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第十四話

裁判長が声を発する。

「次に、令息たちの供述に移る。

アレク・フォン・グラナート、証言台へ」

アレクが立ち上がる。

グラナート伯爵家の嫡男として、常に堂々とした態度を崩さない彼も、今はわずかに眉をひそめていた。

アレクの供述

「あなたは、断罪劇において令嬢に対し物理的接触を行ったとされています。事実ですか?」

「……はい。だが、王子の命令に従っただけです。

彼が“排除しろ”と命じた。私は忠誠を尽くしたまでです」

魔導結界が反応する。

供述は真実。しかし、責任転嫁の傾向あり。

カイが一歩踏み出す。

「忠誠は、法を超えて良いものではありません。

あなたは、自らの判断で暴力を行使したのですか?」

アレクは沈黙し、やがて小さく答えた。

「……あの時は、正しいと思っていた。今は……違うかもしれない」

裁判長が次の名を呼ぶ。

「ユリウス・フォン・ヴァルム、証言台へ」

ユリウスは冷静な表情で立ち上がる。

ヴァルム侯爵家の次男として、常に理知的な振る舞いをしてきた彼は、今も感情を見せない。

ユリウスの供述

「あなたは、断罪劇に加担したとされています。

その行動は自発的なものでしたか?」

「……王子の意向を汲んだだけです。

学園の秩序を守るために、必要な措置だったと考えました」

魔導結界は反応せず。

供述は事実だが、責任の所在は曖昧。

カイが問いかける。

「あなたは、令嬢が本当に罪を犯したと確信していましたか?」

ユリウスは一瞬だけ目を伏せた。

「……確信は、ありませんでした。

ただ、聖女候補がそう言ったから……それを信じた」

「レオン・フォン・シュタイン、証言台へ」

レオンはやや不安げな表情で立ち上がる。

シュタイン男爵家の長男として、他の令息たちよりもやや控えめな印象を持つ。

レオンの供述

「あなたは、威圧的な言動を行ったとされています。

その理由は?」

「……周囲がそうしていたから。

僕だけが止める勇気は、なかった」

魔導結界が反応する。

供述は真実。後悔の色が濃い。

カイは静かに言葉を添える。

「勇気がなかったことは罪ではありません。

だが、行動したことは、責任を伴います」

レオンは小さく頷いた。

「最後に、カミル・フォン・ノイエ、証言台へ」

カミルは若干緊張した様子で立ち上がる。

ノイエ子爵家の三男として、他の令息たちよりも年若く、表情には迷いが見える。

カミルの供述

「あなたは、断罪劇に参加しましたか?」

「……はい。でも、僕は何もしていません。

ただ、見ていただけです」

魔導結界が反応する。

供述は部分的真実。沈黙による加担。

カイが問いかける。

「見ていただけでも、止めなかったことは、共謀と見なされます。

あなたは、なぜ止めなかったのですか?」

カミルは震える声で答えた。

「……怖かったんです。王子に逆らうのが。

でも……今は、後悔しています」

裁判長が記録官に目配せし、魔導記録石が全員の供述を保存する。

法廷には、重苦しい沈黙が流れていた。

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