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守法人〜白でも黒でも好きな様に変えてさしあげますわ! 私に差し出せるものがあるなら……ね?〜  作者: ルシトア


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リアラスタの過去 リデルフルール編⑦ sideリアラスタ

 契約の後、暫くは、とにかく母は、忙しかった。

 ジョドジーは、優秀な経営管理者や経理、営業担当者を、自分の商会から派遣して、引き継ぎをおこなっていたからだ。

 その時になって、初めて全ての責任者が母になっていた事を知った。

 父はどうやらワンマン経営者だったらしい。


 あの規模の商会を1人で運営しているのは、父がカリスマだったのだろう。

 そう思うと父の偉大さを感じ、何故こんなに早く急逝してしまったのかと、悔やまれた。


 新しく入った優秀な人材と、ジョドジーの資金により商会は、徐々に経営は上向きになっていった。


 貴族の身分であるジョドジーの後ろ盾があるのも大きいと言える。

 母は、少しずつ経営からは、離れて行った。

 元々、販売のセンスはあったけれど、経営には向いていなかったのだと思う。

 経営から離れ、販売部門の一部を任された母は、元気を取り戻していった。

 母の才能を見抜き、母に寄り添ったジョドジーの態度に、母とジョドジーの関係も少しずつ親密になっていった。


 私は、商会よりも学業に専念しなさいと、ジョドジーと母にも言われた。

 それならばと、中等部を3年で卒業した。

 平均5年はかかる商業科を最短で卒業した私は、どこか浮世離れしてしまっていた。

 その時は、早く母のお荷物になりたく無い一心だった。

 私のせいで、母に無理をしいるのは嫌だった。


 私の卒業祝いの食事会で、手放しに褒めてくれる母とジョドジーは、仲の良い夫婦に思えた。

 母も、父を忘れたわけでは無い。

 ただ、どん底から今に至るまでの3年の月日は、互いの絆が深まった様に思う。


 食事会の最後、母は私に改まった態度をとった。

 私も姿勢を正す。


「リア、私、ジョドジー様との契約を履行する事にしたの」


 少し、照れくさそうにいう母に少し驚いたけれど、要は愛人関係の事を言っているのだろう。

 母の気持ちが落ち着くまでは、待つと契約書にも書かれてあった。

 この3年間、ジョドジーは、多忙な合間をぬって母をよく気にかけてくれていた。

 そんなジョドジーに母も心を許したのだろう。

 愛人関係になると言うのは、前世の記憶を持つ私からすると、余り良くない事のように感じるが、この世界ではごく一般的な事であり、母が納得しているのであれば、私がどうこう言う事じゃない。

 母には母の人生があるのだ。


「お母様が決めたのなら、私は何も言う事はないです」

「ありがとう。それでね? その、リアはどうなのかな?」


 母は、少し言いずらそうに言葉を濁す。

 私は、この3年間、ジョドジーに感謝しつつも、一定の距離をおいていた。

 養育費を払うと言ってくれていたが、養育費は、全て借金として契約書を交わしている。

 私が成人して働き出したら少しずつ返すというものだ。


「私は今のままで良いです」


 母が元気を取り戻したのは、間違いなくジョドジーのお陰だ。

 ただ、私はこの3年間、学業優先でジョドジーに会う機会は少なかった。

 なので、私とジョドジーの関係は、進んでない。


 何故かわからないが、どうしてもどこかで信じきれない自分がいたのだ。

 前世の夜仕事の勘とも言うべきなのか。

 この人は、信用してはいけないという、何かの警告か、前世で人を信じられなくなってしまったせいなのか。

 どうしても、距離をおきたかった。


「そうなの? わざわざ教育費まで、借金にして……。親権をジョドジー様にすれば、借金にならないのよ?」


 確かに、ジョドジーが親権を持てば養育義務が生じるので、今までの教育借金は無くなるだろう。

 それでも、その一線は超えてはいけない様な気がしていたのだ。


「これは、私のケジメです」

「リアさんは、まだお父さんの事が忘れられないのでしょう。無理に押し通すつもりはないよ。

 ただ、リアさんは、まだ8歳です。まだまだ庇護が必要な年だ。

 それに、折角の才能をのばさないなんて勿体無いです。

 高等部へは、進学しないのかい?」

「それは……」

「私の事を父と呼ばなくても構わない。

 リアさんを応援させてはもらえないだろうか?」

「リア……?」


 ジョドジーは、少し寂しそうな顔で、同意をしつつも、私の心配する様に言う。


 この世界では、中等部を卒業すると、働き始める事が一般的であるが、私はまだ8歳なので、雇って貰えるところが無かったのだ。

 どんなに優秀でも8歳の子供を働かせるとなると、体裁が悪い。

 高等部に行く事も考えたが、更に借金を重ねる事になる。

 高等部からは義務教育では無いので、授業料も発生する。


 借りを作れ作るほど、頼み事を断りにくくなる。

 ただ、すでに借用書はあるもののお金を借りていて、母の恩もある。

  隣に座っている母も、何故こんな良い話を受けないのだと、少し避難めいた言い方で私の名を呼んだ。


 これ以上引き延ばしは無理なのだろうか?

 考え込む私を2人は固唾を飲んで見守っている。


 いつもは、私を優先して、同意してくれる母も、私の借金には、否定的な様だ。


 今、ここに私の味方はいない。

 まだ、8歳……この国の成人は15歳。母に逆らうのはこれ以上無理だった。


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