荒れ地の魔女
「彼女の家に行くか」
彼が彼女と言ったヒトに合うのだそうだ。
「彼女に合うために身支度をするぞ」
彼女と言う女性が私の頭上に浮かぶ。
「その彼女って人は一体どんな人なの」
ヒナはシュンに問うが一言も聞き入れてはくれなかった。
「家族がいるから、しっかりと挨拶はしておけよ」
彼はヒナに向けて何かを投げた、私はそれを手に取った、私は納得ができないまま彼の言葉の通りに身支度をするしかなかった。
「それは流石にもっていかなくても良いでしょ」
彼は旅行用に使うキャリーケースのタイヤにキャタビラを付けたキャリーケースを取り出した。そこに自身の下着と上着、長袖を入れた。
「僕も行くよ」
「いいわ、私一人で行く」
「どうだった」
雨の中、降りしきる中で私は彼女に話をしていたのだ、豪雨で背中の服とむき出しの腕に当たった、筋肉からお尻に伝う雨水が冷たく、肌が冷たさを感じるのだ。
ノックを3回した、大麻を携えて私は、フローラの香りと鼻を伝う香ばしいハーブの香りが空気穴の下から伝う、背中も屋根から伝った雨が髪に当たり背中の筋を伝う。
「入りなさい」
私は声の主から入ることを許可された、ヒトの敷地、不法侵入であるが仕方なかった、声高な美声で安楽椅子に座っているヒトが、放つ甘ったるい臭いに私の鼻がくすぶっていた。
「向こうのお兄さんも入って来なさい」
雨の中でも、シダの葉の傘は持ち主のシュンの顔を隠していた、唇だけが口で結ばれていた。私は彼女の事を話していたが、私の事ではなく、鋭い眼光が彼の喉元を凝視していると明らかに分かった。
「遠慮なく」
木製扉が開いた、木目のつぎはぎから彼女の家は大きな閂はなかった、木目は目が同心円状に広がっていた。私は彼女に話していた、私は家に帰るとそれとは別に彼女のふくらはぎに注目した。
太かったのだ、まん丸の額口いっぱいに描かれている絵画に近かった、後ろには棚があった、私は彼女に話をしていた、私だけではなく、シュンも家に招き入れられていた。
「驚いた、金木犀の臭いと華やかに着飾っている、どうやって葉を手に入れたの」
黄色い朝顔の受粉のためのめしべと四枚に分かれた、金褐色の葉が日の陽光を反射していた。
「ほお、浅井ヒナか」
大婆は二ヤリと笑った、大婆の瞳には太陽の灼熱が乗っていると確信してしまった、彼女の手は何かを引き寄せていたが、彼女に話していたのである。
「お前の名前は麻だ」
彼女は膝を手で打って、安楽椅子を鳴らした、揺れ動くたびにゆかがきしむようなおとがする、体が肩の筋ごと重力に引っ張られるようだ。荒れ地の魔女はその手を私に引き寄せるよう回した。
「良くあるあだなだよ」
彼女は私が話していたこととは似ても似つかなかったからだ。彼女は急に真顔になったかと思うと、印鑑を押す手を止めた。
「古巣じゃあないのかい」
彼女の言葉は警戒とビブラートぎみに声を発していた、私は彼女に話をしていると眠くなってしまいそうだ。
「古巣ってよく言われますけど何ですか」
それを聞いた途端彼女は閑静な大笑いを披露した、私は良くしていたが私には彼女が話をしていたのである。「だったはは。」彼女は自身の足を叩きながら彼女に話をしていたからだ。
「古巣じゃないか、浅井は間違いだな」
彼女は納得したよう顎を手で覆った私は口元を抑えていた、彼女が口元を抑えるのを見て彼女はさらに爆笑した。
「あなたは、失礼ですよ」
私は敬語で話すのが精一杯であった、震えた拳が彼女の眉間を狙おうとしていて、抑えるのに必死であった。「さようなら」と言うとヒナが振り返ろうとするが、彼女が制止するよう願った。
「あ、ごめん、丁度話し相手を探していたのだよ、どうかこの通りお願いします」
彼女は何かを言おうとしているが、声にならない笑いがこみあげて来るようで、癪に障る。
「お願い事をするときには、ヒトに願い事をする必要があるとかんがえますがね」
私は彼女が話していた、私が彼女に話をしていると、彼女の事なんぞ分からない人達の笑い声と、『お別れ会』での最後の拍手と重なった。
「私は荒れ地の魔女です」
彼女がお辞儀をすると、安楽椅子が軋む、軋んだ床を覗くと、踏み込みの部分だけが穴は開いていた。
「荒れ地の魔女だって」
私は家に帰ることも無く、ただ、ここに居座ることが仕事の魔女であった、荒れ地と言うには彼女は神社から遠くもあり近かったようにも感じる。
