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自主退裏話

「―まず、騎士学校の魔法科の生徒であるアナタが一体いつあの子と知り合ったかお聞きしても?」


アティアは特別枠で入学した特待生である。基本的に学園生徒は“外部”人間とは接触不可能である事を考えれば、これは由々しき問題である。


「…そ、そこからっ!?」


シャルロットは驚愕も露わに椅子から立ち上がり叫ぶ。


「だって、一応アティアの身柄は侯爵家の預かりで、男女不純交遊なんかあったら大変なのだぞ?」


アティアを見つけた侯爵家が足長おじさんバリに支援をする予定だったのだが、入学から支援金を一度も引き出さないで生活していた。


もしかしたら忘れていたのかもしれないが…。


「そこは、教頭の悪事を話す場面でしょう?!なんで私とアティアの馴れ初めを話さなきゃならないのよっ!」



グラントは“どうどう”と言いながらシャルロットを座らせる。


「なんでと言われても、昼間にアティアに会えぬだろう?」


「…ガリガリガサガサでダシを取り忘れた鶏ガラみたいなアティア君が女子であると理解してる者も珍しいですから」


「そこまで言うの!?一体アンタは彼女に何の恨みがあるってのよ」


顔は綺麗だったのに女を感じさせなかったが、月の物に伴う腹痛でアティアが医務室に訪れていたのでグラントは知っている訳だ。


だが、流石に女生徒を医務室で休ませている間は自粛しなければならないのでグラントから“早退届”を無理矢理渡され追い返しされる事もしばしばあり、グラントと言う人間は生徒の味方とはなり得ないだらしのない大人なのだ。


「医務室を連れ込み宿と勘違いしているバカはほっときなさい」


「これは心外な、治癒魔法があると言うのに医務室なんて連れ込む以外になにがあると言うんですか」


確かに、授業中の怪我は生徒同士で治療してしまうので怪我で医務室を訪れる人間は重篤患者くらいと本当に限られている。

そもそも、グラントは宮廷医師の弟子の一人なのだが、素行の問題で宮廷医師から破門にされた。

それを知りながらも雇う事にしたのは、医者・回復術師としての技能がとんでもなく優秀な人材で性格を破綻をきたしている事を差し引いたとしても学園に欲しいと思う人材だったからに他ならない。


性に奔放で自己中心なこの男では自分を満足させる条件さえ提示するのであれば、魔族につながる裏の組織で闇医者ぐらいにはなっていたかも知れないが、シャルロットのような人物が友人と言う位には善良でもあり学園として手放すには惜しい人材ではあるのだ。


「エデル子爵家の使いから追い返された生徒がいると匿名のタレコミが事務室に来ているくらいだからな」


「あのボンボンは女の子と遊ぶ約束してるだけですから許可なんかだせませんね」「ウチの保健医はどの口でそれを言うのだろうね?」


「はは、アレなんか在学中に何人か孕ませてもおかしくありませんからね。下手しなくてもその内誰かに刺されるでしょ。そこが大人と子供の経験の差だとでも言わせてもらいますかね」

「とりあえずシャルロットはソファーにでも座ろうじゃないか」


友人ながらとんでもない奴だと思いながら、シャルロットはソファーに腰掛けた。


「それもそうね」


「うむ、では誰かに茶でも支度させそれから話をするとしようか」


さっきまでの剣幕はどこへやら疲れた表情でシャルロットは頷いた。


―チョロい奴めとグラントと学園長の二人はほくそ笑む。

学園長は50に近く、グラントは25才。未成年のシャルロットはまだ17才の少年で真っ直ぐな性格をしており、周りから曲者と言われる二人からすればまだまだ扱いやすい。

思いながら三人は穏やかに話し始める。


因みに、シャルロットが女装をしているのは、お忍びで街に出掛けるための変装しているだけであるはずだったが。


最近では王宮にいても女装している姿が見られるが誰もそれを指摘しようとはしない。

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