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おっさんバックパッカーは異世界へ行っても自由気ままに旅をする。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第38話 ミロネス山の麓

「ふあ~あ」


 朝目が覚めると、そこはテントの中だった。


 そうだ、昨日はミロネス塩湖でテントを張って寝ていたんだったな。女神と一緒に酒も飲んでいたからぐっすりと眠れたようだ。


 念のために警戒用の魔導具をセットしていたが、やはり周囲には魔物がいなそうだったな。


 テントを撤収し、簡単な朝食を食べてから昨日と同様にキックボードで出発する。昨日あれだけ身体を動かしたが、超健康スキルのおかげで筋肉痛もない。この歳になると一度筋肉痛になるとしばらく続くんだよ……。


「今日は少し雲があるな。雲ひとつない青空もいいけれど、青空に白い雲がある景色も写真映えするんだよなあ」


 昨日とは異なり、少し雲が出てきたが、実際に写真を撮る場合には少しくらい白色が混ざった方が映えるのである。


 相変わらず真っ白な大地はひたすら一緒なので、少しくらい空の色が変わってくれた方がありがたい。


 キックボードでひたすら進んでいく。




「ふう~ようやく目的地が見えてきたな。あと少しだけ頑張ろう」


 一度昼食を食べて休憩をしたが、それ以降はひたすら走り、ようやく目的地であった山の麓までやってきた。実際のところ、あと少しと何度か思ったが、遠近感がおかしくなっていただけで、まだ距離があったものな。


 塩湖自体が非常に広いから、ここまで来るのがかなり大変だった。そりゃ観光に来る人が全然いないわけだよ。


「ほう、これは見事だ」


 ミロネス湖にあるミロネス山。ニッグから教えてもらったこの山の麓にはこれまでとは異なる景色が広がっている。同じ真っ白な塩の大地であることは変わらないが、その白い地面の上に様々な形をした半透明の結晶があちこちに並んでいた。


「塩の結晶はこんなに大きくならないだろうから、別の何かなんだろうな」


 それこそ小学生の時に理科で塩の結晶を作る実験をしたことがあったような気もするが、ここにある謎の結晶は30センチメートルくらいの大きさだ。


 そして若干青色に赤色、紫色なんかが混ざった半透明な色をしているから、ただの塩の結晶というわけではなく、何かが混ざってこの結晶となったのだろう。


 他の場所では見られないことと、前世でもこんな結晶は見たことがなかったから、この場所にある異世界特有の現象という可能性が高いな。残念ながら俺は文系だったので、化学は得意じゃなかった。もしかすると、その分野の人からしたらすごい発見の可能性もある。


「……綺麗だから装飾品にとも思ったけれど、強度はそれほどないのか。水にも弱いかもしれないし、本当にここで鑑賞するためにあるようなものだな」


 原石のままで宝石のように美しいので、加工したら売り物になるんじゃないかとも思ったが、どうやらそれは難しいようだ。


 それにしても真っ白な地面に色とりどりの結晶が散らばっていてとても美しい。人が手を加えずとも、こんな景色ができるのだから本当に自然の力というものはすばらしい。


 前世でもそうだったが、人の手では作り出すことのできない不可思議な物を作りあげるのだから、驚きしかないぞ。


「この場所こそ観光地としてふさわしいのに実に惜しいな」


 これだけの美しい景色を目の前にして、今これを見ている人が俺だけというのはこの景色を独占できて嬉しいという気持ちよりも勿体ないという気持ちの方が強い。たとえ有料であったとしても、この景色は一見する価値があるだろう。


 だが、ここまではかなり距離があり、往復で考えるとここまで来るのは非常に難しい。ミロネス山側の方は森が広がっていて、反対側から来ることもできないからな。


 それにここまで来るのはミロネス山を目印にして来ればいいが、帰りは目印になりそうなものが太陽の位置くらいしかない。俺は瞬間転移スキルで一瞬で戻ることができるが、帰り道の方が道に迷いそうで怖くもある。


「レビューを書くかどうかは難しいところだ。帰りにチェックしていた人に書いていいかも聞いてみないとな」


 いつもならこのまま街の掲示板にミロネス塩湖や小さな湖、この結晶のことを書くのだが、ここまでの道のりが大変なのと道に迷う危険のあることから、レビューを書くか悩ましい。


 それにここは塩の採掘場となっているし、他の場所と違って観光客が多く訪れるのはむしろ面倒になるかもしれない。観光客が増えれば、入り口でチェックする人の仕事も増えるし、場所によっては秘境のままにしておくほうが良い場所もあったりする。


 どちらにせよ現地の人の許可も必要だし、帰りに聞いてみるとしよう。


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