3-19
「あ、え?ぼく地雷踏んだ?」
ぼくはその行動に呆気に取られてそんなことを口に出す。
それに対して彪馬がぼくに言う。
「いや、ちげえよ。ただの剣って言っただろ。そのまんまなんだよ。つまり無銘剣ってこと」
「あれは多分剣を取りに行ったのよ。無銘剣は体に入らないらしいのよ。あんたそんなことも知らないのね」
「そんなこと言ったって、わからないものはわからないよ」
アハハ、とぼくが苦笑しながら言うとぼくに一つの疑問が浮かんで、彼らにそれを投げつける。
「ってことは奈永は戦闘しないのか?」
「しないっつーか戦ってるとこそのものを見たことねえよ」
「基本モブどもが出たらあたしとこいつで片付けるのよ」
「つーかお前も分かってるだろ。あの性格で、お前からこのゲームは死ぬって聞いた瞬間の動揺の加減から向いてねえって」
「まあ、そんな気はするし、戦闘に出したら出したで危なっかしくて見てられなさそうではある」
「初めて会ったやつからもこんな言われるなんて奈永も相当よね……」
そんな事を言っていると、全速力で走って戻ってきた奈永が肩で息をしながら左手を膝に当て、右手で剣を持って、はい、と見せて言った。
「これが、私の、剣です」
ゼハゼハと息を切らしながら彼女が見せた剣は、真っ黒な漆の鞘や黒みがかった緑色が印象的な柄の部分、それに三日月をかたどったようなデザインの鍔から日本刀だろうと思わせる。
本当に無銘剣なのか、という疑問をその美しいデザインから感じつつも、鞘があるし彼女も鞘は己、そう言う契約で神剣を使っているとかなんとか言っていた覚えがあるので、そう言うことを考えるとやはり無銘剣なのか、と納得せざるを得ない気がする。
「刀身はどうなっているの?」
「それがですね~、鞘から引き抜けないんですよ」
そう言って彼女は思いっきり、う~ん、と鞘から剣を引き抜こうと踏ん張る。
「まあ、こんな感じです」
「ぼくがやろうか?」
そう言ってぼくが奈永から剣を受け取ろうとしたとき、それを霧花が引き留める。
「ちょっと待ちなさい。あんた今自分がなにやろうとしたか分かってるの?自分が契約してる神剣以外の神剣を触ったら、腕の血管が内側から爆発するわよ!」
「え、ちょっと待って、それぼく知らないんだけど」
「あいつがダメージ受けて剣を手放しちゃったときにあたしが拾って持っていこうとしたら、触った瞬間からぞわぞわするようなとげとげしい感触があって、しばらくしたら腕の血管が爆発したのよ」
ぼくがあからさまなオーバーリアクションをとると、霧花は丁寧に説明をしてくれる。
そういえば、とぼくは彼女の剣に触ったことがあるがそんなことはなかったぞ、とも思ったが、それを出すと話がこじれる気がしたのでぼくは黙っておいた。
彼女の剣が偶然例外だった可能性だってあるんだし。
「じゃあ、やめておいた方がいいか」
そう言ってぼくは伸ばした手を下げる。
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