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嫌がらせ少女は大志を抱けない。~めっちゃ強い少女はただ無双する事が出来れば良いなぁって思いました~  作者: せいゆ


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ただ羨ましく その4




 目的地へと移動する前にやる事がある。

 第一に持ち物の準備、そして各役割分担である。

 それを指示するのはシャッハであるのだが、シャッハは何も言わずに目的地へ向かおうとしていた。

 ミナモは黙ってそれを眺めて、ちらりと他の者たちを見回す、その視線に気が付いたトゥーフォは一度首を傾げてその視線の意味を考え。


「あっ、装備とかの準備だ」


「あっ」


 シャッハは自分の準備をすでにしていた為、皆の準備を忘れていた、トゥーフォの言葉で思い出して慌てる。


「み、皆、装備とかの準備は出来てるかな?」


「できてる」


「俺も大丈夫、な、はず」


「お、おう」


 そして言い出したトゥーフォは。


「まあ、俺も出来てるけど、あんまり持ってないし」


 準備をしえた為、改めて準備は誰も必要としない。

 さらにミナモが視線を送ると、他に必要な事が何だったかと思い出し。


「次は、…確かポジションの打ち合わせ、だったか?

 アイテムの管理や収集、それ等かな?」


「そ、そうだ、今言おうとしてたんだが、先に言われちゃたなぁ」


 そしてシャッハは全員を見回す。


「え、えっと、じゃあ、盾役のヒューズデイ、近接で攻撃するシュカ、回復をヒヨリちゃん、周囲の警戒をトゥーフォ、従魔には魔法で支援攻撃、僕は槍を使うから遊撃させてもらうよ」


 トゥーフォが周囲の警戒と言われて首を傾げる。


「周囲の警戒って?」


 尋ねて、答えてくれないと思っていたのだが、ミナモが口を開いた。


「モンスターは一体とは限らないですから、後ろを取られたり、近くに居る敵を見つけたら呼び掛けて近づかせないようにします」


「答えてくれるんだ…」


「基礎の基礎だけは教えますよ。

 まあ、あくまでその部分だけですけど」


「じゃあ遊撃は?」


「遊撃も似た役割ですけど、警戒よりも負担が軽い、手が空いているなら気軽に攻撃できる位置に居ます」


「つまり俺はあまり戦わないって事か」


「いえ、一番気を遣う為疲れます。

 なにせ時折移動などを指示しなくてはなりませんから」


「移動の指示?」


「例えばですね、手前で戦っている場所があるとして、奥にモンスターを見つけて襲い掛かる可能性があるとします、その場合出来る限り刺激しないようにその奥のモンスターから離れなくてはなりません。

