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秘密基地で遊ぼう  作者: まる
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謁見の間

謁見の間




====================


謁見の間って、大きさも場所もまちまちだけど、沢山あったのかな?


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サノの町へ攫われた女子供を連れ戻ると、イーウの町の様に大騒ぎとなった。

昨晩の衛兵の顔色は真っ青だったが、この際放置しておく事にする。


自警団の詰所で事情を説明し、奴隷落ちの報奨金を受け取る。




さてと先延ばしにしていたグルナート商会へ行こうか行くまいかの悩みに、良いアイデアが浮かんだのでそちらを優先する事にする。


王都に住み着く悪徳商会の蝦蟇※とやらの顔を拝みに行ってみようと考えたのだ。


※プライバシーの配慮から、音声と表記を変更してお届けしております。


悪徳商会の蝦蟇とは、元サウス市市長で、国王の兄であるブルートシュタインにサウス市市長を譲る代わりに、王都での出店や国王指定商人などの特権を得た人物との事だ。


流石は国王指定商人、王都の一等地にデデーンと大きな店を構え、色々な事を手広くやる総合商社みたいな事をやっている上に、あちこちの町に支店を持っている。




「(じゃあ、ちょっとお邪魔しましょうかね)」


【隠密】で、まぁ一応証拠でもと軽ーく探すと、手広くやっているからか、非常にマメに帳簿を付けており、裏取引とか二重帳簿が出るわ出るわ、もう真っ黒を通り越して正に闇の状態である。


