テイマーは面白い? その7
村を救う、子供達に言われても揶揄っているだけにしか聞こえないが、6人の子供達はとっても必死で訴えていた。
「俺達の知らない所で、村が乗っ取られるって、それにこいつの兄ちゃんも体が弱いのに急に元気になって」
「え? 元気になるのは良いのでは?」
それに対してラタークの弟は首をゆっくりと横に振って答える。
「おかしくなっていくんだ、体も変になって、お父さんとお母さんは街にお医者様を呼びに行って帰ってこないの、……もう嫌だ」
「体が変に?」
「それだけじゃねぇんだ、よくわかんねぇ事ぶつぶつ言って、怖いんだよ、母ちゃんや父ちゃんもそいつらの仲間だと思うと……」
それを皮切りに子供達はメイアに抱き着いたり近づいたりして必死に訴えかける。
「助けてお姉ちゃん!」
「お父さんを元に戻して…」
「お願い!」
子供達の数名は泣き縋り必死に助けを求める、釣られて泣きそうになる者もいた。
そんな姿を見ればただ事ではない事は明白である。
(もしも本当だったら一大事、この様子から間違いない気がする…)
助けるのが一番なのだが、子供たちの情報だけでは行動に移しづらい。
(ど、どうすれば…)
自分一人で行動するにはあまりにも規模が大きい話だ。
判断をしかねていると、ふと言葉がよぎる。
『指示待ち』
その言葉が響くと急激に冷静になっていく、次に取るべき行動を考え出していた。
(一先ずもっと詳しい話を聞いて、それからその話自体の裏付け…)
行動するにも情報が必要であった、だから子供達から詳しい話を聞くことにした。
「いいですか? 物事を一つずつ順に話してください」
そして羽を拾った後からおかしくなっていったという事を話し始めた。
最初はラタークに羽をプレゼントした後から異変が始まった。
二日ほどで快方に向かい体調がよくなったのだが、その時から変な事を口走り始めた。
「穢れが蓄積しているとか、よくわからない事言い始めたの。
小さな声でよく分からない事も言ってたんだけど、聞こえなかった」
それから村では一日寝込む者が現れ、同じくおかしくなる者が現れた。
「わたしのお父さんもおなしくなって、怖くて…」
「しばらくして人が森の中で白い化け物になってさ、……父ちゃんも母ちゃんもああなってるかもしれねぇ」
子供たちの不安はすでに限界に近い。だからこそメイアに助けを求めてきたのだ。
「もし私達が来なかったらどうしたんですか?」
「俺達今日この村から逃げて、街に助けを求めに行こうと思って…」
「子供達だけで……」
彼らの覚悟は本物だ、疑う余地もなくメイアは子供達を信じることにした。
「分かりました。わたくしが助けます」
助けると判断したのだが問題はある。
(どう行動すればいいのでしょ?)
