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おっさんバックパッカーは異世界へ行っても自由気ままに旅をする。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第32話 買い物

「ふむ、やはり王都と比べると物価がだいぶ安いな」


 宿でぐっすりと休んだあと、目が覚めるとすでに昼を過ぎていた。夜までまだ時間があるので、早速市場へ向かい、情報収集と食材の仕入れを行っているのだが、物価が非常に安い。


 ついこの間までいた王都とは別の国ということもあるが、やはりどこの国でも王都の物価が一番高いものなのである。


 すでにこの国で使われている通貨は両替商で両替をしておいた。基本的にはどこの国でも使われている通貨が異なるので、両替商で持っている通貨を両替しなければならない。たまに連合国といった感じで、付近の国で同じ通貨を使っている場所もある。ヨーロッパのユーロみたいな感じだな。


 俺に拠点という拠点は持っていないが、基本的にはカトレアのいる国へ多く立ち寄り、収入源がその国の通貨なので、そこからいろんな国の通貨に両替するといった感じだ。再びその国を訪れることも多いので、一度両替をしたらそのままバックパックに入れておくことが多い。


 とはいえ、このバックパックに全財産が入っているというわけではなく、商業ギルドに登録していると有料だがお金を預かってもらえる銀行のような仕組みがあるので、そこに預けている。旅をしていると何が起こるのか分からないので、そういったリスクヘッジは大事である。


「そこのいかした旦那、ちょっと見ていってくれよ」


「どれどれ」


 市場を歩いているといろんなお店の人に声をかけられたが、ふと野菜を販売しているお店で足が止まった。


 自分がいい歳をしたおっさんであることは自覚をしているが、いくつになっても褒められると嬉しいものなのである。まあ、市場のお店の人は大体が褒めてくれるが。


「初めてみる野菜が多いな。なにかおすすめはあるかい?」


「おっ、旦那はこの辺りが初めてか。この地域は比較的雨が少ないから、少ない雨量で育つ野菜しか育たないんだよ。だからあまり見かけない野菜が多いかもしれねえな」


「なるほど」


 乾燥地帯であるということはニッグからの情報で知っていたが、そのため育つ野菜も他の地域とは多少異なるようだ。場所によって野菜もそうだが、それをエサにしている魔物なんかの生態もがらりと変わるからな。


「このサエグミ草は茹でて食べるとうまいぞ。あと、こっちのバルエゴは生で食うと歯ごたえがあってうまいぞ」


「……よし、せっかくだからいくつかもらおうかな。多めに買うから、ちょっとはまけてくれよ」


「あいよ、毎度あり!」


 新しく見かけた野菜は一通り買ってみるとしよう。初見の場合量は少なめにしておいて、おいしかったらまたリピートすることが多い。一度行った場所にまたすぐ戻って来られるというのはこういうときにも便利である。


 そして場所にもよるが、こういった市場は日本と違って基本的に値段交渉できることが多い。というか、どこの店も値段交渉を前提として少し高くしている。前世でもそういった国で価格交渉をするのが楽しいという人もいたが、俺はどちらかというと日本のように値段が決まっている方が楽だからいいんだよなあ。


 市場だと他にも同じ物を販売している店が多いからそこまで極端に元の値段が異なることはないので、別の店と比べてどうだと伝えるよりも、初めにたくさん買うという意思を伝えておいて、交渉した方が良かったりする。


 こういった交渉術も旅をしていると周りのお客さんの交渉を見たりして自然と学ぶことができるのだ。ついでにいっぱい買うと、これから向かう予定の場所やいろんな情報を無料で教えてくれるので一石二鳥なのである。




「「「乾杯!」」」


 カツンッ。


 とある酒場で木製のジョッキをぶつけあい、乾杯をする。


「ぷはあ! 久しぶりの酒は効くぜ!」


「ああ、やっぱし酒はうまいな!」


「いやあ~いい飲みっぷりですな。さあ、どんどん飲んで食べてください」


「ああ、ぱあ~っといってくれ」


 冒険者の男2人が一気に酒を飲み干す。御者さんと護衛さんも一緒に酒を飲む。


 無事にミロネスの街へ到着したこともあって、冒険者の3人組と乗合馬車の2人と一緒に酒を飲んでいる。ニッグの時もそうだが、乗客と意気投合して酒を飲むことは結構あったが、御者さんたちと一緒に飲むのは初めてだ。


 今回は距離が長かったし、最後の最後で魔物の群れに囲まれるというトラブルもあった。そういった時は一緒に旅をしてきた人たちとの絆はより深まるものである。


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