表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/25

第十二話

裁判長が静かに告げる。


「被告人、リュシアン・セレスト。証言台へ」


王族専用の証言台に、リュシアンがゆっくりと立ち上がる。

その歩みは堂々としており、まるで裁かれる者ではなく、裁く者のような威圧感を放っていた。


魔導結界が展開される。

王族であっても、証言の真偽は魔法によって検知される。


カイ・フォン・レオンハルトが立ち上がり、証言台に向かって歩み寄る。

その表情は冷静で、感情を一切見せない。


「リュシアン殿下。あなたは、婚約破棄命令を独断で発令したことを認めますか?」


リュシアンは鼻で笑った。


「認めるも何も、王子の判断は国家の意思だ。

婚約など、王家の意向一つで覆るものだろう?」


魔導結界がわずかに反応する。

事実ではあるが、法的には越権行為とされる。


カイは一歩踏み出し、声を低くした。


「殿下、王家の婚約は王政会議の承認を経てのみ破棄できる。

あなたはその手続きを踏まず、独断で命令を発した。

これは、王権侵害に他なりません。

王の許可を得た証拠を、ここで示せますか?」


リュシアンの眉がわずかに動く。

だが、すぐに笑みを浮かべた。


「……証拠?王子の言葉が証拠だろう。

王政会議など、私が必要とするものではない」


魔導結界が強く反応する。

虚偽の供述。傍聴席がざわめき、記者たちの羽ペンが走り、魔導録音石が脈打つ。


カイは冷静に続ける。


「さらに、令嬢への物理的接触を、令息たちに指示した記録が残っています。

この点について、どう説明されますか?」


リュシアンは眉をひそめた。


「……あれは、彼女が学園の秩序を乱したからだ。

断罪は当然の処置。私が命じたのではなく、彼らが自発的に動いたまでだ」


魔導結界が再び反応する。

供述の信憑性は低い。


カイは最後に問いを突きつけた。


「では、断罪劇の場において、あなたが“彼女を排除しろ”と発言した記録は、何を意味するのですか?」


リュシアンの瞳が揺れる。

だが、すぐに笑みを浮かべた。


「……王子の言葉は、命令ではない。

忠誠心が過剰だっただけだ。彼らが勝手に動いた」


魔導結界が強く反応し、法廷の空気はさらに重くなる。


カイは静かに言葉を締めくくった。


「以上、被告人尋問を終了します。

記録官、魔導記録の反応を含めて保存を」


裁判長が頷き、魔導記録石が証言と魔力反応を記録する。

傍聴席のざわめきは止まらない。

王族の傲慢と法の力が、正面からぶつかり合う瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