間奏
「んで? どうよあの子。センスある?」
「いやぁ……まだ1日目だし。最初だし何とも言えないけど……私よりはマシなんじゃないかな?」
だははははは! と椅子に跨った金髪の女がスナックを頬張りながら笑う。
「それは言えてるわ。お前最初ずっと泣いてたもんなぁ!?」
「だってほら! 仕方なくない!? 最初まだ私中三だったし?」
「たかが一、二歳の違いで何言ってんだ」
ケタケタと女がスナックを頬張る。
「それもそうだけどさぁ……百歳、百一歳の違いとは訳が違うじゃんか?」
「うるせぇ、そりゃ言いわけだろ。つーか今ちゃっかり私のこと言ってきたろ? えぇ?」
「だってさぁ……」
「はいはい黙れ、泣き虫キティちゃん」
ぷくぅとソファに座った黒髪の少女が頬を膨らます。
「ていうか私にもお菓子ちょうだいよ。私もお腹すいたんだけど」
「こっちで食っても向こう帰ったら空腹だぜ?」
「いいよ別にそれは……ただ食べたいから食べるだけだし」
「太るぞぉ?」
「今、帰ったら空腹っていったじゃんか」
「カロリーは引き継ぐの巻」
「なんてシステム!?」
そう言いながら少女はスナックを頬張る。なにせここに来るのは一度や二度ではない。スナックを食べたところでお腹が膨れないこともカロリーになんの影響もないことも知っているからだ。
「ホントこれ向こうでも売ればいいのに。相当美味しいよ」
「だろ? 私スペシャルだからな」
「味付け教えてよ」
「ヤダ。つーか向こうには調味料自体ねぇからな。似た味は作れてもこれは作れねぇぞ」
「それでいいよ。向こうじゃそれで我慢するし」
「しゃーねーなぁ」
それじゃ。と女が少女へとレシピを教える。こうやって話している姿はまるで同年代の女子同士の会話そのものである。
「ど? わかった?」
「わかったけど……覚えてられるか心配だなぁ」
「さっさと終わらして家でメモれ」
「そうするー」
パクリ。と味を確かめるように少女はスナックを口に入れる。
「……確かに言われればその味っぽいわ」
「だろ? 案外合うんだよ……それで何でお前今回死んだん? 油断した?」
女もスナックを頬張りながら少女に問う。
「うん……ちょっと周りに目が行き過ぎたかな」
「それ二年前のお前の先輩も言ってたわ」
「マジか!! 先輩ごめんなさい!」
「ぎゃはははははっ! ……そりゃまぁ教える側の使命みたいなもんだからな。先輩は後輩のために死んでナンボよ」
「そんなもん?」
「そんなもんさ。死んで生き返って得るものもある……と思う」
「思うかよ」
「思うだよ。残念ながら断定は出来ないねー」
そう言いながら女は懐中時計へと目を落とす。
「んじゃそろそろ生き返ろか」
「オッケー……お菓子はちょっと心残りだけど……。あの子なんとか生きてるといんだけどなぁ」
「こっちにきてねぇあたりまだ生きてんだろ。最初だしまぁ……時間の問題だけどな」
「了解……んじゃ頼みます」
「頼まれます」
女が少女の頭へと手を添える。
「退場っ」
少女の姿がソファの上からすっと消える。
入れ違いでぼろぼろの少女がソファの上へと降ってくるのは、それから数十秒後のことであった。