解決への道しるべが見えない。
村に化け物が居る事が分かっただけで、それ以外の事に対して情報が無い。
(人が化け物になる? 流石に人から化け物にはならないでしょうから、この場合何かしらのモンスターが人間に化けていると考えるしかないわね)
子供達は真実を話しているのだが、信じる事は出来ない。
人間が化け物になるという事例がないという事もあるが、もしも本当だった場合今後のプレイにも支障を来す、未来は疑心暗鬼の世界になるだろう。
「じゃ、じゃあ、いったん街に人を呼びに行こう、早く人を多く呼ばないと」
その提案をした男の子にメイアが首を振って答える。
「それは街の住人達は信じないでしょう」
「ど、どうして?」
「わたくしは信じましたが、多くの人に信じてもらうとなるとそれ相応の証拠が必要です、化け物に乗っ取られてたりとする確たる証拠。
証明してもらえれば助けてくれるはずです」
「証拠……」
子供達は家族の為にも顔を青くして必死になり証拠について考えるが思い浮かぶことは無い。
「あっ」
「何かありましたか?」
「無いから作ればいいんだ」
「え?」
考えても証拠はない、ならば証拠を作り上げるというのがその子供の考えだ。
突飛押しのない発想にメイアは呆然としてしまう。
「…そ、それはいったいどういう事ですか?」
「あの白い化け物を呼び出して持ってけばいいんだ」
「そうだ、そうだね、ボク達狙われてるからそれがいいかも!」
「ね、狙われてる!?」
衝撃的な発言に、メイアは慌てて周囲を確認して警戒をする。
「ほ、本当なんですか!?」
「う、うん、化け物になった人がずっと見てたりする」
「監視、してみるたいなんだ」
監視されてると知ると、今この場所が安全とは思えなくなってしまった。
落ち着いて話をしたいが、呑気に話している余裕がないと知るとメイアは慌て始める。
「と、とりあえず安全な場所で話したいのですが」
「じゃああの山の天辺に行こう? あそこはモンスターも寄り付かない場所なんだって」
「あの山? …この人数の子供でしたら、大丈夫でしょう。
分かりました、今は一先ずそこへ行きましょう」
移動の手間を考えれば近場の方が良い。街にしても村にしても最適な場所だ。
全員を従魔達の背に乗せ、メイアもその背に乗り周囲を確認してから飛び出した。
山の頂上は確かに静かでモンスターの気配はない。
静かに降り立ち子供達と共に何かヒントがないか模索し始めた。
「結局何も思いつきませんでした」
「やっぱり捕まえないと」
子供達は捕まえることを考えているが、メイアは誰がモンスターなのか判別がつかずに手を出せない。
子供を連れて確認するとしても、相手の強さも未知数、子供を守りながら戦うのは難しい。
「……あれ? 村の方から明かりがいっぱいあるよ」
一人の子供が村の方を指さす、釣られて子供達も視線を向けると、家々に光が灯っていて小さな松明の炎が小さく動いていた。
「ボク達を探してるのかな?」
「殺そうとしているのかも」
「…怖い、お家帰りたいよぉ」
子供達が不安になっており、そろそろこの場に居るのも限界であった。
(あまり時間がない、こうなったら一度街に行って保護してもらって、またこの村に戻ってくるのもいいかもしれない)
その方が安全だと思う反面、もう一つの懸念が浮上した。
(……わたくしが誘拐犯にならないかしら? いえ、もう村ではわたくしが誘拐した事になっていたり)
今更誘拐犯に仕立てられているのではないか不安に駆りたてられる。
(探して捕らえる、もうこれしかない気がする)
自分も引くに引けず、内心件の化け物が居る事を願ってしまう。
同時に子供達の事を思えばそれを願うのは失礼で、誘拐犯でも良いという考えもあった。
(流石に村に戻るのも危険、だからと言ってこのままもできない。
…街に行くしかないわね)
自分一人ではもう手が付けられない。
最悪何処かで子供達を保護してもらい、そこから他の人の力も借りる事を視野に入れる。
「……街に一度送ります、話を聞いて探してくれる人は多いはずです。
ただ正規の人ではないでしょうけど、それでも探索する人は多いでしょう」
「せいき?」
「軍隊というわけではなく、冒険者が殆どという事です」
良くも悪くも顔の広いメイアなら、話をすれば着いて来てくれる人間は多い、それに望みをかける事にした。
(最初からそうしていればよかった、自分の意地のせいで判断がおかしくなっていた。
もう少し冷静にならないと)
自分は出来る人間だと証明したいばかりに、判断が鈍っていた。
