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とある昼下がりのとある日常

マリオン=ミカムラは店長である。本人は20歳を超えて渋みを増した大人の男・・・のつもりでいる。

「チャーリーそれはどうなんだろう。せめて5-5だろう?」

「はっはーおもしろいじょーだんすねー。8-2っス。ゆずれません」

・・・威厳はまだ無い。

 本来渋さというのは多くの人生経験を得て初めて出てくるものである。が、本人は大人のつもりでもいまだココでは「お坊ちゃん」であった。周りの者も皆そう思ってはいるのだがそこはあえて誰も言わない。本人の望みとは違い彼の評価は「愛され系」店長であった。


 「俺、そろそろ引退するわ。これからは好きなことして暮らす。

                あ、仕送りは所定の所に送ってね。」


そういって先代店長が引退したのが一年前。あんた自重したとこ無かったろうがと大いに突っ込んだが結局そのまま息子であるマリオンに引き継がれた。

 手伝いくらいはしたことがあってもそれで経営は成り立たない。慌てて帳簿、経理の勉強、お得意先、仕入先の確認、現在の経営状況と居酒屋経営の担当作業の訓練などなど必死に勉強して今に至る。

 基本的な業務に関しては問題なく出来るようにはなった。・・・と、本人は思っている。

 まあ実際のところ「大人ぶってる子供」という評価だったりする。

 そんな調子なのでいまだ彼の呼び方が定まっていない。「店長」「マスター」「親方」「若」「二代目」などなど・・・。どれもしっくりこないともっぱらだ。

 「いいかい?ボォ~ン?

 あの時空き缶置いて誰か金入れんじゃねーかって思ったのは俺の機転だぜ?ボンはその時何してたの?我関せずでな~んも考えてなかったんじゃね?それじゃだめなんだな分かるかな?ボォ~ン」

「ぐ・・・ぬ・・・いや・・・俺だって色々考えて・・・

 いや!そもそもあの店の一角を丸々与えてた段階で場所代くらいはいるだろう!その段階でで4-6じゃねーか!」

「ざーんねーんーでーしーたー

   あそこはいつもあいつらの特等席でした。むしろ他のメンバーをあっちに誘導しなかった段階で損がでることは確定してまーす。はい!ボンのまーけー。」

 チャーリーという男はゆるい金髪に派手なアクセサリーを好んで付けている、まだやんちゃ盛りの優男といった風貌だが、実際のところは「小狸亭」創立からずっとといる古株であり、ほとんどの従業員は彼に鍛えられている。見掛けが若いのは彼がハーフエルフだからというだけなのだ。とはいえ、チャーリーは普段はマリオンを立てて彼を店長と呼んでいる。しかし今は酒場の先輩として大いに「後輩」をからかって遊んでいる。マリオンも心がけているポーズは失せ、地が出ている。いつもは付けている「威厳のある店長風の」付け髭も無い。これが「自然な」二人の関係だった。

「あはー たのしそうやねー♪」

「フム、あれは一方的におもちゃにされている。という状況ではないかな?」

「ちゃうねんて♪あれはじゃれおーてるよーなもんやねんて♪」


 チャーリーと店長のささやかなじゃれ合いを他所にジニーは大好きな紅茶を楽しみ、傍らではコックのロブソンも趣味だとかいう「ショーギ」の研究にいそしみながら雑談に興じている。

 冒険者の宿というのは迷宮の突入時間の関係から早朝出立、前日出立というのが当たり前で昼最中の客というのは意外に少ない。特に昼飯を過ぎた頃には人もまばらな時間帯がある。そこを見計らって店員たちは短いながらも休養が取れる。

 ジニーのもっとも大好きな時間だ。

 うん、今日の茶葉は当たりだ。今日はついている。

 今日は天気もいいし気温も暖かくなり過ごしやすい時期・・・

 そろそろ「お昼のサービスタイム」で外にテーブルも出せる時期に入るだろうか・・・。

 今日も迷宮に挑んでいる連中は血まみれ汗まみれの修羅場が広がってるんだろうがこっちの知ったこっちゃ無い。

 横丁は今日もこともなし・・・

 実に平和だ。


  ・・・だというのに何故こいつはこんなところでうっとおしい空気を放っているのだろう?

 困るなー注文しないなら部屋に帰ってくんないか

                       ・・・あ・・・目が合ってしまった・・・。

            うわーやだなー聞いて欲しそうにこっち見てるよー


       ・・・まあしょうがないか・・・話でも聞いてやるとしとう・・・

マダナレマセン・・・

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