表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守法人〜白でも黒でも好きな様に変えてさしあげますわ! 私に差し出せるものがあるなら……ね?〜  作者: ルシトア


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/11

【改正】

 ダビッドは、魔法紙の横に添えられた淡く光る署名ペンで、サインをする。

 魔法契約書と対で現れる光る署名ペンは、その者の魔力を感知し、本人確認も兼ねている。

 この世界は多かれ少なかれ魔力を持っている。

 魔力は、個々によって違う。一卵性の双子ですら、違うのだから、偽造は不可能。


 故にサインしてしまえば、言い逃れは出来ない。


 ダビッドが署名し終えると、ペンは魔法紙に吸い込まれ、魔法紙が勝手に、くるくると巻き、リアラスタの手に収まる。


『ふふふ。これで契約は成立ね』


 リアラスタは、今までとは違い、とても満足したような笑みを、ダビッドに向ける。


 ダビッドは、天使の微笑みを受け、惚けていた。

 この微笑みを、ずっと見れるなら他はどうでもいいと思うくらいに、リアラスタの微笑みは女神様に匹敵する程の破壊力なのだ。

 態度や言動はとても女神様には、遠く及ばないがな……!?

 そっそんな睨まないでっ!?

 女神様の話になるとリアラスタは怖いんだからもう!!

 ってリアラスタは、私を見えているのか?

 隠密行動してる筈なんだけど……。

 ヤバすぎでしょ!?


 あ〜はいはい。まあは余計な事は言いませんよ。

 え〜続きをお楽しみください。


 ……。


 リアラスタは、私から視線を逸らし、魔法紙を握り込み魔力を流す。

 魔法紙に書かれている内容を、【改正】する為だ。

 魔法紙を中心に、リアラスタごと光の魔法陣が包み込む。


「【改正】」


 リアラスタの呼びかけに、魔法陣はいっそう輝きを増した。


 リアラスタは、楽しみだと言わんばかりに、優しく口角を上げ、目を閉じて意識を手放した。



 ◇◇◇


「リデル様!!」


 リアラスタの声は、弾んでいた。

 まるで少女に戻ったかのような態度だ。

 リアラスタは、意識が浮上すると、屈託のない笑みで、走り出し、リデル様に抱きつく。

 リデル様は、リアラスタを危なげなく抱き込み、頭を撫でた。


 リデル様は、太陽のような輝きを放つオレンジ色の緩やかな長髪に、月のような黄金の瞳をされている。

 緩やかな白のロングドレスに身を包み、装飾品は一切無いが、つけなくても、神々しい。

 見ていてるだけで、心が癒される(かんばせ)は、人々の心を掴む。私も、リアラスタもその1人だ。ただ、リアラスタは、執着と言ってもいいかもしれない。



 白を基調とした神殿の一画。

 神殿とは正しくリデル様が住む天界の宮殿である。

 その中でも今は、何もないだだっ広い部屋にリデル様はいた。

 ここは、天界の交流室と呼ばれる部屋である。


 リデルフルールにいる人間は、交流室でのみリデル様に会う事が出来る。

 残念ながら、この交流室に来れる人達は限られている。

 教皇、枢機卿、大司教と、特例者と呼ばれる者のみだ。

 以前はもっと多くの者達を呼べたのだが、リアラスタが制限した。

 それに、先に述べた者達でも、理由がなければ交流室には来る事が出来ない。


 因みに、リアラスタは、大司教である。

 リアラスタは、ああ見えて、リデル様のご意志を継ぐ者としては、教皇にいてもおかしく無いくらい造詣は深い。

 が、どう見ても部下を纏める能力には欠ける。本人も地位は全く興味はない。

 


 本来なら、法律の【改正】だけならば、リデル様に会わなくても改正は出来る。

【改正】の内容に疑念がなければ、来る必要は無いのだ。


 今回の【改正】も、リアラスタの完璧な改正である為、本来は来る必要はない。

 リアラスタはリデルに会いたいが為に態々、ここに来たのである。

【改正】にリデル様の意見が欲しければ、ここに来る理由になるのだ。

 リデル様に会える、こんな機会を見逃すはずがないのである。


 リアラスタは、人間社会の法律や手順を無視しているが、それはリデル様を蔑ろにしているわけではない。

 リデル様の【理】もしかり。

 寧ろ信奉しているが為だ。

 リデル様の意図しない法律を即刻、【改正】したい為に、人間社会を無視しているとも言える。


 人間社会では、裏や闇の守法人と呼ばれるリアラスタではあるが、本人は全く気にしていない。

 リアラスタが気にするのは、リデル様だけである。


 人間社会からすれば、問題児であろうが、リデル様は、自分の願いを全力で叶えようとしてくれるリアラスタが、とてつもなく可愛いので、よっぽどの事がない限り咎めない。

 それをいいことにリアラスタは、やりたい放題なのだ。



 リアラスタは嫉妬深いのだ。

 リアラスタは、リデル様の1番でいたいのである。


リアラスタが契約書を書いた魔法ペンは、守法人専用のペンであり、署名ペンよりも上位のペンです。

なので、魔法ペンで署名しても、問題ありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