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ラノベの世界へ

「いっそ死んだら転生できんのかな。」


そんなことを考えていたからなのかもしれない。


目の前にトラックが現れたのは。












______________________


目を覚めるとそこは病院のベットだった・・・


ということはなく、なぜか自室のベットだった。


「・・・・・・は?」


確かに俺はコンビニの帰り道に事故にあった。


今でもその光景が鮮明に思い浮かぶ。


全く理解が追い付かない。


とりあえず顔でも洗おうかと洗面所に向かうと、鏡に映っていたのはいつもとは違う自分だった。いや、正確には過去の自分だった。


高校デビューのために切ったばっかりの似合わない茶色いツーブロック。やせ細った体。思春期漂うニキビ。


これは、間違いなく高校入学前の自分自身だった。


「いやいやいやどうなってんだ。・・・まさか・・・タイムリープ?」


と思ったがどうやら違うらしい。


どうやら俺は異世界に転生してしまったようだ。


トラックに弾かれるとかいうお決まりの展開で。夢にまで見た、あの異世界に。


しかも俺デレの世界に。


それを確証づけたのは、ハンガーにかかっている制服だった。


何度も見たこの制服を僕が間違うわけがない。


『平凡な俺とクーデレ美少女』通称、俺デレ。


俺が愛してやまないラブコメ。


「ここに転生できるなんて願ったり叶ったりだ。」




ここでならやり直せるかもしれない、僕が失った青春の日々を。












______________________


4月2日。今日が夢ヶ原学園の入学式だ。


人生二度目の入学式にもかかわらず緊張しっぱなしの僕は、懲りずにまたこれから待ち受ける青春の日々に胸を躍らせている。




ここ俺デレの世界は三重県にある私立の夢ヶ原学園で繰り広げられる主人公の夏目涼なつめりょうとヒロインの氷宮真冬ひょうみやまふゆの恋愛が軸となるラブコメの物語だ。涼が一目ぼれした真冬を何とかして振り向かせようと奔走する一方で涼に思いを寄せる女の子達も涼にアタックしていく。この二つの要素が主となっている。この世界で俺はいったいどのような役割になれるのだろうか。エンドロールに固有名詞が乗るような、そんなキャラに俺もなれるのだろうか。




いや




今度こそなるんだ。青春ストーリーの登場人物に。





そう意気込み、不安、期待、緊張、様々な表情に満ちた新入生の中を俺は歩く。


なんだが浪人生になった気分だ・・・


そうして俺もその中に溶け込み、入学式が始まる。


お決まりの長々とした校長や来賓の話が始まる。


(これはどの世界でも変わらずなんだなぁ)


退屈で睡魔と必死に戦っているとき、横から声が聞こえた。




「校長の話退屈だよなぁー、マジで眠いし。あっ俺は涼、夏目涼っていうんだ。よろしく!」




っっっっ




俺としたことが感傷に浸っていて横にこの世界の主人公である涼がいることに気付いていなかったらしい。


?おかしいな原作では涼の隣は結城ゆうきだったはずだが・・・


と原作との違いに戸惑いつつも、自分が来たことで何かしらのズレができたのだろうと考え




「わかる!ほんと、眠くなってくるよ(笑)。俺の名前は夢実駆。こちらこそよろしく夏目君」


と返す。


「涼でいいぜ。てか列が同じってことは俺らおんなじクラスだよな。一年間仲良くしこーぜ!駆。」


「ああ、こちらこそだよ。涼」




涼と出身中学や趣味の話など他愛もないような話をしているうちにあっという間に時間は過ぎていった。




(っっっっっしゃぁぁぁあ!いきなり涼と仲良くなれるとか運よすがだろ!っていうかこれほぼ勝ち確じゃね?この調子でいけば名前が載るどころかメイングループの一因にすらなれるんじゃね!?)




と浮かれていると


「今から各教室に移動だってよー。どんな子いんのかなー。可愛い子いるかな?」


「どんな人いるか楽しみだな」


(まあ実際誰がクラスにいるかなんて知ってるんだけどな)


内心そう思いつつも涼にそう返しながら、涼とともに体育館を後にする。








これから待ち受ける激動の一年はまだ始まったばかりである。



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