少女の記憶
もうどれくらいの時間落ち続けているのだろうか。
永遠とも思える落下時間。どこまでも行っても代わり映えのない真っ暗な空間。
落ち始めのうちは上から差し込む光が少しずつ減っていくことにより、どれくらい落ちているということがわかっていたのだが、その光さえも届かなくなってしまった今。自分がどこにいるのかということさえもわからなくなってしまったのだ。
今、真っ直ぐに落ちているのか、回転しながら落ちているのどうかかもわからない。
どちらが上でどちらが下か……というのは風圧で制服のスカートがめくれていないあたり、頭の方から落ちているんだろうなぁ。というのなんとなくはわかるけど。
まぁ、いいや。いつかはきっと元いた場所につくんだろうし。そう考えた私は再び落ち続ける。
それからまたどれくらいたっただろうか。やがて手に力が入らなくなり道具が手から離れていった。しかし道具は私と同じ速さで落下しているようで私の視界の真横を落ちていく。その光景を見てガリレオの言ったことは本当だったんだ。と変な感心を覚えた。
私はひたすらに落ち続ける。
ガリレオのことに感心を覚えてからまたどれくらい経っただろうか。
私の中にひとつの感情が芽生えた。
怖い。
私は今恐怖につつまれている。
先ほどまで何かに感心をもつ余裕があったはずの私はいつの間にか、自分の中の恐怖に押しつぶされそうになっていた。
本当にこの穴から元いた場所に戻れるのか。あの門番は本当のことを言っていたのか。もしかして私は永遠に落ち続けるのではなかろうか。
頭の方から、体中に風圧が押し寄せ抜けていく。
考えることをやめた私は、きっとつくであろうこの世を目指しひたすらに落ち続けた。




