夕空の下、君はくしゃみをした
初めての作品ですので、期待してください。
嘘です。期待はちょっとだけで結構です。
短い作品ですのでね、長くはないです。
言いたいことは、何事もほどほどに、ということ
「くしゅんっ」
くしゃみをした優花。どうやら風邪をひいているようだ。寒いだろうに、マフラーも手袋もしていない。
僕は優花の手を握った。どうだい、暖かいか?
「あ~、寒いなぁ。もう冬かぁ」
返事くらいしてくれてもいいんじゃないかな。
「彩華と一緒に帰ればよかったかな~」
僕が隣に居るじゃないか、ひどいな、あははは。ほら、太陽がビルに隠れてもう夜になるよ。早く帰ろう。
「やっば! もうこんな時間じゃない、帰ったら夕食の支度しなきゃいけないのに~」
僕を置いて走り出した優花。待ってよ~、置いてかないでって。優花~!
はぁ、はぁ。まったく早いんだから優花は。幼なじみを置いていくなんてひどいじゃないか。
「ごめんごめん、ご飯今から作るから。ほら、そこに座って」
わかった。さすがに夕食をいただくのはどうかと思ったけどありがたく頂戴するよ。
数十分後、ごく簡単な夕食を済ませた。
僕はもう帰るよ、じゃあね、優花。
「そんなこと言わなくていいのに~。まったく変なところで真面目なんだから」
泊まっていっていいのかい? わかった、今日はもう遅いし泊まっていくよ。
「そういや最近肩こりがひどくてさ~」
ふふふ、おばあさんみたいなことを言ってる。
「誰が老けたってぇ!? もう一回言ったら明日学食のラーメン奢ってもらうよ!」
ごめんごめん、ほら、肩揉んであげるから。
「寝苦しいこともあるのよね、何なのかしら?」
それはよくない。寝不足は免疫力を低下させるから病気になってしまう可能性もある。
「じゃあ私お風呂はいるから。じゃあね」
ああ、じゃあ僕は仮眠でもしてるよ。
1時間後、優花がお風呂からあがってきた。
「明日早いし、することないからもう寝ようっと。お母さんたちそのうち帰ってくるでしょ」
そうだね、僕はリビングで寝るよ。おやすみ。
「おやすみなさい。っと」
翌朝。快晴。優花の姿が見えない。というかここはどこだ?
優花! 優花! いくら読んでも返事がない。
誰か居ませんか! それでも返事が帰ってくることはない。
僕は目の前にある扉を開けることにした。なかなか動かないな。って引き戸じゃないか。
その扉の先には花畑が広がっていた。その奥には川が見える。
もしかして誘拐されたのか!? 僕は今の状況を確認するべく周りを見た。
誰か居ないものか、それより優花はどこなんだ。心労がたまっていく。
もう何十キロと走ったことか。それでも何もいない。誰も居ない。――あ! いた!
川で船の手入れをしている人を見つけた。随分遠いがあの人しかいない。
「こんにちは」
「よお、向こう岸に渡りたいか?」
うん、確かに向こう岸に渡ったほうがいいのだろうか。こちら側の岸には誰も見当たらないし。
「はい」僕は返事をした。「で、いくらでしょうか」
「えっと、そうだなぁ」
その人は僕の顔をにらみ始めた、なんか怖い。
「一千万かな」
「そんな大金あるわけないじゃないですか!」
そういいながらポケットをまさぐる。一千万なんて宝くじに当たったわけじゃあるまいし・・・・・・。あれ? なんかポケットに紙の感触がある。
「もってるじゃないか、じゃ、いただいたよ」
奪い取られた。まあいいか。なんか奪い返す気力もない。この人には敵わないようなそんな気もするし。
「じゃあ出発進行!」
僕は船に揺られて向こう岸へと渡っていった。
・・・・・・か! ――うか! 「優花!」
「はい! おきてます!」
まだ眠い目をこすりながら私は飛び起きた。まったく、起こすにももうちょっと静かにしてほしいものですよ。
「起きなさい優花。遅刻するわよ!」
「お母さんもうちょっと静かに起こしてよ~」
「はいはい、ちゃっちゃと朝ごはん食べちゃいなさい」
「――はぁ」
ため息を吐いて私はお気に入りのパジャマから制服に身を包む。時計を見ると遅刻までのタイムリミットは――20分。やっば! 時間ないじゃん!
