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ChAiN soul Girl  作者: 甘味 亜月
捜索開始
26/37

捜索③

 乃子さんがまずひとつ。と人差し指を立てる。

「とりあえずは日記の位置だよね」

 日記の位置。

「さっきも言ったけどなんであんなところに置いているのに忘れてるんだろ? 最初に場所を聞いたときもさ……『多分、私の部屋にあるんですが』ってさ。まずどこの部屋にあるかっていうことも曖昧だったんだ。自分の書いた自分の日記なのにさ」

「それは、警察に探されてるから多分っていうことじゃ?」

「だったら、『どこに置いたかの記憶が曖昧なんです』なんて言わないでしょ。警察の捜査云々以前に場所がわからないのさ」

「……確かに言われてみればそうですね」

「でしょ? んんで二つ目。階段についてた染みだ」

「……染み?」

「そう染み。気づかなかった?」

 ……確かに階段を登るときに、段差に何かが付着してていた気がする。

「……まさか?」

「私の堪……だけど多分」

 乃子さんが自分の頭を指差す仕草をする。

「ここで血が流れたんだろうね?」

「……ひっ」

「普通の家だったらもっと違うことを考えるけど……こんな現場だ。そう考えるのが自然じゃないかな?」

 けど乃子さんのいう事は棟葉さんの意見と食い違う。

「で、でも。棟葉さんは下のリビングでみんな殺されたって言ってましたよね? それなら2回に向かう階段で血が滴ってるのはおかしいんじゃ……」

「そこで三つ目」

 乃子さんが頭に向けた指を三本に増やす。

「じゃあなんで弥生ちゃんは倉庫の中にいたんだ?」

「……リ、リビングが嫌だったとか?」

「だったら自室にいればいいだろう。彼女はあそこにいる理由が無いんだ。『動きたくても、あそこから動けなかった』っていうのなら話は別だけど」

「……えっ?」

「だってさ。別にあそこにいなきゃいけないってルールがあるわけじゃないでしょ? それならもっと違うところにいる方がいいじゃんか? 君、梅雨はジメジメして冬は寒くて、夏は死ぬほど暑いところに5年も居たい?」

「それは……嫌ですね」

「じゃろう? つまり……私の中の結論はというと」

 グイッとこちらに顔を近づける。

「殺人の犯人は、棟葉弥生だ」

「!!!!!!!」

 私は乃子さんの言葉に開口する。

「えっ? だって……棟葉さんは犯人に殺されたんですよね? リビングでみんなで……」

 乃子さんは私から目を逸らさないまま、

「多分事件の概要は……まぁ字の如くリビングで四人を殺したんだろう。家族三人とあと誰か一人。ここまでもこっからも私の想像に過ぎないけど……何かしらの大きな恨みを持っていた棟葉弥生は、リビングにいた4人を殺害。そして倉庫にて自殺なりなんなりを図ったんじゃないかな」

「……」

「そう考えたら納得がいくんだよ。この部屋の中がおかしいのも、血がついてるのも。弥生ちゃんが倉庫の中にいたのも」

「……」

「まずこの部屋の中。本棚の二段目がおかしかったのは不可解な現場を作るため。彼女は少しでも自分が犯人だという結論に辿りつけないように事件とは関係ないところに何の意味も無い暗号を作った。あれだけ綺麗な本棚が二段目だと荒れている。何か事件に関係があるのでは? そう考えるよね?」

「まぁ……はい。そうですね」

「けど、実際は何も関係がない。ただああやって意味深な箇所は作っただけだ。クローゼットも然りだよね。服はどこかに処分したんだろう……倉庫の下の地面の中とかね」

「……」

「次に階段に血がついてるっていうのは、あの子が自傷行為をしたとかそんなとこじゃないかな。殺人を犯す前に、既によっぽど恨みが溜まっていたんだ。そしてその恨みがつもりにつもり……じゃない?」

「……いや、でも全部あくまで推理の範疇ですよね? そこまで辿り着けるんなら警察だってそう考えたんじゃ」

「ハナから他人が犯人だという前提で捜査してるし、それが1番一般的な事件の答えだ。そう考えるに至らないだろう?」

「そ、そうかもしれないですけど……だったらなんで乃子さんはそう考えるんです?」

「まぁ……これはねぇ、正直繋魂使(チェーンソウルガール)しか気づかないかもしれないよね。天界だってすべての人の人間を常に見てるわけじゃない。……乃子さんは浮遊霊と地縛霊の違いは聞いた?」

「えぇ……ホント未練があってふらふら動いてるのが浮遊霊で、恨みとかフラストレーションが溜まってその場に戸惑っている……のが……地縛霊」

「そういうこと……だよね? つまり結論から言うと彼女は地縛霊の訳だ」

「……」

「死んだあとのはずなのに土がついている。っていうのも地縛霊だからこそだよね。地縛霊は限りなく死ぬ前の姿に近いんだから」

 乃子さんがよいしょっとポスターの前から離れ、ベッドに腰掛ける。

「いや、でも別にね。彼女が地縛霊だということは今、大した問題じゃないんだ。殺された恨みでなったっていうのも十二分に有り得るわけだし。そこで今、何が重要かっていうと……彼女が嘘をつかないギリギリのラインで言葉をぼかしたっていうことだ。部屋の中のどこかに手紙。リビングにみんないる時に襲われた。前者は忘れるわけがないし、後者は誰から襲われたかは言ってない。ここでみんな。つまり弥生ちゃんが襲われたってんなら弥生ちゃんはリビングにいなきゃおかしいんだ。だって倉庫で殺されてればみんなじゃない」

「……以上ですか?」

「うん。でもまぁ、あくまでぜーんぶ、名探偵ノコの推理だから勿論彼女じゃないっていうのも考えられるよ? けどまぁ……多分だけど」

 そう言って乃子さんはベッドから立ち上がり部屋の入り口へと歩き出す。

「私の推理は正解で、彼女の目的は手紙を探すことじゃなくて……ほーら」

 乃子さんがドアノブを握ったまま私の方を見る。

「……まさかですけど」

「うん」

 乃子さんがくすっと笑う。

「閉じ込められちった♪」

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