第十話
裁判長は、リュシアンの身分確認を終えると、次の被告人たちに視線を移した。
「次、聖女候補ミリア・フォン・エーデルシュタイン。前へ」
白銀の髪を揺らしながら、ミリアが静かに立ち上がる。
その姿は気品に満ちていたが、どこか怯えたような瞳が印象的だった。
「氏名を述べよ」
「ミリア・フォン・エーデルシュタイン……聖女候補です」
「年齢は?」
「十七歳です」
「所属と身分は?」
「王立聖女学院所属。聖女候補として、神殿より推薦を受けています」
裁判長は頷き、次の名を呼ぶ。
「アレク・フォン・グラナート」
「ユリウス・フォン・ヴァルム」
「レオン・フォン・シュタイン」
「カミル・フォン・ノイエ」
四人の令息が順に立ち上がる。
それぞれが貴族の家柄を背負い、学園内では王子に次ぐ影響力を持つ者たちだった。
裁判長は一人ずつ確認していく。
★アレク
「氏名」
「アレク・フォン・グラナート」
「年齢」
「十八」
「所属と身分」
「王立学園高等部、グラナート伯爵家の嫡男」
★ユリウス
「氏名」
「ユリウス・フォン・ヴァルム」
「年齢」
「十八」
「所属と身分」
「王立学園高等部、ヴァルム侯爵家の次男」
★レオン
「氏名」
「レオン・フォン・シュタイン」
「年齢」
「十九」
「所属と身分」
「王立学園高等部、シュタイン男爵家の長男」
★カミル
「氏名」
「カミル・フォン・ノイエ」
「年齢」
「十七」
「所属と身分」
「王立学園高等部、ノイエ子爵家の三男」
裁判長は全員の身分確認を終えると、記録官に目配せし、魔導記録石が静かに光を放った。
「以上、被告人の身元確認を完了。
次に、検察官による起訴状の朗読に移る」
カイ・フォン・レオンハルトは、静かに立ち上がった。
その手には、魔法封印された起訴状が握られていた。




