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決して死なない(5)未来

作者: 星一石

 そのニュースは世界を駆け巡った。

 誰もが知っている某社が出した保険だ。


 某社は民間宇宙旅行を手掛ける大手の宇宙航行会社。「火星日帰りプラン」を出して一気に成長した会社だ。当時、火星までは片道3日かかっていたのに、自社開発の高速宇宙船で不可能を可能にした会社だ。


 その保険は、死に至る病気の完治を保障すると言うのだ。

 普通の保険は治療のために必要な費用を出すものだが、完治は保障しない。完治を保障するということは、普通の病気では決して死なないと保障するようなものだ。実に馬鹿げた話だし、それが某社のような大企業でなければニュースになる前に詐欺としてローカルに話が終わっているだろう。


 しかし、それは大真面目に販売された保険であり、某社の旅行代理店で手続きをするだけ。しかも、普通の医療保険に比べても安い。常識を覆す保険だ。


 ただ、死に至る病気でない病気の治療には何もしてくれない。医療費を出してくれるわけでもない。事故や治療が間に合わず死んでも何も出ない。医療保険より生命保険の方が掛け金が安く、保障が大きいのと同じで、長く生きられない状況という特殊な状況になって初めて適用される。


 人は死んだら終わりだ。進歩した現代の医療もまだ限界がある。救えない命がある。その救えない命を救う方法を提供する保険。


 その仕組みはこうだ。

 保険が適用された患者は1か月以内に出発する医療宇宙船に搭乗する。

 宇宙船には病院と同程度の施設が整っており、病状の急変に備えながら亜光速で3日間の旅をする。この3日間で50年が経過する。ウラシマ効果だ。そして地上に戻り治療を行う。それでも完治しない場合は、再度宇宙に出る。これを完治するまで繰り返す。


 50年後の医療は現代の医療とは別次元だ。50年後でも完治できる技術が無いなら、さらに未来へ旅をする。何度でも何度でも完治するまで。

ウラシマ効果は未来への現実的なタイムマシンです。

似たような話で、治療困難な病気の人が冷凍保存されているという話もあります。

人はいずれ死にますが、みんな死にたくない。

でも、こんな保険が出来たら加入しますか?

私は加入するするかもしれません。

生きている間に冷凍保存されるのは恐ろしいですが、眠らされるわけでもなく意識を継続しながら死ぬしかない状況から脱出できるわけですから。


で、こんな保険を作った所で某社は儲かるのか、というツッコミもありそうですが

宇宙船の建造費がネックになりますね。

一回使うと50年戻りませんので、毎月1台消えていくような感じです。


とは言え、生命保険より安め程度でありながら死んでしまったら何も支払わないわけで十分採算ベースになると思います。その上、50年預かっている資産運用は大きい。

しかも、なんなら50年後に戻ってきた宇宙船を再利用も可能。宇宙船自体は3日しか使ってない訳ですから。


これは我ながらナイスアイデア

とは思っているのですが、たぶん誰か書いてるんだろうなぁ

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[良い点] お話のアイデア面白かったです!
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