どうやら市長に返り咲くための資金源として魔薬を製造密売していた上に、人攫いは国の要職を手なずけるために使っているようだ。


「全部の黒幕はこいつか? そんなに市長がいいのかね・・」


マメなのが災いしてか、サウス市市長時代の悪事の数々の証拠も出てくる。


「はぁー、素人の俺でさえわかる位の悪事って・・。さぁ、どうするか」

「どうするもこうするも、死んでもらうだけだが?」


扉が開くと、蝦蟇と私兵が雪崩れ込んでくる。


【探知】の魔法陣で状況は分かっており、既に戦闘モード魔法は準備済みである。


「こっちは顔を見に来ただけだったんだけど、まあいいか」


途中から【隠密】を解除してある辺り、はなからそのつもりだったのだろう。


「これだけの兵に囲まれれて、気でもふれたか?」


ニタリニタリした蝦蟇の気味の悪い笑顔が、驚きで凍りつくのに左程時間は掛からなかった。


全員を縛り上げ、証拠品を纏め、私財を略奪した後、衛兵の詰所へと突きだす。

私兵に関しては、雇われのため犯罪性が認められず、蝦蟇の報奨金だけとなる。


「これで一安心。心置きなくノーウの町へ行けるというモノだ」






人身売買の件は片付き、ヤーデとの強制イベント用の対応準備が完了すると、安心してグルナート商会へと足を運ぶ。


何時もの様に、何時ものコラレに声を掛けると、別の店員が走って何処かへ行く。


「今のは何だ?」

「ただお使いですね。素材を確認しましょう」


あまりのタイミングの良さに訝しむが、まあいいかと誤魔化されておく。



素材の確認中グルナートがやって来て、そのまま拉致られ町長の元へ。

コラレが手を振っているのを見て、お使いってやっぱりこういう事かと納得する。




ヤーデの執務室にそのまま連行されると、挨拶も無くいきなり本題に入る。


「先日の行方不明の調査だが、ノース地方でかなりの人数となった」

「悪いが、手伝わん」


思わずニヤニヤしてしまいそうになるのを、鋼の意思でポーカーフェイスを装う。


「何も言っていないが、一応理由を聞こう。何故だね?」

「片付いたからな」

「「・・はぁ!?」」


グルナートとヤーデの驚きの声が重なる。


「王都の悪徳商会の蝦蟇って知っているか?」

「元サウス市市長という鳴り物入りで、国王指定商会になった人物の事ですか?」


さすがグルナート商会の会長、商人同士の情報は誰よりも詳しい。


「そうそう、その蝦蟇だ」

「そいつがどうかしたのか? まさか・・」


話の流れから悪徳商会の蝦蟇と、人身売買がを一瞬で結び付けるあたり流石町長だろう。


「魔薬組織に人身売買、その他悪事の数々の証拠を付けて、王都の衛兵に突き出した」

「「・・・」」


詳細な説明を求められ、サノの町での人攫いからの経緯から説明する。


「いやはや何と言いますか・・」

「うむ、何にせよ無事解決したという事か」

「今までの麻薬犯罪や人攫いの全部が、蝦蟇とは限らないからな」


悪徳商会の蝦蟇が、全ての悪事の黒幕の筈は無く忠告しておく。






ザルトーニュクスは、その後普通の生活を続けるが、ヤーデは町長という立場上、おかしなことに気付く。

グルナートも商業ギルドなどの伝手から、おかしなことに気付き始めていた。


悪徳商会の蝦蟇のニュースが一切入ってこないという異常さに。






蝦蟇の身柄は、スマラクト騎士団長が抑えていた。


「分かっていると思うが・・」

「無論で。この恨みは必ず晴らさせてもらう」

「そういう意味では無いのだが」


諌めるつもりの忠告に、まったく聞く耳を持たない。


さすがにこのままではと考え、近日中に情報が漏れだす事を考慮し、ブルートシュタインと一緒に一気に騎士団を動かす。

そのまま王宮を完全に制圧し、現国王一派は地下牢へと捕えられる。


蝦蟇に手なずけられている要職にある者は、事前に伝えられ王宮から脱出していた。

ブルートシュタインとスマラクト一派による、電光石火のクーデタ勃発である。


瞬く間にその情報は全土を駆け巡る。


建前上は現国王が病により執務をブルートシュタインが代行、折を見て国王に戴冠するというものである。




そんな混乱に感心を示さず、日々の生活を過ごすザルトーニュクスについて、新国王側は監視対象に留めている中、蝦蟇は暴走し自分の持てる全兵力で抹殺に向かう。




ノーウの町に着いてから、自分に付かず離れずの者たちが居る事をザルトーニュクスは気付いていた。

グルナート商会へ顔を出し、そのまま町を出ていと囲む様に蝦蟇と手下が現れる。


「随分と早く出て来たんだな」

「黙れ! 貴様のせいでどれだけの損害を出したか!」

「自業自得じゃないか」

「黙れと言っているだろうが! クックックック・・、なぶり殺しにしてやる」


ザルトーニュクスはグルッと周りを見渡すと、蝦蟇に確認する。


「お前のバックは新国王で良いんだな?」

「グフグフ、その通り。貴様に未来は無い。

出来るだけ苦しんで・・死ね!」

「分かった、その一言で十分だ」

「うん? 気でも振れたか?」

「闇に落ちたる水の精霊よ、血を腐らせたる霧を【紅霧】」


訝しむ蝦蟇に、右手を伸ばし、手首から先を地面に向ける。

中指から血の様な何かが滴り、地面へと落ちる。

滴りは地面に吸われる事無く、滴る量より遥かに大きな地溜りとなる。


その場の全員が異様な光景に驚き怪しんでいると、バタバタと一人また一人と蝦蟇の配下が倒れ、全員もがき苦しみ始める。


気が付けば周りには赤い霧か靄の様な物が漂っていた。



【紅霧】は単に呼吸器系を麻痺させるだけである。毒の強度が調整が可能で、生かすも殺すも出来る。



「なっ!? 馬鹿な、これは一体・・」

「お前は何も学ばなかったと言う訳だ」

「ひっ! 来るな寄るな・・かはぁ、い、息が」

「たっぷり苦しんで、死んでくれ」

「ま、待って・・」


蝦蟇の助けを求め、伸ばす手を無視する。

一人一人助けを求める者と目を合わせて、冷笑を浮かべ絶望を植え付けてから町へ。




衛兵に襲われた事を告げ一緒に向かう。

苦しむがまたち一行の状況を問われると、やむなく毒を使った事、一日もすれば毒は抜ける事を伝えてその場を去る。


