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そして旅に出るその5



 プレイヤーが最初に降り立つ街、メルテトブルクでは少し騒ぎになっていた。

 近場で大きなジプシーモンスターが現れ、暴れ何処かへと向かって行ったという話が広まっていた。

 初心者には滅多にお目にかかれないジプシーモンスターが近場に来たというだけで感極まり、上級者にとっては折角の機会を失ったことに落胆していた。

 近場で大事があったからこそ出回り、いたるところに人が溢れかえっていた。


(ヴァルアクの魔法とか試してみようと思ったが、何処もかしこも人が多い、何処か過疎地はないものか)


 ミナモは再びログインし、当時の記憶と残っていたヴァルアクの攻略サイトを参考にしながら、ヴァルアクの魔法を試してみる事にした。

 しかし人が至る所に居て実験が出来ず、過疎地を求めて地図と睨めっこしていた。


(ええっと、ここから南東に向かって、麓を潜り抜けて湿地帯が良いか、ご丁寧に不人気狩場なんて書かれてるし)


 マップにはワンポイントアドバイスの様な事も書かれている。

 マップはプレイヤーが作る物で、その人物は各地を回って一枚の地図を完成させた代物であった。故に完成度の高い地図は値が張り購入困難となっていた。


(しばらくはこの地図に頼りっぱなしになりそうだ)


 フィーネと地図製作者に感謝しつつ、プレイヤーが出している露店を周る。

 ミナモが求めている者はそこそこの装備と、そして食料だ。

 空腹度がある以上長旅を行うならば食料が必須で、尚且つ日持ちする物、そして調理道具は必須だ。

 フィーネと別れ際になしのつぶてほどの資金を貰い、現在のレベル相当より少し上の装備を含めて探し始めた。


(う~ん、レベル19だとどれくらいの装備なんだろ?

 あの猪無力化してがっつり上がったからなぁ)


 猪を無力化後、レベルが一気に上がり19となっていた。

 順に上がっていけば困る悩みではないのだが、一気に上がってしまうとそこまでの知識が抜け落ちてしまい、調べるのも大変である。


(まあまず食材を購入してからか、残金で買いそろえるか)


 露店は地面にシーツを広げている場所や、木枠で作られた屋台風な場所などがあり、そこに物が置かれていて、触れる事で内容と値段を確認する事が出来る。

 店主は居ないがアイテムを盗めない様になっていて、防犯対策はされていた。


(相場も分からん、しばらくは見て回りそうだ、……もどかしい)


 目的とは違う事をしなくてはいけないと思うと、焦り自然と歩幅が伸びていた。


(……もどかしいか)


 嫌っていたゲームの事を調べようとするはずなのだが、まるで新しいおもちゃを待ちわびる子供の様な気持ちになっていることに気が付き自嘲した。


(腐ってもゲームだしな、うん、楽しい、こうしてる時間も、空気も、好きだよやっぱり)


 周囲の雰囲気、楽しそうに見て回るプレイヤー、難しい顔で吟味する者、それらを眺めているだけでも楽しい。

 素直に楽しむ事は出来ないが、今この場を楽しみながら、買い物を続ける事にした。


 買い物の最中、物を作る時に必要なアイテムが目に入る。


(ふーん靴を作る時の型とかもある、こっちは皮を切る奴。

 自作かぁ、スキルが無いし、良い物は作れんけど、自作もありかもしれんな)


 自作を考え、作り方を調べようと思ったのだが、近くに工房を見つけ、ミナモは吸い込まれる様にそちらの方へと向かった。

 工房の中に受付があり、奥から聞こえる物を打ち付ける音をBGMにして眠りそうなNPCが頬杖付いていた。


「い、いらっしゃいませ」


 ミナモが視界に入ると慌てて椅子から立ち上がり、髪を軽く手で整え笑みを浮かべるが、その表情に羞恥心が混じり少し焦っていた。

 NPCには感情があり、本当に生きて行動してるように見える。ゲームのNPCにまでコミュニケーションが大変という理由で、嫌いなプレイヤーも居るが、それでも評価はとても良い。

 特にWLMはNPCが世界を形作る大事な存在となっており、NPCが一番の主役と口にする者も少なくはない。

 それもこれも高性能AIによる制御で、感情を得て活き活きと活動するNPCばかりだからだ。


「見学したいんだけど、いいかな?」


「はい、どうぞお好きに」


 ぎこちなく笑みを作り手を入り口の方へと向ける。

 礼を言い奥に入ると、各々の作業台で革の鎧や靴、手袋などを作っているプレイヤー達の姿があった。


(ほーん、スキルでできるんじゃなくて、自分の手で作り上げるのか)


