った。女性用水着売り場に健全な男子高校生一人。気恥ずかしい……よし。時間を少し飛ばそう。
ということで、先に更衣室を出てきたのはナナだった。
「アキ〜。どう?」
サッとナナがカーテンを開けて出てくる。身にまとってるのはワンピース型、淡いピンクのものだ。
「お、おう……そうだな」
思わず胸元に引き寄せられそうになる俺の目をなんとか引き離す。コホン、落ち着くんだ俺。
「色もいいと思うし……うん、可愛いよ」
「ほ、ホント?」
頬を少しだけ赤くさせて上目ずかい。ぐぐぐ……
「そ、そうだ!!もう片方も試してみるね」
ナナはカーテンをさっと閉める。もう片方。セパレートタイプか。よし、では再度時間を飛ばしましょう。
「えっと……どうかな?」
カーテンオープン。いや〜いいね。うん。おへそとかって、変態か俺。別にへそフェチとかじゃないんだからな。
「ねぇ、どっちがいい?」
「んっと……俺的には、今の方が好きかな。まっ、結局はナナの好みだろうけど」
とりあえずクールぶる。
「そうかな?じゃぁ、こっちのにするね!!」
ナナは笑みを浮かべて更衣室に戻る。では、ナナが着替え終わるまで時間をワープ。
「お待たせ。これ、戻してくるね」
ナナはワンピース型の方を目でさして置いてあった場所に向かっていく。
…………なにかとても大切なことを忘れてるような。
「ん、ンー。お兄ちゃ〜ん!!」
「き、キララ!?」
俺は慌ててキララの更衣室を開く。
「んにゅー……お兄ちゃん……」
「お前……」
思わず絶句する。キララは服を乱してスカートも脱げかかった状態で座り込んでいた。どうやら、水着の紐部分をスカートのファスナーがかんでしまったらしい。別に妹相手に欲情するつもりは毛頭無いし今更下着や裸を見たところでなんとも思わないがこれは……エロイ。
「どうしたの!?キララちゃん、ア……キ?」
慌てて様子をみにきたナナもこの姿をみてかたまる。
「助けてよ〜お兄ちゃん……」
キララの恥ずかしそうな声が俺の硬直を解く。ナナも苦笑いを浮かべていたのは言うまでもないだろう。
「う、うぅ〜」
「ほらっ、キララ。いつまでもうじうじすんなって。水着もちゃんと買えたんだし。な?」
夕焼けの中肩を落とすキララに明るく声をかけた。
あれから、本来なら俺が助けてよかったのだが俺にも世間の目があるのでそこはナナに任せてなんとかキララを救出したのだった。そして、ナナはセパレートタイプのオレンジの水着をキララは髪の色と同じ水色の水着を買ったのだった。
「そうだよ、キララちゃん。買えたんだからいーの。ねっ」
「分かっておる」
少し拗ねたようなそんなキララの返事が返ってくる。まっ、中二病モードになったし大丈夫でしょう。
「さてとナナはどうする?今日も泊まるか?」
「ん〜と、あっ。着替えとか少なくなってきてるから一旦帰るよ」
「そっか。了解」
だとしたら……今晩は簡単なものでいっか。
「でも……んっと。なんだかんだあったけど結構楽しかったな」
「そうだね」
ホント。観覧車に閉じ込められたりとか……ハプニング続出だったけど楽しかったよ。
「あっ、そうそう。アキ?」
「ん?」
思い出したように口を開くナナ。
「日本史のノートもってかえっていいの?」
あっ……そういや、そんな話もありましたね。
「月曜日お返しいたしますので明日も貸していただけないでしょうか?」
「……アキ」
「……分身よ」
二つのジトッとした目線。人間忘れることもあるじゃないか!!
「全く、そういうのアキらしいよね」
「我が分身らしいの〜」
……まって!!俺コイツらの為に飯とか用意してんだよ!!
「はぁ、結局アキって大人ぶってるけど」
「所詮は普遍的な子供らと同類」
「なのよね〜」
「なのだな〜」
「お前ら!!いい加減にしろ!!」
俺の声は夕闇に拡散と飛びっちって消えていくのであった。
Aki「今回で一応一区切りみたいで次回からまた新しい章にうつるようです。それもお楽しみにしてください。では」
Aki「また、みなに会えるそのときまで」
Aki「……ツバサの野郎。日頃から勉強してねぇからあぁなんだろうが……ったく」




