表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ChAiN soul Girl  作者: 甘味 亜月
お仕事開始
20/37

うわっ、犯罪者だ!

「ここだ」

「ここ……ですか?」

「うん。間違いない。グー○ル先生も門番さん(笑)もそう言ってる」

「なんでいまちょっと吹き出したんですか」

「いやだって……ねぇ?」

「そんなニヤニヤされながら、同意を求められても困るというか」

「まぁ、それもそうねー……」

「満面の笑みで天を仰がないでください。ちょっと怖いですよ?」

「ま、そう言うなって」

 そう言いながら乃子さんは、さてさて。と手帳のようなものをペラペラとめくりだした。

「んじゃまぁ、空を見る限り、またどんよりとしてきたみたいだし……ちゃっちゃすませて帰ろうか。津池さんは今日は見学だけだから、とりあえず私に付いてきて?」

「それはいいですけども。……本当にここなんですよね?」

「ホントだって。デジタルもアナログもそう言ってんだから間違いないって」

 路地に入って割とすぐのところにそれはあった。路地沿いに玄関があり二階建てのその建物はどこにでもあるようなごくごく普通の一軒家。これいった特徴もなく、ここに目的がなければ印象すらも残らないと思うのだが。

「……あれ?」

「どしたん津池さん。そんな驚いたような顔をして」

「いや、あの……ちょっと見覚えがあるというか」

「あ、もしかして友達の家とか?」

「そういう訳じゃないんですけど……」

 ここは私の記憶が正しければ……。ああ間違いない。

「……ここは昨日私が不法侵入した家です……ね」

 昨日成り行きで侵入してしまった家だ。追い掛け回されていたときに思わず裏から飛び込んでしまったあの場所である。

「うわっ、犯罪者だ!」

「銃刀法にもろ違反してた人には言われたくないですよ」

 「それもそうか」と乃子さんがケタケタと笑う。いやいやいや。

「というかあれですよ。貴方に追いかけられてここに飛び込んだんですよ?」

「あ、そうなん……それはまた随分と思い切ったことを」

「感心してる場合ですか」

 またケタケタと乃子さんが笑う。いやほんと良く笑うなこの人。

「んまー、それなら良かったわ。偶然っちゃ偶然だけど説明する手間が省けたみたいだし」

「え?」

「ここに入ったんなら、なんでここを集合場所に指定されたかわかったんじゃない?」

 乃子さんがコテン。と横に首を傾ける。

「いやいや、全然わかんないですよ。どう見たって普通の家にしか見えないですし」

「えぇ……それはまた……君独特の感性を持ってるね……てそりゃそうか。もう大分昨日は暗かったもんね。それならわかんないのも仕方ないか」

「そんな待ち合わせ場所になりそうなところとか、一目でわかるようなもんなんですか?」

「んーー。それは場所だったりに、よりけりなんだけど……まぁここは顕著だわな。むしろ何もないと思うほうが感性を疑うわ」

 パチッと乃子さんが手帳を閉じる。

「つーわけで、中に入ってこうか。ちゃっちゃと済ませるのが何よりだし、ホント雨が振り出したらたまらないからね」

 「さて」と言って乃子さんがズンズンと家の敷地へと入っていく。私も乃子に続いて敷地へと入る。家の中へと入るわけではなくこちらから向かって右側。屋根付きの車庫がある方向へ壁沿いに歩いていく。そして一度立ち止まり、キョロキョロと周りを見渡したあと家の裏口を目指し歩きだした。

 そして歩きだしたと同時に乃子さんが喋りだす

「ここの家の間取りは一階が4LDK。二階が子供部屋が二部屋と夫婦部屋が一部屋。それにクローゼットとトイレが備え付けられている。家の横には屋根付きの駐車場があり夫婦で一台ずつの計二代の車が置かれていた。路地、もとい道路から見て反対側にはガーデニングが出来てもお釣りがくるほどの庭があり、そこの隅っこには後付の簡易倉庫が置かれている。ま、ざっとこんなもんだね」

「家の中の作りまでわかるんですか?」

「まぁね。必要事項であれば、さっきの手帳に載ってる」

 乃子さんは家の中を窓から覗くようにつま先立ちになったりしながら一歩一歩と進んでいく。

「そんな動いて大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫大丈夫。見つかる心配は無いし」

 そこまで乃子さんが言ったところで家の裏側。つまり庭へと到着した。

「ここに津池さんはピョーンと飛び降りた訳ね?」

「えぇ、そうで……」

 そこまで言ったところで私の口は思わず塞がってしまった。

「……なんですかこれ」

「ま、見ての通りだ。これで見つかる心配が無い理由がわかったでしょ?」

 乃子さんが一歩一歩と進んでいく。

「ここの家の間取りはさっき言ったとおりな訳。二階には夫婦部屋と子供部屋が二部屋」

 乃子さんがくるっと振り向き私の方を見る。

「それじゃあここにあるのは?」

「……」

 じわっ。と嫌な汗が私の頬を伝っていくのがあった。

 なぜならそこに見えたのは、枯れた花がたむけられた墓石が『四つ』並んでいる光景だったからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