「社は関係ないのさ」
私は関係がないことに腹が立っていた、私は彼女に話をしていると、彼女はにやにやした顔つきになったかと思ったが、真顔になったりしていた。
「怖がらせてしまった、ようだね、私は彼女には話をしていたが、全くの無関係だし無害ともいえる、そもそも、君の事件には関係がないしね」
しわがれた顔つきからは理解できない機敏の動き、それが彼女の腰が安楽椅子から浮くと、詰め込み私の鼻と荒れ地の魔女との間が近くになった。荒れ地の魔女は気に入ったのか腰を下ろした。
「あの、ではどうして私は一時的とは言え、外に出られたのでしょうか」
彼女はヒナの質問を聞くや大笑いをする。
「いいかい、君の周りには結界が貼られている、その張り詰めた概念をちょいと曲げるだけでいいのさ」
彼女は巨漢を私の寄り向こうに話していた、私は家に帰ることもできずに、立ち止まる他なかった。
「どうして私を助けるのですか」
紫とシンクの塊が私の家にある家のハスキーアートの画集を逆なでしているよう見えた。
「あんたが昔の私に似ていたからさ」
荒れ地の魔女は自分の三段腹を手で叩くと、家の奥の言葉を聞いていたのは私が家に帰ることができなかったからだ。
「昔って」
大笑いしていた、花弁の大きなひまわりから私が家に入ると、彼女の家に居ようとしていた、私は家に入ると彼女の事だから、私の事を惑わしているのではないのかと思っていた。
「そうさ、ハンサムだったころさ」
顔を、遺影と話をさせられた、彼女の隣には太く、大きい大柄のおじいさんが立っていた。私は家に帰ると、最後まで話しているのではないのかと思ってしまう程、私は最後に話していた。
「そこは、ハンサムじゃなくて、美人でしょう」
逆三角形のかおが大柄のおじいさんの横で笑っていた、彼女は金ぴかの衣装に深い白のTシャツを着ていたため目立った、薄い緑系の上着を羽織ることで、存在感が増していたようにも感じた。
「まあ、良いじゃないか、私は話せて結構だ、もう帰り給え」
「それは困る、私は鍵を貰いに来たのだ」
「それにしても」と言うと彼女は時折鼻を手で覆っていた、いつの間にか甘い香りは消えていた、私は急いで自身の手の香りを嗅いだ、今までにない腐乱した臭いが私のからだからたちのぼった。
「ああ、そうだったな」
夕暮れの森は怖いから夜の森を駆け抜ける方が得策だった、夕焼けが西日から日の入りまでの間に森の動植物が太陽の輝きへ見とれていることに、私たちは睡蓮の葉に身を寄せ合いながら帰った。
「まあ、なんだ、ゆっくりして来たまえ」
荒れ地の魔女は私が古巣に帰る時には風呂を貸してくれた、私は家に帰るまでに服は濡れるかもしれないが、家に帰るまでの活力にはなった、水連の葉っぱを雨具として一本の傘を頂いたが、使うことは無かった。
「なんて言われた」
道が泥で分からなくなる程であった、私は彼女に話を聞いていると、彼女の家に招かれていた。私には分からないことが彼にはわかっているようだった。
「分からない、けれど、小さな小箱をくれた」
それは銀色の小箱だったが、四角形以外の紋様以外は特に特徴もなかった、
「小箱だって、ケチで有名なお母さんが良く、貰えたものだ」
彼の口には金の歯が埋められていた、しかし、彼女の口には一切の差し歯に似ているもの、詰め物は入っていなかった。
「普通に貰えたわよ、何、取引をしたのか」
私は彼女に話居たからね、私は彼女に話をしていた。私の事を話すことしか眼中になかったのだ。
「ええそうよ」
彼女の手には古巣と書かれていたが、彼女は浅井であった、ツタの葉から彼女の表情を読み取ることはできなかった、彼女の手が触れている時に彼女の家にかえることもなかった。
「ならなおさら駄目だ、彼に印を交えたか」
帰ることは簡単であった、荒れ地の魔女から貰った傘を手に巻き付けて、シュンの傘に入る。
「ええ、そうよ、浅井よと言ったの、そしたら、印鑑を押そうとしていたから殴ったの」
また、泥が入ることになるが彼らは気にすることは微塵もなかった私は、砂の粒より小さい不安感が、私の心の奥底から潰れて消えるようだった、彼女のつぶらな瞳が前を向いていた。
「何よ、私にタダ働きさせるつもり」
「・・・・」
顔はしわがれていて、脂っぽく、時折肝臓の辺りを摩っており、膝の関節は全く機能していなく、筋肉だけで動かしていた。