「やっばい! ええっと、学校まで10分だから~って、髪の毛セットする時間とかないじゃん! 仕方ない、朝ごはん食べたらすぐ学校行ってトイレで直そう」
私は急いで朝ごはんをお腹の中へかっ込むと、歯磨きして、ローファはいて学校へ走り出した。
「優花ったら相変わらず落ち着きがない子なんだから・・・・・・。そういえば今日お寺へ行かなくちゃ、昨日のお礼、しなきゃいけなかったわね。――まさか、雅人くんだったのかしら・・・・・・」
「いけないいけない、雅人へお祈りしないと」
雅人が無くなったのは記憶に新しい。雅人というのは私の幼なじみで、想い人だった人だ。
雅人は交通事故で亡くなってしまった。相手の運転手は飲酒運転らしかった。私は運転手のことなんかどうでもよかった。ただ雅人を返して。そういいたかった。
「こんにちはおばさん!」
「こんにちは優花ちゃん。毎日ありがとうね、雅人も喜ぶわ」
雅人の両親へ挨拶し、小走りで仏壇へ向かった。写真の中の雅人は笑っていて、とても幸せそうだった。
「雅人、行ってきます」
私はすぐ雅人の家をでて学校へ全力疾走した。そういえば昨日感じてた肩こりとかなくなっているような気がする。よかった、これで彩華になんか言われなくてすむ。
「はっ・・・・・・くしゅん!」
肩こりが取れたかわりに、なんか心に寂しさを感じる。なんなんだろう。
「雅人、見守ってください。今日も楽しい一日でありますように」
いつも言っているおまじない。そして最高の笑顔をするのだ。そうすれば私は幸せになれるんだ。そう思う、ね? 雅人。
「こんにちは住職さん」
「おう、奥さんこんにちは! 今日は何の御用ですかい?」
「いえ、それといった用じゃないのですが、昨日のお礼にと思って」
「おう、悪いね奥さん。それにしても昨日は楽だったよ。幽霊退治は普段は霊は抵抗するのに何もなく逝ってしまったんだから」
「そうなんですか。――そうだ、で、優花に憑いていたのはどんな霊だったのでしょうか」
「そんな心配することはなかった。やさしい男の子のような幽霊でしたよ」
「――そうですか、わかりました。それでは住職さん、その饅頭、食べてくださいね。さようなら」
「ああ、ありがとうな奥さん。またな」
「はい、到着しましたぜ。あそこにでっかいお屋敷があるだろう? まずはそこに行ってくれ」
「わかりました。ありがとうございます」
話してみたらそんなに悪い人じゃなかったな、人は見た目で判断しちゃいけないな。反省。それにしても大きい屋敷だ。東京ドーム何個分あるだろうか。
「・・・・・・失礼しまーす」
なんか恐縮してしまうな。薄暗くて周りがよく見えないし。
「名簿番号583859883号 吉野雅人 だな?」
いきなり明るくなったと思ったら鬼みたいなひとが目の前に現れた。
「はい、そうですが何か。ていうかなんすかそのノート」
「貴様、いまだに気づいていないとはアホのきわみだな。いいか、よく聞け」
なんかこれは聞いてはいけない気がする。逃げろ、僕。ここから逃げて! 聞いてはいけない。優花! そうだ、優花を探しに行かなくちゃ!
走り出そうとしたら足に激痛が走った。
「ぐっ、いった・・・・・・くない?」
「それはそうじゃ、いいか吉野雅人。貴様は死んだのじゃ」
そう告げられた瞬間、頭が真っ白になった。
いつも僕と優花は一緒だった。
遊ぶときも、買い物するときも。何をするにも一緒。まるで兄妹のようだった。
優花を一人の異性として見始めたのは中学校1年のとき。
そして告白したのが中学を卒業するとき。恥ずかしすぎて噛みまくったのを覚えている。
そして現在。高校2年生のはずだ。進路は進学、こう見えても成績はいいほうで私立の大学へ優花と一緒に入ろうと話したのを昨日のことのように思い出せる。
だんだん記憶がよみがえってくる。向かってくる車。赤信号なのになぜとまらなかったんだろう。そして僕は小さな男の子を守ろうと安全な歩道へ突き飛ばした。
そして撥ねられた。後ろに優花の顔が見えた。ひどい顔をしていた。真っ青で、今にも倒れそうだった。
真っ先に僕の元へ来たのは優花だった。僕の手を握って必死に雅人、雅人、って呼んでくれた。泣いていて顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃだった。だから僕は頭をなでてあげた。可愛い顔が台無しだぞって。
「ねぇ優花。みてよ最新機種だって! 機種変更したいなぁ、あたしのもう3年つかってるんだよ」
「ふぅん、私最近変えたばっかだしいいかな。そうだ彩華、今日CDショップ寄ってかない? 新譜でたんだって!」
「いいよ~。じゃあ行こうか優花」
「うん!」
私はカバンを右肩に提げて、彩華とともに教室を出た。
ちなみに携帯はこれから先、壊れたりしない限り変えるつもりはない。
ほかに好きな人ができたら変えるつもりだ。この携帯には雅人のアドレスが入っているから。なんとなく雅人が近くにいるような気がして。さて、行きますか。
「彩華、校門まで競争ね! よーいドン!」
「待ってよ優花! ずるいし早いんですけど!」
雅人はいつも言っていた、楽しかったらそれでいいって。だから私も楽しく生きるつもりだ。なぜなら私は雅人のことが好きだったから、その証に私が雅人の存在を証明するんだ。
落ちがぜんぜん見えてきませんでした。いつものことなのですが最初はいいのですがだんだん落ちってどうすればいいんだろうって。
読みづらかったら申し訳ありません。
あとがきは楽しいものですが、私にはもう出しつくした感がありますのでこれで失礼いたします。また今度