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第九話:赤き悪夢

帝国軍の進軍が激化し、王国軍第七部隊は敵の次なる動きを警戒していた。インフェルノフレーム──帝国の新型フレームは、試作機段階で既に驚異的な性能を発揮していた。これまでの戦闘で数度遭遇したものの、単機での運用に留まっていたため、なんとか退けることができた。しかし、その存在自体が王国軍にとって十分な脅威だった。


「隊長、今回の戦場でもインフェルノフレームが出てくるんでしょうか?」

リオンが問いかけると、ギルフォードは険しい表情で地図を指差した。


「その可能性が高い。情報部からの報告によれば、どうやら奴らは量産型を完成させたらしい」

「量産型……それってつまり、あれが何機も出てくるってことですか?」

エルドが不安げに聞き返す。


ギルフォードは沈黙したまま地図を睨んでいる。


「試作機一機だけであれほどの戦果を挙げていたフレームが、量産されて戦場に投入されるなんて……これ以上、悪夢のような話はない」

カールが低く呟いた。


オメガフレームが主力として運用される現在の戦場において、インフェルノフレームの存在は異質だった。通常のオメガフレームと比べて圧倒的な速度と攻撃力を持ち、さらに短時間であれば戦場全体を制圧するほどの力を持つ。それが量産されたとなれば、戦局は一気に傾く。


帝国軍の進軍を受け、リオンたち第七部隊は防衛ラインを維持するための配置に着いていた。周囲の木々が揺れ、地響きが近づいてくる。


「敵、接近中! 数……数十体のインフェルノフレームを確認!」

通信士の声が上ずる。


「落ち着け! 全機、配置に就け! 敵を防衛ライン内に入れるな!」

ギルフォードの命令が響く。


リオンのオメガフレームはすぐさま臨戦態勢に入り、エルドの機体とともに最前線に立つ。


「リオン、俺たちでこのラインを守り切るぞ!」

エルドが声をかけると、リオンは力強く頷いた。


「もちろんだ。僕たちがやらなきゃ、誰がやるんだ!」


前方から現れた赤い光の群れ。それはインフェルノフレームの部隊だった。その姿は真紅の装甲に包まれ、各機が重火器と鋭い刃を装備している。


「これの性能で量産型……想像以上だ」

リオンがつぶやくと同時に、戦場が閃光と爆音で満たされた。


リオンは銃火器を駆使して応戦するが、インフェルノフレームの速度は圧倒的だった。敵の一機がリオンの射撃を回避し、間近に迫る。


「くっ……!」

リオンはナイフを引き抜き、咄嗟に迎撃する。敵の刃が目の前で火花を散らし、なんとか相手の攻撃を防いだものの、衝撃で機体が後退する。


「リオン、大丈夫か!」

エルドが援護射撃を放ちながら駆け寄るが、別のインフェルノフレームが横から割り込んでくる。


「くそっ、数が多すぎる!」


カールの指示で他の部隊が援護に回るものの、インフェルノフレームの圧倒的な速度と火力に対応しきれない。次々と味方機が撃破され、防衛ラインが崩壊していく。


「このままでは....」

カールの声が震える。


ギルフォードは歯を食いしばりながら指示を飛ばし続けていたが、戦況は一向に好転しない。


「リオン、エルド! 一旦後退して体制を立て直すんだ!」

「でも、このままじゃ……」

「命令だ! 無駄死にするな!」


ギルフォードの声が厳しく響く。リオンたちは指示に従いながらも、戦線を維持するために踏ん張る。しかし、敵の猛攻は容赦なく続き、ついに本陣近くまで押し込まれる。


「これ以上は持たない……くっ、どうすれば……」

カールが絶望的な表情を浮かべる中、リオンは必死に次の一手を考えようとする。しかし、次々と破壊されていく仲間の機体を前に、思考がまとまらない。


「エルド、カールさん、隊長、僕たちはまだ……」

リオンが声を振り絞るが、返事を返す余裕もないほど、戦況は悪化していた。


そしてついに、敵のインフェルノフレームがリオンたちの機体に狙いを定める。


「こんなところで……まだ僕は!」

リオンが叫びながら敵を迎え撃とうとした瞬間、目の前に赤い光が迫り――。

次回予告


迫り来る帝国軍の猛攻に、リオンたちはついに追い詰められる。だが、戦場に現れる謎の存在が、戦況を大きく揺るがす――その正体とは?

挿絵(By みてみん)

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