将軍さまは、ホント偉いんですね。
「一休どの、今なんと言った?」
「はい、世の政治家に健全な政治を、文字も言葉も使わずに表現させるには、お金を使わせるのが一番の手立てかと」
「うぬぬぬぬ、馬鹿を申せ! 健全な政治に金だなどと。一休どのは予を愚弄するつもりか!?」
「いいえ、将軍さま。わたくしは将軍さまを愚弄する気はさらさらございませんけど」
「何を申す! たった今、ここで、そなたは予を愚弄したではないか。予はこれからの世を通して、健全な政で民をまとめようと、そなたに難題を吹っかけたふりをしつつ、それを参考にしようとしていたのじゃ。そなたもそれを見越していたではないか。それをなんじゃ、健全な政に金じゃなどと」
「お言葉ですが将軍さま。これは人の根幹に関わることでございます」
「なんじゃと?」
「はい、人間というものは、欲の塊です。知られるところによれば、人は食欲、睡眠欲、性欲にて出来ています。しかし、欲と言っても、その三つの欲が存在しなければ、人は未来永劫生き永らえることは不可能です」
「ほうほう」
「しかしですね将軍さま、これらの欲は無くてはならないものであっても、一度それに満足さえしてしまえば、案外スッキリしてしまうのもです」
「ほうほう」
「ところがどっこい、人間のお金に対する欲というのもは、一度それに満足したからってスッキリなんかしない。それどころか、お金が貯まれば貯まるほど欲が深まる。つまり無限欲になってしまうのです」
「おお、いかにも御仏に仕える一休どのならではの言動じゃな」
「はい、これを書いている人は何ら御仏とは関連性のないへなちょこ野郎なのですが、そのへなちょこ野郎が言うには、仕事の合間に当時お世話になった人の代理でちょくちょく○○献金パーティーだとかばっかり行かされてうんざりしてしまった、とのことです。献金パーティーならいざ知らず、世の中の勉強をして来い、とばかりに当時の与党のJ民党員に入れられた挙げ句、仕事が忙しくて眠る暇もないのにも拘わらず、決起集会なんかにもことあるごとに行かされて……。まあ、世の中を真剣に考えるのなら政治の世界を垣間見るのも悪くないんですが、もっぱらそこに集まった人の目は、まさに欲に満ちていて、実際には政治云々など興味はまるでなかったように感じられた、と……」
「ほうほう」
「そのへなちょこ野郎は当時まだ文字通りの青二才でしたから、色んな意味でよい勉強になったとも申しておりました」
「ほうほう」
「てなわけで、将軍さま、お解かりになっていただけました?」
「ほうほう……って、今の話で何を解かれともうすのじゃ、一休どの?」
「つまりですね、人の理解を得るには、お金が一番ってことです」
「ば、ばかを申せ! それでは健全な政など果たせぬではないか!?」
「お言葉ですが将軍さま? 将軍さまは、何をもって健全と仰られるのですか?」
「い、一休どの……そなた血迷ったか。御仏に仕える身でありながら、金がらみの政を見て、健全だと申すのか」
「いかにも」
「いかにも……って見損なったぞ一休どの!」