 戦っている者は戦いに集中していて気付く事が遅れたりします、それを指示して出来るだけ誘導します、手が空いてるなら一応攻撃もできます」


「結構重要な役割だな…」


「後は、……まあ、実際にその場面になったら教えましょう」


 ミナモが語っていると、三人の初心者が興味津々に聞いていて、自分の役割などを尋ねてくる。

 ミナモはそれに基本的な事とちょっとしたアドバイスを送り返していた。

 街を出て目的地へと向かう。

 移動中は話題が無いためか、無言に気まずくなり話題を出そうとする人たちが居たが、開いた口から言葉は出ない。


「こういう時のアドバイスでもしましょうか」


「アドバイス?」


「最小限の事しか話さない無言PTというのもありますが、そうじゃない場合何か喋る為に皆さんは悩む事でしょう」


 今がその状況の為図星をつかれて苦笑いを浮かべた。


「まずは自分語りをせず、好きな物を語りましょう」


「自分語りをせず、…好きな物? ああ」


「好きな物って、自分の好きな物だろ?」


「リアルと同じ、自分の事べらべらじゃなくて、どんな食べ物とかそう言う系。

 私はオレンジが好き、ジャムにするのもいい、どんなオレンジが好き?」


「ああ、そっか、そう言うのでもいいのか」


 ミナモはその返答に満足する。

 食べ物の話題はありきたりではあるが、共通して話題を広げやすい。


「流石に天気の話などは相手にも話題が無いと思われてしまいますが、まあ、食べ物はバンコク色々と、話しを広げやすいです」


「それでも話が盛り上がらなかったら?」


「それはもう、難しいですけど…。

 まあ、最終手段、奥の手としては嫌いな事を尋ねるのが良いかもしれません」


「嫌いな事?」


「あくまで一つの方法です。

 好きな話題というのも明るくなるのですが、共通の話題となるかは人の数だけ好きな物がある為少しハードルが高いです。

 合わない話を特定の共感した人物だけで話すと溝が生まれ疎外感を与えます」


「確かに」


「苦手となると話は変わります、例えば勉強、特定の教科が苦手など話題を出せば、共感を得られたりします、そこからいろんな話に繋げる事ができます。

 ただいきなり苦手な話となると、人によってはマイナスな話題を嫌います、ですので最後の手段です」


「じゃあプラスで共感を得られる話が良いのか?」


「そうですね、共通した話題といえばやはり食べ物…ですかね」


 正直食べ物の話もありきたり過ぎて、話しを広げるよりも、話題の限界性を感じる。


「最近話題の事など…、後は共通する話題などこのゲームの事くらいで、それ以外は難しい難問ですよ」


「お前も、あ、ミナモさんも、分からないの、ですかね…」


「お茶らけて場を噛みだす事なら得意ですよ、時には馬鹿をする事をも必要です、そこはリアルでも周りに似たような人が居るんじゃないですか?」


 言われて全員が誰かを思い浮かべ頷いた。


「PTって大変なんだな…」


「そうですね、特に知った仲でないのなら、リーダーは苦労しそうですね。

 時にかっこよく、時には馬鹿をして場を盛り上がらせたりしてPTの雰囲気を作らないといけませんから」


 別にミナモが睨みつけたわけではなのだが、ばつが悪いのかシャッハはそっぽを向いた。


「ですが、今はここには初心者しか居ません、共通する話題としては自分の行動や思ったことなど、ゲームでの話をして情報を交換できます」


「あー」


 話題が決まり、手始めにヒューズデイが話を始め、それに対しての質問などをしたりと、情報の共有を始めた。

 トゥーフォが体験したことなどもしっかりと話したり、ミナモの事を話すなど話題を広げていき、シャッハもその話にしれっと混ざり自慢話の様な事をしていた。

 そして休憩などを挟みながらも狩場に辿り着き。


「じゃあ始めましょうか」


「り、了解」


 来る途中街道沿いを歩いてきたためモンスターとは遭遇せず、これからが本格的な戦闘であった。

 今回相手にするのはサイの様に大きな亀である。

 巨大な亀で、動きは鈍いがその分防御力が高く、攻撃の一撃が重い。一人でも撃破は可能だが、その性質上複数人で倒すことが前提のモンスターとなっていた。


「気を張らない、リラックスリラックス」


 とミナモが宥めるが、前線に出るヒューズデイには気が重く不安であった。


「えっと、挑発でタゲ取って、ヘイトを稼ぐ」


 挑発というアーツを使い、ヒューズデイにターゲットを向くようにする。他の人に攻撃を移さないために、自分へヘイトを集めるアーツを使いヒューズデイに釘付けにする。

 それが盾役の務めであった。


「き、来た!」


「まだ、ダメなんだよな…」


