第一話
新作です。
定番の乙女ゲームモノの悪役令嬢への救済です。
「王子に婚約破棄された?それ、違法です。」
王立学園の卒業パーティーは、王都の迎賓館で盛大に催されていた。
煌びやかなシャンデリア、絢爛な装飾、貴族たちの華やかな衣装。
その場に集うのは、王族、貴族、そして学園の卒業生たち。
壇上に立つ金髪の青年が、声を張り上げる。
「セレナ・フォン・グランディール!貴様の悪行、もはや見過ごすことはできぬ!
この場をもって、婚約を破棄し、国外追放を命じる!」
第一王子リュシアン。
その隣には、白い聖女服を纏った少女――ミリア・フォン・エーデルシュタイン。
彼女を囲むように、取り巻き令息たちが並ぶ。
アレク・フォン・ヴァルシュタイン(近衛騎士団団長の息子)、
ユリウス・フォン・エルンスト(宰相の息子)、
レオン・フォン・マルグリット(筆頭宮廷魔術師の息子)、
カミル・フォン・ドレイク(外務大臣の息子)。
彼らは王子の言葉に呼応し、セレナに詰め寄る。
だが、会場の空気は凍りついていた。
王族の言葉に、誰もが逆らえない――そう思い込んでいたからだ。
その沈黙を破ったのは、一人の青年だった。
「お待ちください、殿下」
静かな声が、会場の空気を切り裂く。
壇上に向かって歩み出たのは、黒のローブに金の刺繍を施した青年。
銀髪に青い瞳、肩には検察庁の紋章が輝いている。
「何者だ貴様。第一王子であるこの私に、口を挟むとは」
リュシアンが睨むように問いかける。
青年は一礼し、名乗った。
「カイ・フォン・レオンハルト。検察庁所属の特別検察官です。今日は法務大臣のお供として、母校の卒業式に参列しております」
ざわめく会場。
カイは、冷静に言葉を続ける。
「殿下は、何の権限があって、婚約破棄と国外追放を言い渡されたのですか?」
「第一王子として申し渡している。不服はあるまい!」
「では確認します。婚約破棄は王家が定めたもの。陛下の許可は?」
「……それは……」
「国外追放は、裁判によって量刑が決まるもの。殿下は、学園で法学を学ばれたはずですが?」
「……っ」
「以上を踏まえ、今の行為は王権の侵害であり、国家反逆罪に該当する恐れがあります。
さらに、今なにもしていない侯爵家令嬢に手をかけようとした行為は、暴行罪に当たります」
沈黙。
そして――
その瞬間、会場の奥の扉が静かに開いた。
次回は、水曜日




