第1章 朝焼けの告白
初めまして。作者のクヌギです。
まずは、私の作品を目にとめていただきありがとございます。
この作品は、海沿いの小さな街を舞台にした音楽と恋がゆっくり重なっていく青春百合ストーリーです。
静かな朝焼け。放課後の音楽室。夕暮れの屋上。
そんなやわらかい景色の中で、ふたりの気持ちが少しずつ近づいていきます。
甘さも、すれ違いも、涙も全部ひっくるめて、「恋していくふたり」を見守っていただけたら嬉しいです。
最初の投稿作品ですので、文章などがおかしな箇所などもあると思いますが
どうぞ物語をお楽しみください。
冬の気配が忍び寄る早朝。
校門に続く坂道には夜の名残がまだ薄く漂っていた。
空は群青から桃色へとゆっくり溶けていき、その境界線が震えるように揺れている。
凛はマフラーに顔を埋めながら白い息を何度も吐いていた。
吐くたびに胸の奥がざわつき、そのざわつきが指先まで伝わってくる。
(今日こそ…言わなきゃ)
手袋越しでもわかるほど、手が冷たい。
けれど、その冷たさよりも胸の奥の熱のほうがずっと強かった。
校門の影が長く伸びる中、
足音がひとつ、近づいてくる。
「......凛?」
振り返った瞬間、朝焼けの光が紗月の髪を縁取った。
淡い金色が揺れ、まるで光そのものが歩いてきたようだった。
「おはよう、紗月」
紗月は少し息を弾ませながら笑った。
その笑顔は、凛の胸を一瞬で温める。
「来てくれたんだ」
「うん。凛に会いたかったから」
その言葉が、朝の空気よりも甘く響く。
紗月は自然に凛の手を取った。
手袋越しでも伝わる温度に、凛の心臓が跳ねる。
「ねぇ、凛」
「なに?」
「私たち......ちゃんと’’好き’’って言い合ってないよね」
紗月の声は、朝焼けの光みたいにやわらかいのに
胸を深く刺した。
(言わなきゃ。逃げちゃだめだ)
凛はゆっくり息を吸い込んだ。
冷たい空気が肺に入って、胸の奥の熱と混ざり合う。
「紗月。わたし......ずっとあなたが好きだった」
言葉を吐き出した瞬間、世界が静かになった気がした。
「歌を聴いてくれるときの顔も、笑うときの声も、全部......全部好きだった」
紗月は驚いたように目を瞬かせ、すぐやわらかく微笑んだ。
「......そっか。ううん、知ってたかもしれない」
紗月は凛の手を胸元に引き寄せた。
その鼓動が、凛の手につたわ。
「私もね凛の歌に救われたの。凛の声って朝みたいなんだよ。
暗い気持ちも、全部照らしてくれるの」
朝焼けが二人を包み込む。
紗月はそっと凛の額に触れた。
「これから、恋人として……一緒にいたい」
凛は涙がこぼれそうになりながら頷いた。
「うん、わたしも......紗月と一緒にいたい」
ふたりの影が重なり、朝焼けの光が影を優しく染めていく。
世界が静かに、、、
ふたりの恋を祝福しているようだった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
第1話では、凛と紗月が初めて“恋人”として歩き出す瞬間を描きました。
朝焼けの光の中で交わされる告白は、ふたりにとって特別で、
これから始まる物語の色を決める大切なシーンです。
凛は控えめで、自分の気持ちを胸にしまいがちな子。
紗月は素直で、まっすぐに想いを伝える子。
そんなふたりが、同じ朝を見つめながら想いを重ねる姿を、
少しでも綺麗だと感じてもらえたなら嬉しいです。
次話では、恋人になったばかりのふたりが、
初めてのデートで距離を縮めていきます。
甘さも、照れも、初々しさもたっぷり詰め込む予定です。
引き続き、凛と紗月の物語を見守っていただけたら幸いです