 ヒューズデイに襲い掛かろうとするが、シュカなどはまだ攻撃をしていない、それはターゲットを固定するためにヒューズデイがヘイトを蓄積するのを待つためであった。

 接敵しヒューズデイはさらに魔法を使い自分の防御力を上げる。

 魔法の発動自体にもヘイトが蓄積する為、事前に行うのがベストなのだが、ヘイトの蓄積も兼ねてヒューズデイ自身がそれを行う。


「おもっ」


 突き上げるように攻撃をする亀、その攻撃はとても重く仰け反ってしまいそうだ、しかし何とか鉄の盾でそれを受けきり踏ん張る。


「バッドスラァシュ!」


 ヒューズデイは短い剣でアーツを叩き込みさらにヘイトを蓄積していく。


「よし、良いぞ!」


「おっしゃ!」


 自分の番が来たとシュカが飛び出して、亀の脇付近を剣で思い切り叩き始めた。


「かっ、てぇぇ!?」


 手に持っていた剣が甲羅に当たると、手に反動が伝わりしびれる。

 その感覚に驚きながら、シュカは横なぎに攻撃を叩き込む。


「これ、効いてるのかよ!?」


「大丈夫だよ」


 攻撃を当てた時に一瞬だが亀が反応している、ダメージが無いわけではない。

 ただ一番いいのは足や顔と言った甲羅に覆われていない部分が狙い目である。

 しかし初心者がそこで攻撃すると手痛い反撃を食らい、最悪一撃でやられてしまう可能性がある、下手に足回りを攻撃出来なかった。


「ハァァァッ!」


 逆側からシャッハが攻撃を仕掛ける。

 一応彼等よりもレベルが高いため、亀が一番苦しがっていた。


「ハッハッ!」


 さらに攻撃を叩き込み続けると、ヒューズデイの方を見ていた亀が突然シャッハの方へ振り向こうとしていた。


「あー、移った、これはまずいか?」


「え? 俺も攻撃に参加するか?」


 近くに居たトゥーフォがミナモの声を聴き参加をしていいかと尋ねる。


「周囲は?」


 ミナモは状況をよく理解しているが、トゥーフォは見張り役の為、周囲の状況がどうかわざと尋ねた。


「大丈夫だ、視覚外、空にも居ない、地中は分からない」


 ミナモはすっと指さすと、それを皮切りにトゥーフォが飛び出し攻撃を仕掛ける。


「わっわっ!?」


 ヒューズデイからシャッハにターゲットが変わり、突然亀に睨まれたシャッハは驚き後ずさる。

 そこへすかさずトゥーフォが攻撃を仕掛けると、亀は唸り声を上げて苦しみ始めた。

 斧の方が攻撃力が高い為ダメージが良く通る。


「よく分からんが、とりあえず一端仕切り直し、体制を整えよう!」


 トゥーフォが一番冷静なため、そう呼びかけるとみんなが慌てふためいて何をすればいいのか悩み始めた。

 トゥーフォは攻撃、警戒、回避と安全優先しながら戦いを挑んでいる。


(違うタイプの敵とは言え、初見の敵にあれだけ対応してるんだ、十分な成長だ)


 ミナモは感心しつつ、戦いを真剣に眺めるヒヨリに声をかけた。


「ヒヨリちゃん、落ち着いてるねぇ」


「……何をしていいのか分からなくて固まってる」


 ヒヨリは回復以外の行動をとっていいのか不安で行動出来ずにいた。


「大丈夫、回復役はMP温存で怪我人が出たら即回復が良いから、そのまま皆を見守っててね」


 アドバイスを送り、さらにイトウに話しかける。


「イトウさん、ほら、君もあの子たちの仲間だよ、難しいかもしれないけど魔法で攻撃してみようか」


 イトウは自ら作り上げた水球を器用に動かして回り込むと、魔法を発動させて攻撃に移った。


(ふむ、脇か)


 皆が狙うように脇を狙い水の礫を放つ。

 相手に当たるが、効果が薄いと思ったのか、狙う個所を変えてくる。


「お」


 狙いは足の方で、攻撃を当てて相手の反応を伺っていた。


(脳トレしといて良かった、ちゃんと考えてるね)


 感心していると、さらに狙う場所が足の付け根などになり、よりダメージを与えていた。


「良いぞイトウさん、狙いが偉い」


「おらっ!」


 そして負けじとシュカも攻撃を始め、ヒューズデイも頭に攻撃を始めた。


「バッドスラッシュ!」


 同じアーツを何度も使い叩き込むと、ヒューズデイにターゲットを切り替える。

 咄嗟に変わったため、ヒューズデイは頭突きを叩き込まれて吹き飛ばされてしまうが、そこをヒヨリが慌てて回復を行った。


「ヒーリング、ヒーリング、これでマックス」


 HPが最大まで回復したのを見てほっと一息つくヒヨリ。

 ヒューズデイは立ち上がり、歩いて追ってくる亀に向けて盾を構えた。


「バッド、あれ?」


 アーツを使おうとしたが、今度はイトウの方を向き始める。

 イトウはそれを目撃して回り込むように逃げ始めた。


「待て! バッドスラッシュ!」


(ダメージ与えすぎてヘイトが移動しちゃってるんだよ。

 このわちゃわちゃ感、初心者だなぁ、初々しい)