 アーツを使い、即座に装備を完成させることができるが、自分で作り上げた方がより高性能な物となる事が多い。

 ただし。


「うっ、オート製作よりも性能が低い…」


 高性能になるかはその人の腕次第であった。

 自分の手で作り上げようとしていた職人の卵であるプレイヤーが落胆するのを見て、自分もまた試してみたい気持ちが沸きがある。


(ま、制作道具貸し出しできるなら作ってみるかね)


 見学をそこそこに受付へと戻り、作成に必要な道具の貸し出しについて尋ねた。


「工房の場所を借りる際に道具の貸し出しはありますか?」


「はい、貸し出しは致しております。

 ただし素材についてはお客様の持参になり、貸出時間内に作業を終えてもらう必要があります」


「ありがと、じゃあ少し素材を集めてくるよ」


 礼を言い、ミナモは再び露天巡りへと戻り、必要そうな素材を買い集め始めた。

 とは言え、素材の良し悪しは不明で、値段で判別するしかない。品質というものがあるが、この品質はこのアイテムの品質であり、全体的なアイテムの品質ではなたいため、強度や柔軟性など未知数なものばかりであった。


(まあ、馴れてるしどうにかなるでしょ)


 固い部分、柔らかな部分、後は検索エンジンの力で調べるだけだ。

 そしてある程度値段と相談しながら妥協し、素材を一式そろえる。

 揃えた素材をさらに別な場所で加工していき、一式そろえて別な工房へ。

 最終的に最初に立ち寄った工房に戻ると、作業場を借りて作業の準備を始めた。


「お、初心者ちゃんか、スキルはセットしたかい?」


 席に座りどこから手を付けようかと思っていると、近くに居たプレイヤーが話しかけて来る。

 服装は初心者装備のままで、誰が何処から見てもそれ以上と答える事はできない。


「ああ、そういえば付けてなかった」


 スキルは今まで一切付けていない、精霊術がデフォルトで装着されてるだけで、スキル欄から慌てて靴を付ける為のスキルを探しセットする。

 後ろには腕を組み微笑ましそうに眺めるプレイヤーが居たが、無視し作業を開始する。


(やっぱり覚えてるもんだな)


 このゲームでの武器の製造方法は知らない。

 しかし他のゲームで培った知識と腕が今もなお生き続け、悩む事無く手が動いていく。

 後ろで見ていたプレイヤーは器用に手慣れた手付きで製作に取り掛かる姿を見て度肝を抜けていた。

 しかし途中で手が止まり。


「硬い」


 貸出の針では革が固く中々しぶとく、作業に時間がかかっていた。


「スキルレベルが足りないんじゃないか? それにこの工房の貸し出し品じゃ無理だと思うが」


 いつの間にか見てる人物が二人に増え、そのプレイヤーの1人がアドバイスを送る。


「面倒なこった」


 やれなくはないが、何か工夫できないかと考えながら作業を行う。

 そしてブーツを完成させて、次に着衣の作業に移った。


「手馴れてるが、リアルで靴でも作ってるのか?」


「別ゲーで慣れただけ」


 取り出した革に何故か仕上げ用の油を振り始める、奇行を目にした見学者二人は首を傾げ見守るが、金属を熱するためのスペースに移動し日に当てようとしてるのを見て声を上げた。


「な、なにやってんだ!」


「あ、危ないって」


「大丈夫だって」


 素知らぬ顔で火をつけると燃え盛っていくが、取り出した火バサミを抱え、近くにあった丸みを帯びた石の上に置き、鉄のハンマーでたたき始めた。

 鉄の様にあまりにも固い革の為何としてでも曲げたい為、熱を加えて曲げようという算段だ。

 その目論見は当たっていて、熱を咥えれば簡単に曲がり、燃える革を半円の形になる様に曲げていく。


「なんて強引な、品質下がるだろ」


「別ゲーじゃこういうので性能が上った事もある」


「これはそのゲームじゃないぞ」


「けど手持ちこれしかないし、それにできた装備は何処とも比較できないから、別に気にしない」


 比較する物が無ければ製作物に不満を持つ事は無い。

 奇行に走るミナモにハラハラとしながら、完成後に胸を一撫でして安堵する。完成したのはビスチェタイプの胸当てで、ワンピース型の着衣にそれを合わせて一つにしていた。

 これで服と靴が完成し、それを早速装備し一息ついた。


「疲れた」


「お、お疲れさん、見てる側がハラハラしたぞ」


「気にせんといて」


「で、性能はどうなんだ?」


「さあ? これが良いのかは分からないよ。

 まあ品質と耐久はそこそこだから問題はないね」


 比較するべき対象は無い。

 初期装備など比べ物にならない性能になったのは間違いなく、ミナモはそれだけで満足であった。


「じゃ」


 全て作業が終わり、ミナモは見学者に別れを告げて去って行った。

 残された見学者は本当に性能が良いのかと疑問に思い、見よう見まねで同じように革を燃やし加工してみると。


「……普通の奴と対して変わらんが、一応しっかりとした物にはなってるな」


 思いのほか普通に仕上がり、作った本人が驚いていた。



 装備を整え、乾燥した干し肉を購入して旅に出る。目的地は人の居ない僻地。

 移動中も人の居ないか確認するが、何処もかしこも人が多く、遠く見えていた山間に辿り着きやっと人の気配が無くなった所であった。


「この先かぁ」


 大きな山を観察しながら、軽々と駆け出し進んでいく。

 襲い来るモンスターは片っ端から薙ぎ払い、何時しかレベルは21にまで到達していた。


(しっかし、思った以上に敵が弱い、これなら別に適正レベル通りに行動しなくても良さそうだ)