少し熱が冷めたせいで自己反省できるようになっており、これから正常に行動できそうだ。
「どれくらいの規模?」
「下手をしたら100人近くにはなるでしょう」
イベントに首を突っ込みたいと願う人間は大勢居る、それを逆手に取るように先導すれば100以上の人間が探索にあたるだろう。
「それは困るなぁ」
「……え?」
リーダー格の少年がため息をつき、―――メイアに攻撃を仕掛けた。
「……ッ?」
咄嗟の事でメイア自身、そして従魔達や子供は反応できなかった。
五つの指が鋭い白い爪となり伸び、メイアの胸元に突き刺さると易々と体を貫通してしまう。
「―――な、なに、が…」
「キート、君?」
「困るんだよなぁ、ボクは街で逃げ出した奴を処分しないといけないんだから」
キートと呼ばれた少年、いや、化け物は手のひらを上げると、突き刺さったメイアが宙に持ち上がる。
それを見た従魔達は有無を言わさずキートに攻撃を仕掛ける。
キートはメイアを振り払うと、ユニコーンがメイアをキャッチするように飛び上がり背に乗せ、ライオンが電を纏った引っ掻き攻撃を仕掛ける。
「五月蠅い獣だ」
ライオンの攻撃はキートの腕で受け止め、振り払うとライオンは地面に叩きつけられ転がっていく。
「貴方達森の奥に行きなさい!!」
メイアはユニコーンから降り、子供達に逃げるように呼び掛けるが子供達は何が起きているのか理解できずに動くことが出来なかった。
「『アレ』を攻撃して! できる限り距離をとってホーリーライトよ!」
ユニコーンに化け物への攻撃指示、メイアは背負っていた小さな盾と腰に下げたナイフを構えて子供たちの元へと走る。
ユニコーンは舞い上がり、指示通りに距離を取りながら光魔法のホーリーライトという白い球体を出現させてそこから光線を放つ攻撃を始めた。
同じくしてメイアはライオンの方へとナイフを向ける。
「ヒールエアロ! 起き上がったら回避を重視、余裕があったら攻撃!」
回復魔法を放つと癒しの風がライオンを包む、さらに自分の傷を回復する為に同じ魔法を使った。
(訳が分からない、化け物って、あれが、そうなの? 嘘でしょ、子供に化ける?)
戦闘に入り、無意識に冷静に行動する。
しかし相手が本当に人間化け、奇襲を仕掛けられた事で頭は混乱したままだ。
(距離、分からない敵には距離を離す…、距離を)
初見のモンスターと同じ遠距離からの攻撃で反応を伺う指示を出しているが、今回の相手に至ってはそれでも不安しか感じない。
(そもそも一撃でわたくしの体力を5割近く持って行った、ビスパ(ライオン)の攻撃も食らった様子がない、しかもあの子はわたくしよりも頑丈なのに4割を持っていかれた。一体何なの!?)
相手の実力も不明、正体も弱点も何もかもが分からず、不安を通り越して恐怖を感じていた。
メイアは子供たちの盾になる為に前に立ち、再び子供達に避難を呼びかける。
「早く逃げてください!」
「…だって、キー、ト君が、え? なんで?」
友達であった者が化け物になっていたというショックと、目の前で起きている戦闘が怖くて身動きをとることが出来ない。
メイアは歯を食いしばり無理やりにでも体を押して再び呼び掛ける。
「あれは偽物です! 本物は違う場所に居ます! 早く奥へ!」
その声にやっと足が動き出し、それでも戦っているキートの方が気になり何度も振り返る。
「早く! っ!?」
叫び呼び掛けたとき、構えていた盾を一瞬にして切り裂かれ、キートがしなやかで鋭い指で腕ごと切断した。
よく見るとライオンが左手の指に何本も切り刻まれて横たわっていた。
「早く逃げて!!」
それは誰に叫んだのかメイア自身にも分からないが、真っ白になった頭で必死に呼び掛ける。
すると高らかに叫ぶメイアの声に体を震わせ、子供達は奥にある雑木林へ逃げ込んでいった。
メイアは片手を庇いながら従魔達に支援魔法をかけて強化を行う。
ライオンは再び起き上がり攻撃を仕掛けるが、踏み込めずに唸り声をあげて回避行動に移り隙を伺い始めた。
(隙が無い、攻撃してもダメージを受けているかも分からない、こうなったら遠距離から少しずつ体力を削っていくしか)
回復魔法をライオンにかけ、雷撃による攻撃を指示する。
「雷撃よ!」
指示を受けるとライオンは毛並みを逆立て雷撃を纏うといくつもの雷をキートへと浴びせる。
雷を放っているはずなのに、長いキートの指が雷撃を弾くように的確に雷を防ぎ、体の方へ攻撃が当たることは無い。
指から体に雷が流れるはずのなのだが、通電することなく無傷であった。
(あれは電気を通さないの? そもそも攻撃すら効いてない、あまりにも理不尽だわっ!)