 ダメージを与えすぎると、盾役からダメージが高い攻撃をしてくる者に移動してしまう。

 その様子を見たミナモは内心初々しさに微笑ましく、亀が倒れていくのを見守った。


「お、おわ、った」


 全員が気疲れして場にへ垂れ込む。


「お疲れ様、初々しい戦闘がとてもかわいかったですよ」


「うぅ、…多分ヘイト管理、ですよね?」


「正解です」


 ヒューズデイは自分が失敗した事に気が付き、内容も把握していた。


「盾役は怖いですからね、一番前で必死に受け止めて、隙を見てヘイトを溜める攻撃をしなくちゃいけませんから」


「…正直辛いっす」


 初心者には荷が重いのが盾役である。

 その為盾役は重宝されがちで、引っ張りだこの人気役である。


「初めて戦ったんだから辛いのは仕方がないよ」


 フォローを入れる、周りの人物はターゲットが移った理由を理解して納得していた。


「イトウさんもナイスです、弱点を探して狙ったのもとても良かったです。

 次からヘイト管理を頑張りましょう」


 イトウに餌を与えて休憩させる。

 嬉しいのか感情が一切分からないが、嫌な気分でない事はミナモは分かった。


「さあ少し休憩、と言いたいけど素材を剝ぎましょうか」


 亀はアイテムにならずに残り続けていた。

 アイテムにならない理由は、PTにある設定でアイテム化ではなく死体が残り続ける仕様になっていた。

 死体から直接剥ぎ取り回収する事になる。

 メリットとしては素材が多く手に入ったり、入手できる素材の品質が良くなるからだ。

 しかしその剥ぎ取りに失敗してしまうと、素材が入手できなかったり、品質も下がってしまう。

 解体職人という役職があるほど、素材の解体というのは重要であった。


「……解体」


 皆が生唾を飲む。

 彼らは解体などしたことが無く、未知の世界だからだ。

 一応魔法や特殊アイテムで一発お手軽に解体もできるが、その手段をお持ち合わせてはいない。


「ナイフを入れたら解体できるってイージーモードじゃないよね?」


「行く前にノーマルって言ってたからノーマルじゃないの?」


「そう、だよね」


 解体にはイージーモードがあり、ナイフなどを複数個所刺すだけで解体される様になる。

 ナイフを入れる場所によって個数や品質が変わるが、ノーマルモードの方がそれらを上回る事が可能だ。

 因みにハードモードは無い。さらにノーマルモードの発案者はシャッハであった。


「今回は私が魔法で解体しましょうか。

 背伸びをしても仕方がないので、次からはイージーでやりましょう、なんでしたら通常ドロップでも良いでしょう」


「一応イージーで、イージーだけでもなんとか上達したい」


 ヒューズデイがイージーの練習をしたい様で、次からその設定が適応されるようになった。

 一先ずミナモが魔法を使い解体していく。


「荷物係の俺が持つ、か」


 リュックを背負っていたトゥーフォがPT共通アイテム欄へと素材などを回収していく。


「さて、では一戦ごとに反省会しましょうか。

 私は後で口を出すので、全員で駄目だしなどをしてください。

 ただし無駄に人を責めたりしない事、全員初心者なんですから。

 後はイトウさんの事はイトウさんに、返答などは私が行います」


 そして休憩を兼ねた反省会が行われた。

 内容は再確認が多く、ダメな所は殆ど自覚している人が多かった。

 それから二戦三戦と行い、反省会を行い動きが良くなっていく。


「集中攻撃は駄目か、分散しないとこっちにヘイトが向くな…」


「次は私も魔法使う、MPに余裕がある」


「念のためにバフを――」


 彼らは失敗を繰り返してどんどんと学んでいく。

 イトウも彼等の話に耳を貸して、自分で考え始めていた。

 20体を目標に狩りを続けて、全員が一丸となって挑戦し、20体を倒す頃には完ぺきに行動できるようなっていた。


「これで20体目」


「意外と行けるじゃん」


 緊張していた頃が昔のように、今は苦戦することなく倒すことが出来た。


「俺って慣れるのに時間かかるのか…」


 ヒューズデイなどの初心者組がすぐに馴染んでいくのを見てトゥーフォが少し落ち込んだ。


「人の上達には個人差があります。

 悲しいけどそれは仕方がない事です、私も昔はそうでした」


「嘘だろ? お前が? あ、ミナモさん、も?」


「はい。

 置いていいかれて泣いた事もあります」