 本来の適正レベルは25後半だが、ミナモにとっては格下のモンスターにしか見えなく、もっと先へ移動する事も考えた。

 麓の森は霧が出ていて、湿気が高く、いたるところに苔がむしっていた。

 どんどんと奥へと向かい、現実で合計半日かけてやっと湿地帯へとたどり着く。

 移動の間は景色を楽しみつつ、音楽を聴いたり、勉学に励んだりと自由に行動していた。


「現実では半日だが、ゲーム内で2日、四倍加速状態で良かったよホント」


 VRゲーム全般に、ゲーム内時間は現実とは異なる時間の流れとなっている。

 脳とCPUの連動により、さほど負荷も無く高速で流れる時間の中でも行動可能となっていた。

 ゲーム内の時間は現実の四倍の速さで進んでいく、その速さのお陰て広い大地も進んでいけるが、二日と言う時間は途轍もなく退屈である。その退屈を埋める為に各自勉強や動画を見たり音楽を聞いたりと退屈を潰す必要があった。


「しっかし、この地図作った人はどれだけ調べたんだ。

 300年前に街があった事が書かれてるよ」


 地図にはかつてこの湿地帯には街があり、湿地帯ではなく草原が広がっていた事が書かれていた。


「半径一キロに誰も居ないし、ここなら十分行けるだろ」


 モンスターを狩りレベルを上げるのが目的ではない、だからミナモは心置きなく羽を伸ばし。


「ふぅ、実験を始めようか」


 本来の目的を実行できそうだ。

 まずはじめにヴァルアクにおける基礎的な魔法を発動させることを試みる。


「印を刻み、詠唱がベターか」


 通常のゲームでの魔法の発動は千差万別、発動する魔法のイメージして発動さえたり、手順を踏んで発動させたりと、様々な方法がある。

 ただそんな事をしなくても、覚えているアーツならば、そのアイコンをショートカットに登録して発動も可能で、初心者はその方法でアーツを使用していた。その方法では隙が生れる為上級者になるほどしなくはなるが、それはまた別な話だ。


「えっと、印の形は確かこうこう、こうでっと」


 ゲームが変われば仕様が変わる可能性がある、手始めにヴァルアク内部の仕様通りの手順を踏んで試してみる事にした。

 指に力を流し込む様な感覚を抱くと、人差し指が軽く発光し魔力が込められたような状態になる。そのまま覚えてる限り印を描き、そして同時に詠唱し始めた。


「切り裂くは天を穿つ悪魔の咆哮」


 自分で言って恥ずかしくなりつつも、しっかりと魔法陣や詠唱を遂行させると、魔法が発動し。


「お」


 吠える様な暴風と風の牙が幾重にも一寸先から50m先へと襲い掛かっていた。


「……そういえば、こんな魔法だったな」


 発動してしまった魔法に驚くべきか、魔法自体に驚くべきか、一息ついて頭を抱えた。


「完全にどんな魔法が思い出せなかった。

 イメージが形になって魔法になったわけじゃないから、……あるのか、やっぱりあっちゃうのか」


 ヴァルアクの魔法が存在していた。

 なら今まで何故誰もそれを発見できなかったのか、そんな疑問が浮かんだが。


(ヴァルアクの魔法ってやたら特別視してたよな、中級者くらいからじゃないと使えないし、わりと発動も複雑だし、二年前サ終だったし、覚えてる人少ないよな)


 ヴァルアクの魔法は通常のネットゲームとは違い少し特殊だ。ヴァルアクの運営は魔法を一般のファンタジーゲームとは違い特別視したいらしく、気軽に使えず、初心者のうちは紙に書かれた魔法陣や触媒を利用して発動させることが一般的となっていた。

