同化
「豆腐を売っているのに肉屋」
横目に炭火が見えた、炭火には生のカモの肉とネギが刺していた、100円と書かれていた。時間もかかりそうであった、一時間もしたらまた買いに来よう。
「後ろに蠅がいる」
蠅が居るのは普通の事だろうと思った、私は奥の豆腐屋の向こうに有る角が気になった、角の先から生活感が溢れているのに蠅がたかっているのだ、『お婆さんはいつも温厚だ』と言い彼女の家の奥の蠅がたかる場所に行く。
「御婆さん」
穂を手で触りながら帰路に着く、分譲住宅なるものは無かった、個人住宅が私のことを見ていた。
「どうしたんだい」
お婆さんはひょいと顔を出すと、ヒナは恥ずかしさと恐怖でその場から海老ぞりの体制で姿勢よく起立した立ち姿をした。
「何あれ」
穂が私の手に当たるごとに田んぼが森を避けるようつくられていた、稲は新種に思えた霊魂が宿った。私は彼女の手をゆったりしていた。
彼女は私に勇気と創造性を与えてくれた。
私はあの猪が首と胴体が離れている情景を一生忘れないだろう、それはアニメーションのワンシーンで見るリアリティに富む絞殺された死体より、同行が真っ直ぐ何もない前を見ていた。然るに、風に揺られた猪の頭が風に押されて傾いた目と合ってしまった。
皮肉なことに自然の絶景なるモノを見たからこそ私は意志を持って凄惨な死体現場から逃げることができた。
「ルシファー、イエス、セニョリータ」
分厚の本であった、私は彼女に話をしながら絵を話していた、古巣の彼は私のならこの町を好きになるだろうと言っていたが、それはこの陽光であるだろうか、私は海の臭いに似た涙袋にある涙を押し出し舌で味を確認した。
子供が二人いた、二人は仲良く遊んでいたが顔の細い女性に促され遊ぶのをやめてしまった、パステルカラーの鮮やかな黄色系の色の洋服を着ていた男の子は「じゃあね」といてから、軽い緑系の色の洋服を着たふくよかな女の子と別れた。
私は彼女らとカードゲームでもしながらコードの明るさについて語り合う、息も絶え絶えに力を出し尽くすと私はついに倒れ込んだ、ふくよかな暖かみのある聖母の陽光が体と共鳴する。
「あんなところに鳥居」
私は帰りにその場から起き上がり正面から見る、私は彼女から私は家の住所を聞いていた、住所はここから近い都会で言う住宅街であった。いわゆるリッチなヒトが良く住まう土地である。
鳥居の奥にある彼女の家には私の家がたくさんあった、私は彼女に話をしていた、私は彼女に話をしている。
着たドテラの蒼と黄色のチェック柄が日に当たり紅色、鮮やかな黄色系の色に当たった。裏には特産品と書かれていた。シャーベットアイスは食べていた、げじげじ、を手に持ってくるりと回りなげる。
彼女をはなしていた、彼女の事をはなしていた、都や九条のことを思い出した、こういうときは「あきらめちゃだめ」とか言っていたか、私は古巣家のヒトなるということか、わたしは夢をみた。
小学生の頃はアイスクリームを食べて満足していた、お使いをすることはなかった、私は食事をすることが一番の楽しみであった、私は彼女を見ていた。友達の名前は『ハルナ』であった。
『ハルナ』に話をしていた、私は彼女に話をしていたのは私だけであった、彼女に華足をしている。
私は彼女に話しかけるとお婆さんが私に返事を返してくれた、家に帰るまでに蛙を何匹みるか分からないだろう、黒いベージュ色の双眼鏡を片目に田舎町を見ていた。木々のざわめきを、色合いを、堪能していた。『日吉神社』ガラス越しに鳥居が見えた、鳥居は紅色からオレンジに変わるグラデーションが太陽の向きにより変わる。赤黒く通りに話していた。
鳥居の奥には石畳が階段状に建てつけてあった、表面は風化した所があるが濃い緑のコケシが何個も張り付いていた、私は彼女の事をはなしていた。『日吉神社』は怨恨の無い足しげく足を運ぶ結果になった。
鳥居に入ったが、鳥居の中に有る私の事はならなかった、私は彼女の事を話していた。ナギの巨木が土に根を張っていた、鳥居を潜ると、高く伸びた杉が静謐な佇まいで成長していた。
鳥居の奥の石畳を足で踏みながら、黄色い葉や明るい灰みの緑系の色の葉を楽しんでいた。初詣や年末の来年に対する願掛けをするために神社へ通うことはあったが、自分の意志で行くことは無かったので新鮮だ。
鳥居を潜る時に、白い絹のような紙が揺れていたのを思い出す、枝葉が風で揺れていることから、私は歓迎されているのだろうと思い込むが私にそれを確かめるすべはなかった。塩の事件、家屋の奥にある分厚の扉の先の部屋、もつ鍋に入っていたドアノブ、私は手に持っているおさげのコケシを手に取った。
石畳みの階段に立っているコケシと瓜二つであった、この町のマスコットの存在なのだろうか、私は彼女に話しかけていたのにそれだけではなく、木の葉っぱを一つもぎ取った。青々とした濃い緑の葉っぱであった。
濃い緑色の葉っぱは私に彼女の話をしていた、灰みの青紫色が私の視界を占領したとしても、太陽を直視した眼が色彩を認識できなかっただけである。葉っぱはローリエにも似ていたが食べられないことからローリエとは違った。
階段を、一段一段、上がる私は私の意志に反してその足取りが軽かったと感じる、セピア色の身飾りをした神主の男に会っても私は瞬き一つ変えずに彼が役職についていることを理解した。
セピア色の太陽は灰と褐色の女性の肌をしていた、女性は私を誘惑して楽しもうと考えるかもしれないが、鮮やかな緑系の色から深い緑系の色になり灰みのある色へとなる、ついには白ともに付かない色となり同化した