 今のミナモからは想像がつかなく、トゥーフォは嘘かと疑っていた。


「想像できないでしょうが本当ですよ。

 悔しくて悔しくて何度も出来るまでやったものです」


「…そうか」


 例え嘘であっても、出来るようになるまで努力した事が本当ならば、今の強さにも納得がいく。


「さて、失敗ポイントが溜まりましたので、清算アドバイスをしましょうか」


 ミナモは話題を変える為に、コツなどについて話し始めた。


「これからはこういうテンプレートを大事にしながら、新しい発想を取り入れていってください」


「発想?」


「例えばですね、これはほんの一例ですが、複数の武器を持つ、とかですかね、もちろん違う武器でも大丈夫です」


「複数? 何故です? ミュトンさんは一つの武器が良いと言っていましたよ」


「ミュトンとは誰かは知りませんが、手数が増やせます」


「……戦いの幅を増やす?」


 黙って考えていたヒヨリが代わりに答えた。


「そうです。

 例えば弓」


「弓…」


「これは私が前にやっていたスタイルなんですが、接近するまで弓で削って、接近されたらナイフや剣で戦うといった感じです」


「弓一辺倒じゃなくてもいいのか…」


 シュカは映画でのワンシーンなどを思い浮かべて、スタイリッシュに戦う自分を想像した。

 逃げまどい様々な体勢から矢を放ち、接近されたら懐からナイフを取り出し相手を切り刻む、そんなシーンだ。


「……出来たらかっこいいだろうなぁ」


「かっこいいだけじゃダメだろ」


「いいえ、カッコイイというだけでモチベーションは上がります」


「俺にかっこよさは捨てろって言ってなかったか?」


「それは戦い方です。

 かっこの良い戦い方を想像するのは勝手ですけど、現実は泥臭い戦いに必ずなって上手くカッコイイ事なんてできません。

 練習をすれば可能にはなるでしょうけど」


 理想と現実があり、頑張っても想像の中の様になるには相当の訓練と、周りがそれを許容してくれる必要があった。


「長い得物で回転しながら攻撃すれば周りのプレイヤーに迷惑がかかったり、いろいろと問題が起きます。

 効率よく安全な攻撃というのがPTに求められます。

 もちろんソロ活動は例外ですので自由にどうぞ」


 一人での活動に制限はない。近くに人が居て迷惑をかけるという事もあるが、それはその人のモラルの問題である。とは言えバンディットになる人も居る為、必ずしも悪いとは言えない。


「その為の幅を利かせる武器の追加か……。

 じゃあ盾を二つ持ったり、盾に何か仕込む、刃をつけるっていうのは良いのか?」


「問題ありません、それが盾として機能し、役割を果たすのであれば問題は一切ないです」


「え? 良いのか…」


 ヒューズデイの思いついた事を言い、それが駄目とも言われずに肯定されたことに驚いた。

 するとどんどんと想像を膨らませて、武器と盾を融合した装備に思考を巡らせていく。


「何でもあり?」


「もちろん。

 自分の役割の枠外の事をしても、怒られたりしない範囲なら大丈夫ですよ」


 皆が思い思いに悩み始める。


「デメリットとしては複数に手を出すとその分一つの事を極めるには時間がかかります。

 ですが自分を探す良い機会にはなります」


「自分探し? 私も探したい」


「ええ、探しましょう。

 何が苦手で何が得意か、そしてその武器を使ったときの気持ち、それが分かります」


 最初に好きで選んだが合わず、別な事の方が得意だったという事例はとてもある。

 ただ別な事を見つけるのが遅すぎて、最初に選んだものを続けるという例も多かった。

 だからこそミナモは皆に可能性を広げる為に複数の武器を持たせることを提案した。


「後はその武器を使ったときに感じた事や立ち回りなどを知れば、自分がどう見られてどう行動したらいいのかも分かります」


「同じの続けては分からないのか?」


「分かる人も居ます。ですが、一番は体験してみる事です。

 盾役は後ろが見えず、後衛は前衛の気持ちが分かりません。

 前衛が射線を邪魔したり、後衛が無理に攻撃して前衛の攻撃を躊躇させたり、いろんな弊害が起きたりします」


「その人の気持ちか…、難しいな。

 …あの時俺は邪魔だったかな?」


 トゥーフォが悩み皆が同じように今日の戦いを振り返り、自己反省し始めるのであった。

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