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おっさんバックパッカーは異世界へ行っても自由気ままに旅をする。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第48話 若者

「うおっ、なんだこの肉!?」


「こんなにおいしいお肉を食べたのは初めて!」


 先ほどの4人組の冒険者たちが俺たちのテントの前にあるテーブルに椅子を持ってきて、タルムさんが追加で出してくれたブラックワイバーンの肉を俺が料理してかれらに振る舞った。


 あまりの肉のおいしさに4人とも驚いている。


「タルムさん、こいつはなんて肉なんすか?」


「ふっふっふ、秘密じゃよ。儂が狩った魔物なんじゃが、まあ大きなトカゲといったところかのう」


「これだけ大きなトカゲということはもしかしてグラウンドリザードとかじゃない!?」


「すげ~な、じいさん! あれって確かCランク相当の魔物じゃなかったか!」


「………………」


 残念、そのさらに上のブラックワイバーンだ。さすがにタルムさんもこの肉がブラックワイバーンであることは隠しておくつもりらしい。まあ、変に気を遣われたり突っ込まれてしまうのも困るからな。


「ぷはあ~それにこの酒も本当にうまい」


「ああ、こんなにうまいエールとミードを飲んだのは初めてだ!」


「これらの酒を飲んだのは儂も初めてじゃ。ガクト殿に感謝しなければのう」


「ガクトさん、この酒はマジでうまいっす!」


「それはよかった。その星蜜酒はそこまで高価な酒ではないから、エミシア国へ行くならおすすめの酒だぞ」


 国は異なるが、この酒はおすすめの酒なので、みんなにも勧めておく。酒のみは自分の好きな酒の銘柄をつい広げたくなるのだ。


「すみません、ガクトさん。ほら、野営をしているんだから、お酒はそんなに飲んだら駄目よ」


「明日は朝早くに出発するんだからね」


「わ、分かっているぜ」


「りょ、了解だよ……」


 女性冒険者2人はお酒を飲まないようだな。ふむ、誰かひとりが威張るわけでもなく、みんな仲の良いパーティのようだ。


 こういった場合は蒸留酒などの強いお酒は出さないほうがいいな。


「それじゃあみんなの話を聞かせてくれ。俺は別の国から旅をしてきているから、この国の冒険者がどんなふうに活動しているのか気になるな」


「うむ。儂も最近の冒険者がどのように活動しておるのか興味があるのう」


「ああ、もちろんだぜ!」


「ええ、任せてください」


 料理やお酒を楽しんだあとは4人の話を聞く。


 たとえそれほど高いランクではない冒険者の話でも聞いているだけで面白いし、ワクワクするというものである。それにひょんなところから良い情報を得られることがあるし、タルムさんの言う通り、若者の話を聞いているとなんだか自分まで若返った気持ちになって新鮮だ。ちょっとおっさんくさいか。


 それにしても、こうやって初めて出会った人たちと料理やお酒を楽しむのは楽しいものだ。旅をしていると、乗合馬車だけでなくこういった出会いもある。たとえそれが一夜限りの出会いであったとしても、一つ一つの出会いを大事にしていきたいものだ。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「さて、それじゃあ行こうか」


「うむ」


 昨日の夜はいつもより少し遅くまで起きていて、あの場にいたみんなと一緒に料理とお酒を楽しんだ。酒を飲んだ者は結構酔っていたみたいだが、幸い夜は魔物や強盗なんかも現れなかった。


 昨日出会ったDランク冒険者たちは朝早くに出発していった。どうやらマリスラ遺跡の観光を終えて、街の方へ戻るらしい。冒険者という職業は他の職業よりも危険な仕事が多い。ぜひこれからも身体に気を付けて頑張ってほしいものである。


 俺とタルムさんはもう少し遅れて起き、テントの撤収をして朝食をとってから移動を始めた。


「それで、とっておきの場所とはどこのことなんだ?」


「ふっふっふ、それは最期のお楽しみにしておくわい。ほれ、まずはこっちの方じゃ」


 今日もタルムさんの案内で遺跡を歩いていく。


 昨日の料理やお酒、そしてあの4人の冒険者パーティとの出会いがよっぽど楽しかったのか、タルムさんはとても機嫌が良い。しょっちゅう旅をしている俺にとっては昨晩のような出会いや宴会はよくあることだが、普通の人にはあまりない経験なのかもしれない。


 そして今日は昨日に引き続きこのマリスラ遺跡を案内してもらうのだが、その際に特別な場所へと案内してくれるようだ。昨日の案内自体がとても面白かったので、今日の案内もとても期待している。




「ここがこのマリスラ遺跡一番の見どころである王(・)宮(・)じゃ」


 午前中は昨日すべて見ることができなかった場所を観光した。そして最後にやってきた場所はこのマリスラ遺跡の中央に位置する一際大きな王宮の跡地。大きさや意匠を凝らした壁や柱など、他の場所とは一線を画している。


「やはりここが一番すごい場所だな。外側から眺めるだけでも十分に見ごたえがあるよ」


 そう、非常に残念なことに、この王宮跡地の中は立ち入り禁止区域となっている。事前の情報によると、この王宮跡地の中にはまだ解明されていない場所や見つかっていない宝物なんかがあるという噂だ。


 その噂が正しいということを示すかのように、この王宮跡地にだけ見張りの騎士が警備をしている。そして他の場所では野営をしても問題ないのだが、この周辺だけは禁止されている。


「ふっふっふ、そうじゃな」


「ちょっ、タルムさん、そっちは立ち入り禁止区域だって!」


 俺の制止を振り切って、タルムさんはそのまま警備の騎士たちがいる奥の方へと進んでいく。


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