「貴方の名前は」
「・・・・・」
「ええ、小箱か」
肩を抱き寄せ私たちは雨ふしきる中を、肩を寄せ合い駆け抜けた、暗い提灯のヒカリも後ろから消えて、私は繁華街の灯りに似たオレンジのヒカリを体全体で抱き寄せていた。何本もの木の向こうには鳥居あがり川の水が境内を流れていた。横には櫓が一つと樽が置いてあり、中から野菜の臭いがした。
「夢の中からでも」
誤謬の中に私が、溶け込み提灯の灯りを頼りに私のいかつい顔が滑らかになっていく、私も古巣の家に帰れるのであれば、どうでも、良かったのだ、氣が座れるようであった。
「秋晴れと梅雨の豪雨が日常になった」
シュンとヒナは身を寄せ合い、縮こまりながら雨期の梅雨を駆け抜けていた、私は彼女に話をしているのが嫌になったのか、彼女の家に行こうとした。
「荒れ地が土砂崩れで崩れることなどは心配しないの」
彼女の事なんて話にならないよね、私は家に招き入れられなくとも、童顔荒らしの顔をすることが精一杯だった。ごぴゅう、ごびゅう、と透き通る雨粒に撃たれながら、私の心をえぐる。
「誰もそんなこと気にしていないよ」
泥が足に当たり、足と靴下の間から泥土が侵入、私は彼女に話をしていると、彼女の家に話していた、私は家に帰る時はいつも熊柄の靴下を履いていた、田圃に生えている発芽した米の穂が涼音の色をしていた。
「雨が大粒で垂れている」
大粒の涙が私の事を、話しているのは彼女にしているからだ、にしても彼女の事をしていたからだ。時雨の雨が私の目に当たり、視界も絶え絶えに旋毛から一筋雨水が眉に垂れた。
「水連の大きな葉っぱを使ったからだろう、葉緑体の筋の部分に水が溜まって、葉先から垂れるからだよ、ママは廃墟になった寺の奥に居る元々は一緒だったんだ、でも喧嘩して別れた」
小さな家の魔女の話の真実を知った、しかし、追えば追うほどに魔女の底抜けの魔性の魅力を持って化かされてしまう。
「小さい小箱ね」
小箱があった、四角形の中にまた6つの四角が大小入っている絵が描いてあった、振った小箱は麩菓子を叩いた情けない透かすかな中身を足で踏んだよう、シュンも苦笑していた。
「何が入っているの」
私は家に入ると彼女の家に入っていた、私は家に入ると土足の上にあがった、私は家からあがるとタンスに目が入った。私はタンスの中を覗いてみた。タンスは漆が塗られていた、臭いで分かったからだ。
「鍵」
小箱は優劣が付けられていた、箱の中から取り出すための戸は上口から開けて蓋を取り出す仕組みではあるが、鍵がかかっていた。
「上蓋の隅を斜めにずらして見ろ」
斜めに過度の出っ張りを滑らすと、死角となっていた角の出っ張りから金粉の粉末状のペーストが。私は手でそれを掴もうとするが、蚊が手の甲をすり抜けるより速く手中から消えて空へと飛ぶ。
金色のヒカリは全てを包み込んだ、口や柊の葉っぱに、社の奥を駆け抜け私の耳に奥をかすめ取った。憂いた雲空が最高気温を叩きだしても、蒸し暑く肌寒い冷気が霊魂を静めるようだ。
「何で知っているの」
射影の角から小刻みに震えて彼の手に引っ張られていた。
「おれは」
彼が何かを言おうとしたが、寝起きのアラームのピアニカの音に似た空、風に、木が推してられて、木片が目に刺さった。
「雨が降りそうね」
私はそうだねと言い彼は口の奥の音を確かめているようだ。
「雨が降りそうだから、私は彼女に話をしているよ」
シュンの檻は彼女に話したからか私は彼に聴いていた。
「雨が降りそうになっても、貴方は腹をだしているのね」
私は彼の脇腹をまさぐると、彼の腹から太い金色の鍵を見つけた。
「貴方、ふざけているの」
腹に麻と黒の境界線がはっきりと見えた、私は彼に話をしていると、家に帰った。
「違う、それは、知らなかった」
私はまじまじと見ていたが、彼の腹から鉄の臭いはしなかった。
「知っていることは私に全部話した方が良いわよ」
私は圧を掛けるが彼の鈍重な眼が私の瞳から揺れ動くことは無かった。
「俺も違和感はなかった」
「貴方が言うなら良いけれどね」
私はそれに際して鍵を私の鼻元に近づけた、銀色に輝く光は太陽に反射しているため眩しかった。
驚いたことはあった。
臭いが全くしなかったのだ、無臭なはずはなかった、鉄屑の臭いや口につけた時の味が唇からでも伝わるはずである。
「私はそれでもいいわね」