二匹の従魔による攻撃は防がれてばかりで体に攻撃は届かない。
しかし攻撃の手が緩めない事が功を奏したのか、キートの額からは汗が滲んでいる。メイアはその変化に気が付くことが出来ず、倒れてくれることを祈り攻撃を続けた。
「小賢しい」
次の瞬間、キートの体から無数の針が飛び出し、メイア達に襲い掛かる。
攻撃を避けきれるものではなく、メイアも従魔達もその攻撃を食らい地に臥せてしまう。
(クッ…、本当に、ただの、化け物ッ!)
メイアがキートを睨みつけると、キートの変化に驚く。
服や頭髪が一切なく、のっぺりとした真っ白な人型の化け物になっていた。
顔に口以外の器官がなく、裂けた口元を広げて不気味にほほ笑む。
(こんなのに、どうやって勝てばいいのよ…)
化け物を捕まえると息巻いていた自分が馬鹿のよう、相手は理不尽な強敵だった。
もう逃げる事の出来ない、撃破以外の出来ない追い詰められた状況にメイアの心は折れそうになっていた。
(なんとか、なんとかしないと、子供達も! でも、でもでもでも……どうすれば、いいの)
キートの奥でユニコーンが立ち上がる姿が見え、飛び上がり攻撃を仕掛けていた。
(もう何も分からない、……どうしてヘムイ(ユニコーン)は回復してくれないの?)
ヘムイは回復魔法を使える、しかしそれをライオンにもメイアにも使う事は無かった。
思い返せばすべて指示してきた事に起因していた。
モンスターにもMPの概念があり、使えば使うほど消費していく。連戦になることもあり極力無駄に使わせることをしないようにしていた。
MPの節約と常に指示をして行動させる事が、自発的に行動するという機会を奪っていた。
(危機を知らせたり、前にも出てくれるのに…)
危機を知らせてくれるのは、元々口にしていたからで、戦闘時メイアよりも前に出るのは同じく戦闘になったら前に出なければならないからだ。
従魔自身良きパートナーであるためにもそれに従う事が一番と思い、それ以外の行動をとることはしない。
『行動の遅延が顕著にでるよ。
まずはプレイヤーの状況把握、認識、思考、発言、それらがテイマーが行う一連の動作、そこから支持を聞いて判断して行動、その後の行動にもラグが出てきてしまうから。
咄嗟の判断が間に合わなかったり、常識外の事が起きればそれだけ行動に差が出てしまうから』
ミナモの言葉が蘇る。
今の戦いはその言葉が凝縮したような状態だ。
とてもじゃないが常識外の状況に対応できる能力はこの場に居る従魔もメイアもない。
(その通りだった…、わたくしには対処もなにも今は思いつかない)
心がへし折られそうだ、泣きっ面に蜂とはまさにこのことなのだろうと実感する。
しかし心の奥底では煮えたぎる様な苛立ちを抱え、そしてその感情が訴えかける。
(こんなところで、こんな今の状況で、終わりたくない…ッ!)
腑抜けた姿のミナモが頭を過るとさらに苛立ちが沸き上がる。
なぜ自分が出来ないのか、それがどうしても許せなかった。
だからメイアは必死に足に力を入れて立ち上がろうとする。
(……それでも、今は、今だけは負けられない、負けたくないっ!
指示待ちでも、今はそれだけでも、変わる、変わってやる!!)