報告を受けたヤーデ町長は直ぐに市や他の町への応援を依頼し、衛兵はあまりの人数に驚くも、自警団総出で監視する。


ヤーデは例え新国王の手の者であると騒ぎ立てても狂言と判断し、あくまでも民間人を集団で襲った犯罪集団として確実に捕えておく。






その頃ザルトーニュクスは、腕を組み王宮を上空から見下ろしていた。


「さあ、俺に手を出した事をきっちり後悔して貰おうか。新国王陛下」


ニヤーと悪党顔負けの悪い笑顔で呟くと降り始める。




謁見の間へと続く扉で【隠密】を解除すると、自らの手で押し開く。


中に居たブルートシュタイン新国王陛下と、スマラクト騎士団長、居並ぶ騎士たちは驚いてこちらを見る。


全員を端から眺めながら、後ろ手で扉を閉める。


「待たせたか?」

「いや・・」

「ふむ、私兵とはいえかなりの手勢があったはずだが?」


ザルトーニュクスの一言に、ブルートシュタインとスマラクトが返す。


「わしが相手をするしかないかな」

「一対一で良いのか?」

「わしが勝てなくて、他の者たちが勝てるとは思わん」


戦闘モード魔法で固めたザルトーニュクスに踏み込み、数合切り結ぶと目を細める。


「なる程、スキル持ちか。

しかも斬撃・・、いや物理防御のレアスキル。敵わぬわけだ」

「へぇー、博識だ」


剣を鞘に収めると、一気に間を詰め、左手をザルトーニュクスに当てる。


「ん!?」


訝しむザルトーニュクスに、左手の上から右手を打ちつける。


「ぐぅ」


ザルトーニュクスの体が崩れ、顔が歪む。

騎士団長は、直ぐに抜刀し気を込め切りつける。


「っ!?」


左肩から右腹まで薄く切り裂かれ、鮮血が舞う。


「スキル持ちはお主だけでは無い。

闘気術は、練り上げた気を直接体に打ち込んだり、刃に纏わせることが出来る。

物理防御のスキルでは防げぬ」

「なる程・・」


ザルトーニュクスは右手で傷口を触り、手に付いた血を見て自虐気味にほほ笑む。

スマラクトはブルートシュタインを誘って謁見の間を出る。

そして去り際に絶望の言葉を告げる。


「勿論、我配下にも教えてある。

お前たち、良い練習台だ。やってみよ」


騎士たちは剣を納め、ザルトーニュクスを囲む。


「流石は騎士団長だけの事はあるね」


目で二人のが居なくなるまで追いかける。


「じゃあ、久しぶりに、こちらの世界では初めてか。

悪いけど全力でいかせてもらうよ」


にこやかなザルトーニュクスに、怪訝な表情を浮かべる騎士たち。


「【結界】起動。三重【拡張】起動」


ザルトーニュクスの足元に魔法陣が描かれ、更に広がっていく。

魔法陣の広がりに合わせ、見えない壁に押し戻される騎士たち。


「天に秘められたる破壊の力、地に封じられたる破壊の力、

わが名を鍵として、全ての敵を殲滅せよ【天地皇爆】」


ザルトーニュクスを中心に、大いなる破壊がもたらされる。






自分たちが元来た方向からの、轟音と激震、城のあちこちに出来る亀裂。

来た通路を振り返ると、先の方が無くなっている。


「一体何が? 戻るぞ」

「危険で・・、ぬぅ」


止める間もなく走り出す新国王に騎士団長が追いすがる。


謁見の間を中心として、城が破壊し尽くされている。


「「これは・・」」

「随分と早いお帰りだな、お二人さん」


二人を見下ろす様に宙に浮かびながら、傷を抑えるザルトーニュクスに驚く二人。


「宙に浮かぶ? 足場があるのか?」

「これはお主の仕業か? どうやって?」


スマラクトの質問澄ました顔で返す。


「さぁ? わざわざ敵に秘密をばらす馬鹿が何処に居る?」


そう言いながらも、二人に聞こえる様に詠唱する。


「土の弾よ【礫弾】」


二人を外す様に、石の礫が放たれる。


「「なっ!?」」

「全てを溶かす滴よ【酸弾】」


続けて水滴を放たれるが、ワザと二人の周囲に着弾する。

そして当たった所がジュゥと音を立てて溶ける姿に呆然とする。


「風の刃よ【風刃】」


二人の周囲が、見えない刃で切り裂かれる。


「炎の玉よ【火球】」


二人の傍を通り抜け、背後で燃え上がる炎。


もはや二人は魔法を追い掛ける事はせず、ただただザルトーニュクスを見ていた。


答えが得られるか分からないにも関わらず、ブルートシュタイン新国王は敢えて問う。


「この力は一体?」

「魔法。あんたちも良く知っているスキルみたいなもんだ」

「そんなスキル聞いた事が無いぞ!」


スマラクトが大声で割り込んでくる。


「自分の不勉強を俺に当たるな。

もしかすれば最上級のダンジョンボスが持ってるかも・・ね」

「・・・・・」


自分ですら成し得なかった最上級ダンジョンの攻略、スマラクトはあり得ないと思う。

しかし目の前の魔法とか言うスキルを見ている以上、その可能性は捨てきれない。


「やはりなんとしても我配下にすべきであったか・・」


真実は分からないが、どちらにせよ敵わない相手だった事を知る。


「理解したか?」

「ああ、十分にな。我らの負けだ」


どの様な手立てであっても、勝つ事は出来ないだろう。

またブルートシュタインの命を守りながらの逃走も難しい。


その場に居る2人は、その事を十分に理解する。






前国王とクーデタに組しなかった者たちは、幸いな事に事態が落ち着いてから秘密裏に処刑をする予定ために城の地下牢で生かされていた。


「やれやれ、面倒だ」と思いながらも、旧国王一派を牢から救いだし、クーデタの首謀者二人を代わりに牢へ入れる。


国王は主だった者たちに状況を伝え国の混乱の収拾と、反乱分子の狩り出しを命じる。


市長や町長たちの努力と働きの甲斐もあって、地方での混乱は限りなく少なかった。






ザルトーニュクスは混乱に乗じて、国庫と宝物庫を空にして姿を消していた。


「ブルートシュタインは悪人だったから、持ち物奪っても良いよな」


誰も聞く者が居ないところで、あえて小声でで呟いて自己弁護しておく。





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