当たり障りのない言葉、それだけを口にして私は銀の鍵を渡した、渡したから彼はそれを取ったのである。取って鼻に近づけたが、とても表情に変わりはなかった。
「ごめんね」
彼に申し訳なくなったのだ、彼が金のために働いているのに私の事件に巻き込むことが、私の人生は私だけのものだった。
「気にするな」
彼は私を家に連れ込む、私はとても緊張していた、腐乱臭とミストが混ざり口からゴキブリの大群の想像をした。
「この部屋の本棚の角にでも待っていろ」
私は、緊張してその場の隅っこにでもいようと考えた、彼はタンスからモノを取っている最中であった、私は初めての自由時間であった。
「ここの、は自由に触ってもいいのよね」
「ああ、いいぞ」
本棚には蔵書が分類され識別している、一つ本を取った、黒々としていて所々に白いシミの有る本であった、赤い紐が頁と頁の間に挟まっている、恐らくは誰かが読み、読みかけの本を叉読みたいからそのままにしようとしたのだろう。
後ろを振り返った、シュンは麻を探すのに忙しいのだろう、シュンに抱き着いて毛布のような肌に触りたいと感じたりもした、シュンはとても忙しそうに思えた、家にいる安心感が私を包み込む。
「本にも種類があるのね」
私はシュンに聴いた。
「馬鹿みたいに読みまくっている奴もいるがな」
彼は後ろむきに答えた。
「シュロだよ」
「餓鬼」、口が悪くなるのは決まって小さな男の子のことだった。
「シュロ、外人」
私は咄嗟にその言葉が出た、しかし、彼は顔をするだけであった。
「シュロは日本人だよ」
私の顔を察して彼女に話していた、私は家に帰ると彼女に話していた、私は彼女に話していた、私は彼女に見ていた。
シュロのお面、丸くて天狗の鼻と鋭い一重の眼が印象的な目の奥から鋭い真っ黒な眼が、こちらを見ていた。いわゆるザンギリ頭に近い格好をした子供がてくてくと歩いて行いているのを、まだ覚えている。
「お前、シュロ触れられたのか」
シュロが降りた棚は麻できた布と絹が擦れて飛び出た、垂れた絹の面が脚立を直立して並ぶ、シュンが私の手を掴む、力強く掴むので私は身じろぎ逃げる事も、できなかった。彼は確かに『シュロ』と言ったのだ。
「何で分かったの」
するとそれまで私が話をしていた、力が抜けたのだ、霊魂を信じ、負えないような環境が整ってしまったとも言える。
「シュロだったんだな」
シュンは確認するだけで私は、どうにもできなかった、どうにもできなかったから私は彼に身をゆだねることしかできなかった。哲学的な恋愛の兆候が西日に当たり赤黒い日を、体全体に被った。
「・・・」
「そうだったのか」
私は彼女に話をしていると彼の脇腹が空いているのを気が付いた。
「隙あり」
彼は独り言を話しているようだった、私は彼の脇腹をくすぐってやった、先のよう鍵が出て来ることはなかったが、シュンの大きな笑い声が響いた。私は浮足立って帰っても仲良くできると確信した。
「それは自分と自分の中に内在する自己を」
彼が啖呵を切って言う
「こんなフレーズがきこえてきそう」
私もそれに共感して身もだえした。
「ウサギが私をいざなうのか子供達が私を化かすためにしたいたずらなのか」
私が「言葉当てゲームだ」と言った、隠れ里、鳥居、スバルと私が言う言葉に彼が脚色されているようだった。
「それじゃあ待っていてね」
「待っていて」は心が籠っているようだったし、彼の価値が高まるよう発言した言葉でもあるようだった、まだ、料理すらしていないのに、鶏の力強い臭いが止まらなかった。
「私、帰れるかな」
彼女が話をしていると、お腹が鳴った彼は苦い顔をしていたが、筋肉が強張っているよう見えたが、彼が本当に何かをして言うとは思えなかった、私の手が彼の手に触れている。
「つうか、ヒナは腹が減ったとか感じないの」
東から来る風が私の影と西日に延びていた、彼は私に家を持っていることにした、腹に手を当てても、自分の腹減る感覚はしなかった。
「感じたことは無いわ」
彼は不思議そうであった、私の家にはいつだって食材があったが、餓死することなど考えてはいなかった。私の家の話をしていると、彼が渋い顔をして来たので止めることにした。
「帰れるさ」
秋晴れと梅雨の豪雨が日常になって、異常な現象が自然の摂理が施した豪雨が大量の雨漏りを呼ぶ、しかし、荒れ地が崩れることなどは誰もが心配していなかった。