 扱いが難しいが、いざ発動させると威力が高く、程よいバランスとなっていた。


「がっつり減ったなぁ」


 消費MPも高く、現在最大MPが200を超えているのだが、180ものMPを消費しての発動であった。

 WLMにおける魔法は消費MPが10や多くても20程度の物が序盤に使うため為、180というのは非常に燃費の悪い魔法となっていた。

 MPを自然回復させ、試しに近くに居るカエル型のモンスターをサンドバッグと見立て魔法で攻撃を仕掛ける。

 魔法で風の刃を作り出し攻撃を仕掛けるが、6発42MPを消費し撃破に成功する。

 再度回復し、先ほど使った魔法を実行する。


「はい生き残ってる」


 風の牙に食らいつかれたが一撃では倒せず、風の牙は消え去ってしまう。

 なけなしのMPを使い、風の刃で攻撃を仕掛けると一撃で撃破できたが、それでも燃費は悪い。


「…いや、今重要なのは魔法の威力じゃない、ヴァルアク要素の方だ」


 過去のSSを確認しているときに忘れていたことも思い出し、その中にこのゲームで存在して良いのか疑問に思う魔法も思い出す。


(大量破壊系の魔法とかもあったよな、……やべぇ思想の天使も居たし、マジで全部あるの?

 ……あれ? 全部って事は、もしかして)


 さらにある事を思い出した。

 その事とはヴァルアクを辞めるきっかけとなったもの、そして今も尾を引く心残り。


「……物は試しだ、どうせ、いや、絶対に無い」


 存在するはずがない。

 しかしそれを確かめる為にも、ミナモはその場で『舞った』。


「すぅーっ、……――――――――」


 『何度も頭に叩き込み暗記した呪文』を唱える。

 体が自然と動き出し、指先から宙に光が描かれる、全身でくるりと舞い踊り、同じように世界が廻る。

 まるで煌びやかな光が流れ、弓の様に体をしならせ優雅に踊っていた。

 舞えば舞うほど指先から描かれる一本の線は紋様を成していき、光の軌跡から零れる粒子が空に散りミナモと共に踊り出す。

 描いた紋様は蔦のように成長し、一つの紋章を作り出していった。


「来たれ来たれ、彼方より来れ、祖は我なり我が天上の矛盾にして我がワケミの一部なり、目覚め、目覚め、……我が元に集え」


 刹那、紋様は一瞬に弾け消え、そして。


「……ない、わけないよな」


 ミナモの目の前の空間が断たれた。

 真っ二つに割れ世界が歪む、断ち切られた世界は暗黒の空間を生み出し、その場から光の球体が二つ飛び出てくる。


(神拳、ヘカトンケイル…)


 球体がミナモの両腕に張り付くと形を変えていく。


「複雑だよ、お前は何時までもあり続けるんだな」


 それは一目で目を引く白金色の洗練されたデザインのガントレットであった。装飾は施されていないが、デザインによる見た目は一級品で、高級感を感じさせる。しかし質素さもあり、成金趣味の様な悪趣味さは感じられないものであった。

 ミナモがヴァルアクで作り上げた、この世に唯一無二の神器である。

 この神器のせいでヴァルアクを引退する事となり、ファンタジー作品から遠のくことになった曰く付きの逸品だ。


「消滅せずに残り続けてたのか、他の人の手にも移ってないし、まあ、そりゃそうだよな」


 素材を集めるのは大変で、さらに揃ったとしてもそこから作成する工程が問題だ。

 先程踊った舞は製作の工程に必要な儀式の一つであり、遠く離れた場所からでも召喚できる唯一の儀式だ。

 呼び出す方法さえ解れば誰でも呼び出せるというわけでもなく、制作者本人が儀式をして呼び出す事が可能で、それ以外が呼び出そうとも呼ぶ事ができない。


(当時も思ったけど、なんで遠くから呼ぶための工程があるんだろ?

 強くて肌身外さず持ち歩くのが普通なのに)


 装備を外す必要も無い為、何故召喚が可能なのかと今でも疑問に思うほどの謎である。


(……けど、なんでこのアバターで呼び出せてたんだ?

 アカウントのデータとかバイタルデータとかで判断してるのかな?

 どっちにしろこれで元鞘か、まあ当たり前か、誰も知らないしな、見た目も名前も、内容すべて)


 儀式などの情報は一切公表していない。

 だというのに何故ミナモが神器所持者なのかとバレたのか、それは至って単純で素材を必死に集めている姿を見られていたからだ。

 唯一神器に近かった事が災いし所持者を特定、しかも運が悪い事に、神器を完成させたときにゲーム内全てに神器が完成された事がアナウンスされてしまった。誰が完成させたか明白で、翌日には少しずつ根も葉もないうわさが立ち始めた。


「誰に自慢したわけでもないのにな、人間恐ろしい……」


 喜んだのは最初だけ、翌日から奇妙な噂に悩まされ、モチベーションも無くなり一週間後には引退した。

 人に見せる事はなく、試しにモンスターを二体ほど殴って終わりである。長い苦労が水の泡となってしまった。


「ほんと、複雑」


 ミナモはこの事をフィーネには伝えない。

 信用していないわけではないが、話す気力が無かった。

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