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3-3 

 「待った?」


 ぼくの第一声もさながらそれっぽいものである。


 「いや、別に私は2分ほどでここまで来れるから特別待ったということはないな。まあ、概ね予定通りだろう」

 「そう、それならいいんだけど」

 「一つ聞いていいか?」


 彼女は少々怪訝な顔でぼくに言った。


 「貴様の隣にいる少女はなんだ?」

 「なんだって、ぼくの神剣だけども?」


 ぼくはさも当然のように答えた。

 そして、ぼくと彼女は二人して首を傾げた。


 「貴様はなにを言っている?」

 「言葉通りだけど……?」

 「……?」


 彼女は頭を抱えこんだ。

 ぼくはシュナと顔を見合わせた。


 「ほら、こういうことだけども」


 そう彼女に言ってシュナに剣態になってもらうようにお願いする。

 シュナは、任せるのじゃ!と快諾してくれたため、すぐにぼくは剣態となったシュナを握り彼女に見せる。


 「待った、今何が起こった?」

 「それ、ぼくが君が胸のあたりから剣を取り出した時の感想と一緒だよ。これはこういうものとして見た方が多分楽だよ」

 「……貴様の神剣はあの少女と言うわけか?」

 「そう、そういうことよ」

 「……わかった。しかし、少女の姿のまま連れて行くんはお勧めできない」

 「なんで?」


 少々神妙なお面持ちになってそう言う彼女に、ぼくは疑問をぶつけた。


 「前言ったと思うが、神剣士は私以外にもう一人いる。そいつが……なんというか、癖があってな。……ロリコンなんだ」

 「は?」


 ぼくの顔が凍り付いた。

 は?と発声したまま、口を開けたままで。

 だって、考えても見てくれ。

 ロリコンだぞ?

 学生時代のふざけた身内ネタで、こいつロリコンなんだぜ、って言うくらいならわかる。

 だって、今そんなこと言っているように見えるか?

 増してや彼女が、あの厳格そうでジョークの一つでも言ったら殺すみたいな雰囲気出している彼女が、言うわけないだろう。

 これは、ガチのやつだ。

 本当にダメなやつの気がする。


 「まあ、多分、見せなければ何事も起こらないと思うが……。まあ、注意だけしておいてくれ」

 「ああ、分かったよ」

 「じゃあ、行くか」


 ぼくは困惑しつつそう言う。

 納得はしていない。

 何とも言えない雰囲気になったまま、ぼくは彼女について歩いていく。

 駅から本当に2分ほど歩いたところで、彼女は古い、お世辞にもきれいとは言えないようなビルに入っていった。

 もちろんぼくも彼女に続いて入ったが。

 階段をしばらく上り、5階ほどに着くと、彼女は扉を開け5階の廊下へと入っていった。

 そして、廊下に入ってすぐの部屋に入る。

 そこは、いくつかのパソコンがあり、機械があり、例えるなら、軍の指令室的な感じがした。


 「連れてきたぞ」

 「ああ、すまないな。行かせてしまって」

 「別にかまわない。貴様らが行っても警戒されるだけだ。それに、せっかく仲間になってくれるんだ。礼くらいは尽くす」


 彼女は部屋に入って早々、ある一人の男に向かってそう言う。

 男は大柄で、スーツ姿、パッと見で言うなら大柄なこと以外はどこにでもいるサラリーマンと言った感じだ。


 「自己紹介をしよう。私はサトーだ。よろしく」

 「ぼくは水尾玲です。よろしくお願いします」


 そう言って、ぼくはサトーから差し出された手を握る。


 「他の人も紹介しておこう。彼女、美結のことは知っていると思うから省くが、今私達の目の前で機械をいじっている彼女たち、右から、カザミ、スズシロ、ナナホシだ」


 彼女らは自分の名前が呼ばれると何も言わずに、こちらを向いてお辞儀をした。

 ぼくも小声で聞こえてなかったと思うが、よろしくお願いしますと言ってお辞儀を返した。

 だって陰キャだもん、見ず知らずの人と話すだなんて緊張するじゃない……。


 「それと、もう一人、君には紹介しなければならない人がいる。美結から話は聞いているかもしれないが、ここにいるもう一人の神剣士だ」


 ぼくはその瞬間、何か嫌な予感を察知する。

 そして、すぐに彼女の方を見る。

 彼女は壁に背を持たれて腕を組み、ぼくと目があっても、さあ、と知らん顔をして事の成り行きを見守っているばかりである。

 それを見たぼくは、あ、これホントにダメなやつだ、とそう感じる。

 そうこうしている間にも、サトーは事を進めていて、今の指令室的な部屋のさらに奥にある扉にノックをして言った。


 「おい、片桐、入るぞ」

 

 そう言ってサトーは扉を開ける。


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