顔を上げては肺一杯の空気を吸い込み、そして叫ぶ。
「ヘムイ回復!」
今は態勢を整えなくてはならない。
整えられなくてもやるしかないと自分を震え立たせる。
「ヘムイ! ビスパ! 聞いてください!!」
襲い掛かる鞭の様な指の攻撃を最小限のダメージに抑えて回避し、二匹の従魔に呼び掛ける。
「自分たちの経験で、難しいでしょうが行動してみてください!! 今まで積み上げてきた―――」
足に指が突き刺さる、メイアはナイフで切り裂こうとするが歯が通らず、手で引き抜こうとしながらそれでも従魔達に呼び掛ける。
「今までの経験のすべてをつぎ込んで攻撃してください!! クッ!?
わたくしは支援できないかもしれません!! けど、ここで、負けられないんです! お願いします!!」
抜けないと分かるとメイアはナイフを構え、アーツを発動させてキートに切りかかりに向かった。
それを見た従魔達は呼応するように飛び出す。
メイアの言ったことは深く理解はしていない、しかしその思いだけは確かに伝わり、今までの経験を生かした攻撃をする事にした。
(何処かに隙はあるはず、どこでもいい、どこかに、なければ作る、どこかに!)
頭に血が上っているのは自覚しているが、それでもメイアは冷静にならずにキートへと攻撃を仕掛けていた。
攻撃を食らえば吹き飛び自分に回復を行い再び復帰する、切り落とされた左手が無い事で手数は減っているが、それでもその事を意に返さず攻撃を続ける。
従魔達は同じような行動をするメイアを見て、心を打たれたのか、同じように攻撃を仕掛け始めた。
「五月蠅い五月蠅い!」
攻撃をされてもメイアとユニコーンが回復を行い攻撃を仕掛ける。
何度も繰り返される行動にキートは苛立ちを隠せず手当たり次第に出鱈目に攻撃をし始めた。
「さっさと死ねよ!」
「誰が死ぬものですか!」
ギリギリの所で踏ん張り生き留まる。
相手にダメージを与えることは出来ないが、同じくメイア達を死に至らせることは出来なかった。
とは言え、リソースが減っていくメイア達は着実に追いやられていき、長く生きる事はできない。
(考えなくてはいけないのに、頭が真っ白になっていく)
苦しいはずだったのだが、心地よさすら覚えるほど頭が真っ白であった。
その為か、ふとプリスターとの戦いを思い出した。
(確か、相手の懐に潜り込んで、攻撃…)
相手には懐があるのか定かではない、だからメイアは攻撃を何とかかいくぐり。
「もう放しませんわよ」
針に体を突き刺されながら相手にしがみつく。
体力が減るが、ヘムイが回復魔法を施し回復を続けて延命させる。
「離せ!」
キートは暴れ、さらに攻撃を仕掛けるが、メイアはナイフを振り下ろし肌にナイフをめり込ませる。
傷が少しついたが決定打にはならず、何度も何度もアーツを発動させて攻撃を仕掛けた。
「はぁぁなぁぁせぇぇぇぇ!!!!」
キートが叫ぶとウニのように全身を針でかたどるとその衝撃でメイアは吹き飛び、両足をもぎ取られて地面に転がる。
「ビスパァァッ!!」
道はメイアが示してくれた、後は行動するだけであった。
ライオンは攻撃をものともせず突き進み喉元に食らいつく、体力が減っていくがメイアが只管回復を行い続ける。
そして。
「ヘムイィィッ!!!!」
ユニコーンは駆け出す、光を纏い、キートまで光の道が作り出された、そこを駆ける度にその速度が増していく。
光となったユニコーンは止まることは無い、ライオン同様例え攻撃を受けても速度は緩まず、頭部の角を神々しく光り輝かせてキート目がけて突き進み。
「いけぇぇぇ!!」
伸びた角はライオンをも巻き込みキートを串刺しにした。
「ぐっあぁぁっ……」
そして最後の渾身の力を振り絞り、ライオンはキートの首元を雷撃を纏い噛み引きちぎり。
「……おわ、った」
戦いは終わりを告げた。




