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3-7 

 「片桐、貴様私が連れてきた新たな仲間を信用できないのか!ならば、まず私の裏切りから疑うべきだ」


 そう彼女は片桐に言い放った。

 そして次にぼくの方を見て詰め寄ってくる。


 「水尾、貴様も貴様だ。貴様わざと戦闘の方面へ話を持って行っただろう。なぜそんなことをした」

 「いや、だって、ここがやらなきゃやられるって言うのはわかってるし、そこしか反論できるところがなかったし……」

 「片桐、貴様誘導しただろう」


 ぼくの言葉を聞いて彼女は片桐に詰め寄る。


 「フン、下らんな。余計な真似を……。オレはこいつの真意を確かめたかっただけだ。戦う覚悟があるか。まあ、剣を握れたのは合格点だ。尤も、不殺主義は好かんがな。まあ、いい。不殺主義でもオレたちの目的は達成できるだろう?」


 勝手に話が進んでいくので、ぼくの頭には疑問符が出てくる。


 「えっと、どういうこと?」

 「前に私達が神剣を集めているという話はしたが……要は剣さえ手に入ればそれ以外はどうでもいいって言うことだ」

 「フン、オレはそんなことどうでもいいがな。むしろ剣が集まらない方がオレは得だ。剣が集まるとオレの居場所がなくなる可能性があるからな」


 片桐は呆れたような顔で彼女に言った。


 「まあ、何はともあれ私達は神剣を集めているんだよ。だから、戦闘で人を殺すのはあくまで手段として見るだけでもいいんじゃないかな。片桐の言うように、殺すのも一概に悪いとも言えないしね」

 「私は腕でも切り落として無理やり剣を奪った方がいいと思うがな」

 「そう言うことだ。話を戻すぞ。この写真の3人についてだが……」


 片桐がそう言った時、すぐそばに言った彼女は、話しずらしたのは貴様だろう、とぼやいていた。

 しかし、片桐にはそれが聞こえていなかったのか、はたまた無視したのか、何の反応も見せずに話をつづけた。


 「奴らの能力はわかっていない。だが、居場所はわかっている。お前たち2人の学校だ。そこにやつらは出没する。そして、やつらはほぼ常に3人で行動している。すぐに戦闘を挑んでも勝てないだろうな。フン、どうする、サトー」


 腕を組んでフンスと息を吐いて片桐はサトーの方を見る。

 サトーは少し考えるようなポーズをとってから、ぼくらの向かって言葉を発する。


 「私達と戦闘をするということを彼らは知っているんだよね?」

 「ああ、そうだ。少なくとも私と会った瞬間戦闘は起こるだろうな。もしかしたら、水尾は大丈夫の可能性もあるが……怪しいな」

 「警戒されるとは思うよ。ぼくは彼に会った後、君と話しているのは事実だし、君と戦闘していたのも見られている。彼からしたら、そのあと和解した可能性もあるし、どうにかぼくが逃げた可能性もある。だから、接触は頑張ればできると思うけど……」

 「下手をすれば戦闘になりかねないね」

 「彼らって3人でほぼ常に行動してるんでしょ?もしそうなったら、生きて帰れるかどうか怪しくなるんですけども……」


 ぼくは苦笑してそう言う。

 尤も全く持ってシャレになっていないのだが。


 「フン、その通りだな。となると接触は絶望的と思った方がいいらしいな。どうする、サトー。明らかな戦力差に加えて情報の入手も困難だ。まるで勝算がないぞ」

 「いや、接触は絶望的じゃないかもしれないよ。あくまでも、水尾君が行ったとしても警戒はされるし、戦闘になったら水尾君の命は危ないって話であって、接触ができないとは言っていないよ。だけど、私はあまり危険を冒させたくないけどね」

 「フン……そうだな。お前も死にたくはないだろう。ならばこうしよう。水尾、お前はネイザーでやつに接触しろ。そうすればやつは能力を使えないはずだ。もちろん、シンギュラリティに来いと言われた場合は断固拒否しろ。オレたちとしても今お前を失うのは痛手すぎるからな。どうだ?」


 彼女やサトーの視線がぼくに集まる。

 こちらの世界ならば能力を使えないからと言って100%安全が保障されるわけではない。

 それはわかっているが、ぼくがこれをやる以外に現状考えられる勝利へのルートはないかもしれない。

 いや、あったとしても多分これが一番早いのだろう。

 ぼくも覚悟を決めなければならないのだろう。


 「わかりました。向こうで接触してみます」

 「フン、いい判断だな」


 片桐はぼくの返事を聞いて、腕を組んで、うんうん、と頷きながらそう言う。


 「それじゃあ、今日はこの辺で終わろうか。水尾君も来てくれてありがとう」

 「いえ、こちらこそ。ぼくとしても情報もらえたので有意義な時間でしたよ」

 「私が外まで送ろう」

 「フン、オレはもう引きこもるぞ」


 片桐は自室に帰り、サトーはその場にとどまり、彼女はぼくと一緒にビルの外に出てきた。

 そして、建物の外に出たとき、彼女はぼくに話しかけた。


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