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海月とゆめの終わり  作者: ここやまいぬこ


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3/5

鼓動

「おはよう」


誰の声かもわからない声が頭の中に響いて、私の1日は始まる。

あれ?なんかまたデジャヴ。


そういえば、学校がない日、私はどうしてるんだろう?

いや、学校がある日だって記憶がないんだから学校がない日の記憶もないのか。

頭が痛くなってきた、考えるのをやめよう。

終礼のチャイム。また今日が終わる。

なんとなくピアノを弾かなきゃいけない気がする。

音楽室へ行かなきゃ。




「はい!あたしはクラゲ。あなたはお嬢。オトモダチ以下省略ね」


突然女の子が目の前に現れた。

すごくきれいな女の子。ボーイッシュな顔立ちで、耳にはピアスがいっぱい。

一昔前ならヴィヴィアンウエストウッドのアクセサリーを身につけていそう。

そしてシドとナンシーに憧れるんだわ。



「あーせめて初期設定だけでも覚えててくれたら楽なのに」

ピアノにもたれかかったクラゲちゃんが呟く。

煙草を持たせたい。絶対に似合う。


「あ、ねえ、1年生の子たちが話してたんだけど、この学校飛び降り自殺があったらしいよ」

「それ、先月も言ってた。何度も飛び降りる影がみえるんだろ?」

「そう!女の子の幽霊らしいよ」

「もう1回同じ反応してあげる。へー何それ。七不思議?こわーい」


棒読みのクラゲちゃん。


「そんで、自殺じゃなくて()()()()ね」

「知ってるの?」

「ん?」

「もしかして同級生だったりするの?」

「さあ?こんな暗い話するの、時間がもったいないよ。何か弾いて」


私の音にあわせて、クラゲちゃんが歌う。

今度は逆だね。


あれ?今度、は?


「あ、そろそろ帰らないと」

クラゲちゃんが急いで荷物をまとめている。


「楽譜、片付けるから。先に行って」

「おっけー。校門のところで待ってるね」


楽譜をまとめて、あ、窓を閉めないと。

窓に手をかけた瞬間強く風が吹いた。

思わずよろめいて、楽譜が宙に舞う。

ヒラヒラと地面に向かって落ちていく。


あれ、私はこの光景を知ってる。

冷汗がドッと出て、動悸がはじまる。


「お嬢!お嬢!大丈夫?」


ハッとして顔をあげると、目の前にクラゲちゃんがいた。


「いつまでたっても来ないから、心配になって」


「私…生きてる?」

「は?」

「私…生きてるよね?」


クラゲちゃんは何も言わず私の手を掴んだ。

そして私の胸へ持っていく。

たしかに、ドクンドクンと鼓動が伝わる。


「生きてる音がするでしょ?めっちゃ生きてるでしょ?」


猛烈な眠気に襲われる。音が遠くなる。

視界が揺れる。もうクラゲちゃんの声は聞こえない。



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