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おっさんバックパッカーは異世界へ行っても自由気ままに旅をする。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第24話 海

「すごい、これが海なのですね!」


「ああ、先が見えないくらい広いだろう」


 昼食を食べたあと、凍らせたスターフロストの実を削ったシャーベットとかき氷の中間のようなデザートもしっかりと満足してくれた。


 そしてそのあとは再び瞬間転移スキルを使用して、先ほどまで山の上から眺めていた海までやってきている。


 他に人がいると問題があるので、俺たちの他には誰もいない静かな場所だ。


「姫様、海には凶暴な魔物もおりますので、ご注意ください」


「ええ、わかっています。わわっ、海の水がしょっぱいというのは本当だったのですね!」


 初めて見る広大な海を前にはしゃぐカトレア。


 浜辺に波が押し寄せてくるのを見たり、裸足になって足だけ海に入ったり、海の水を舐めたりしている。


 王族というのも自由がなくて大変だな。本当はこの時期にしか見られない極夜とオーロラも見せたかったのだが、残念ながら危険ということで許可が下りなかった。あの寒いくて視界の悪い地域でははぐれたら命にかかわる可能性もあるので仕方がないか。


「ガクト様は行かれなくてよろしいのですか?」


 イスに座ってカトレアが女騎士たちと一緒にはしゃいでいる様子をのんびりと見守っていると、ミレディさんが隣にやってきた。


「おっさんはこっちでのんびりと過ごしているよ。それにしても結構山を登ってきたというのにだいぶ元気だな」


「最近はガクト様と出掛ける日をだいぶ心待ちにしておりましたからね。普段の習い事などの良い息抜きとなりますし、ガクト様から教えていただいたレシピのおかげで日々の食事も楽しそうです」


「それはよかった」


 第三王女ということもあって、日々の習い事なんかもたくさんあるのだろう。いい息抜きにでもなれば、そいつは重畳。


「姫様の護衛の者も楽しんでおります。シヴィもいろいろと言いながらも、ガクト様が見せてくれる景色や作ってくれる料理を楽しみにしておりますよ」


「……それは意外だな。まあ護衛をしつつも楽しんでくれているようならよかったよ」


 いつも厳しい物言いだが、シヴィさんも意外に楽しんでくれていたのかもしれない。護衛という仕事上完全に気を抜くことはできないかもしれないが、それでも少しくらいのんびりとできればいいことだ。


 仕事もずっと気を張り詰めていたらどこかで爆発してしまうからな。ほどほどでいいんだよ。


「ガクト様もこっちに来て遊びましょう!」


「姫様、あまり走ると転んでしまいますよ」


 イスに座っているとカトレアがこちらに向かって手を振ってきた。


「あら、姫様から直々のご指名ですよ」


「ああ、本当に子供は元気だな」


 さすがにカトレアに誘われてしまっては断る術もない。


 超健康スキルを持っている俺でさえ少し疲れているのに、カトレアは元気で無邪気である。一時は本当に危険だったのに、今こうして笑って楽しんでいるようでなによりである。




「うわあ~本当に美しい夕日ですね!」


「これはまた見事です」


 時刻は夕方。


 海でたくさん遊んだあとに先ほど登った山頂まで瞬間転移スキルを使って戻ってきた。


 ここからは海までの景色を遮るものは何もなく、水平線へ日が落ちてゆく景色がよく見えた。空は深い赤色とオレンジ色の暁色に染まり、海面はキラキラと輝いて、波が穏やかに揺れるたびに光が揺らめいていく。


 太陽がゆっくりと沈んでいき、海に溶け込むようにその姿を消していった。やがて空と海の境界が次第に暗くなっていく。日が傾いてからは本当に短い時間で暗くなるんだよな。


「とても素晴らしい景色でした。世界にはこれほど美しい景色があるのですね!」


「満足してくれたようでよかったよ」


 海を初めて見たカトレアが感嘆の声を漏らす。海に沈む夕日はとても美しい。そして夕方から夜へと移り変わるこの一瞬の時間を山の上から見下ろすことができるこの場所はなかなかのスポットである。


「さて、それじゃあ晩ご飯にしよう。ミレディさん、頼む」


「承知しました」


 あたりが暗くなってきたので、ランタンのような魔道具を使って周囲に明かりをつける。虫が寄ってくるから、テーブルからはだいぶ離している。


 そしてお昼と同じようにミレディさんと一緒に作った晩ご飯をテーブルへと運んでもらった。


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