リアラスタの過去 リデルフルール編⑯ sideリアラスタ
一難去ってまた一難。
この世界を理不尽だと言った私の言葉は、間接的に女神様を侮辱した事になったのだろう。
目の前にいる男は、女神を侮辱された事に激怒している。
意図したつもりは無かったけれど、この男の地雷を踏んだみたいだ。
私はここで死ぬのだろうか?
どうやら私の人生はついてない事ばかりみたいだ。
酸欠で意識が朦朧としながらも、何故か頭は冷静だった。
前世では、底辺の立場だったので、従順に生きるしか無かった。
徐々に心は疲弊して、搾取される立場に辟易して、全てを放り出した。
今世に転生した当初は、人生を放棄していた。
そんな私に、両親は無償の愛を与えてくれて、私は立ち直る事が出来た。
両親の恩に報いる為に、一生懸命努力した結果、貴族に目をつけられ、結果、自分だけでなく、両親までも不幸にしてしまった。
私は、なにがいけなかったのだろう?
何をすれば、両親は不幸にならなかった?
出る杭は打たれると言うから、目立ちすぎなければ良かった?
無難に過ごしておけば良かったのか?
全て私のせい?
本当にそうなのかな?
ジョドジーは、私に罪悪感を植え付ける為にそう言ったが、
……恐らく違う。
ジョドジーは、父のことを話す態度を見ていればわかる。
あれは、父自身を嫌悪していた顔だ。
私が、目立っていた事も気には食わなかっただろうが、それでも、父は遅かれ早かれ同じ運命を辿っていた様に感じる。
じゃぁどうしたら父を助けられたのだろう?
ジョドジーが言っていた。
貴族にしか知られていない防御の方法があると。
知は力なり……か。
有利な情報は、自分の立場を優位にする事も、周りに対する影響力を強めることもできる。
今回のジョドジーの様に、相手を支配する事だって可能だ。
ジョドジーの契約書の内容が、所有物であり、人間以下の不平等であると、言う知識があれば、母や私は、理不尽な目にあうことは無かった。父だって、貴族にしか知らされていない防御の知識があれば、死ぬ事は無かった筈だ。
知識は宝だ。
それを独占している貴族が、平民を人を人とも見ない様な世界を理不尽と言って何が悪い。
私は、息も絶え絶えに、相手を睨みつけながら、何とか言葉を紡ぐ。
このままじゃ、どうせ殺される。なら、今くらい好きな事を言っても許されるだろう。
朦朧とする意識の中、半ばヤケクソになっていた。
「知識のあるものが、何をしても許され、知識のないものは、奴隷以下に扱われる。父の様に、気に入らないだけで殺される。それを理不尽と言って何が悪い!!」
「貴様!」
目の前の男は、憤怒の顔をし、圧力がさらに上がった。
意識が途切れそうになる中で、私は、どこか、スッキリしていた。
前世では、従順に、自分の意見を押し殺して生きるしか無かった。
今世では、意見を言う事は出来たけれど、それでも周りを伺いながら、周りのために、話していた様に思う。
初めての感覚だった。
後先考えず、自分が、自分の為に、言いたい事を言う。
相手がどう思うかなんて、知ったこっちゃない。
自分の思った事を素直に言う事が、こんなにも晴れやかな気持ちになる事に、私は高揚感を覚えていた。
次の人生があるなら、自分の思う通りに生きよう。
その為には、周りに振り回されない様に、自分が優位にたてるように、貪欲に知識と情報を集め、暗躍しよう。
前世の最期とは違い。スッキリした気分で意識が遠かなっていくのを感じていた。




