表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再召喚された勇者は一般人として生きていく?  作者: かたなかじ
召喚された四人の高校生は勇者として生きていく

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

332/421

第三百三十一話 

 修行を一通り終えた大輝、はるな、秋、冬子はアーディナル王国の城を出発していた。それは蒼太が城を発ってから短くない月日が流れていた。


 そんな彼らの旅には一人同行者が増えている。

「うーん、監視のない旅というのはいいですねえ」

 解放感あふれる笑顔の彼女はエリザベス=フォン=アーディナル。四人が召喚された国の第二王女であり、四人の召喚を執り行った本人だった。


「今でも疑問だけど、リズは本当に僕らに同行してよかったの?」

 大輝は手綱を握りながら馬車内にいるエリザベスこと愛称リズにこれまでにも何度か聞いた質問をする。


「もう、ダイキ様! 何度も言ったじゃありませんか。私には召喚した皆様をお手伝いするという役目があるのです!」

 そう断言するリズだったが、話しながらも外の風景に気を取られている彼女からは旅に出たかったという思いのほうが強いのでは? と感じさせされていた。


「だいくん、いいじゃない。リズちゃんだってずっとお城にいたんじゃ息が詰まっちゃうよ。少しくらいは外を見てまわるのも大事だと思うよ?」

 はるなはいつの間にかリズと仲良くなっており、当然のように彼女の肩を持つ。


「この先他国の偉い人と話す時に、リズがいるのはいいと思う」

 パーティバランスを考えた冬子の発言もリズの同行には好意的だった。


「ハルナ、トーコ!」

 リズは喜びのあまり二人に抱き着いていた。


「まあ、二人ともこう言ってることだしいいんじゃないかしら。それに今更よね」

 そんな三人を見ていた秋は視線を外へずらす。一行の馬車は城を旅立ってかなりの距離を移動していた。


「そう、なんだけどね。やっぱり城のお姫様が僕たちと一緒に来ていいのかなあって気になって」

 大輝は数日前に急遽四人についてくることとなったエリザベスの扱いに悩んでいた。一国のお姫様である彼女が魔物にいつ遭遇するかわからない危険と隣り合わせの外の世界へ旅立ち、最終的には魔王戦まで付き合わせてしまうことを気にしているようだった。


「ちゃんとお父様に許可をもらっていますし、大丈夫です! それに、トーコさんがおっしゃるように他国を訪れた際に王族の方と話をつけるためには、私の存在は必須かと思われます」

 自信満々に胸を張って言うリズ。その大きさははるなに負けず劣らずであるため、大輝は目のやり場に困ってしまう。


「そ、それはありがたいんだけど、僕たちはある程度身分を隠して旅をするわけだからリズには不便な旅になると思うよ?」

 彼らが勇者であることはアーディナル国の城の人間くらいしか知られておらず、あくまで普段は一冒険者として旅をすることになっていた。


 大輝はお城での暮らしのようにはいかないのが嫌でしょ? という意味を込めた発言だったが、対するリズの目は反対に輝いていた。

「それこそ望むところです! お城での暮らしだけでなく、そういう一般の方の暮らしを知ってこその王族というものではないですか!」

 彼女は将来王族としての務めを果たす際に国民の暮らしぶりを知らずに過ごすのが嫌だった。そんな真剣なリズの言葉には確かに一理あったため、大輝も反論できなくなる。


「はいはい、大輝の負けよ。私たちは助かるし、リズも自分からついていきたいと言っているんだから、お互いいいことばかりじゃない。大輝は一体何を反対しているのよ」

 秋はいつまでたってもグダグダと言っている大輝に呆れていた。


「いや、はい、その、ごめんなさい」

 色々言いたいことがあるものの、口ごもるしかない彼は実のところ、女ばかりの中に男である自分が一人いることをなんとかしたいと思っていた。仲間が増えるなら男がいいと思っていたのだが、一緒に召喚された蒼太は一足先に旅立ってしまい、新しく加わった仲間も女性ということにやや辟易しているだけだった。


 そんなことを口に出すわけにもいかないため、謝ることで話を終わりにした。

「最初からそう言えばいいのよ。今後この話は蒸し返さないようにね」

 ぐっと指をさされて秋に念押しされたため、仕方なく大輝は黙って馬車の操縦に戻った。


 彼は顔がよく運動もでき、頭も悪くないため、女子生徒から告白されることもよくあり、女性が苦手ということはなかった。むしろ彼女たち三人といつもいることで女性慣れしていると言ってもいいくらいだった。

 しかし、いつものメンバーの中にいるとなぜか弱い立場になってしまうのは大輝だった。


「でもあれだよね、うちらも騎士団の隊長さんたちと一緒に洞窟に行ったりはしたけど、自分たちだけでお城から出るのって初めてだからなんかわくわくするよね」

 そんな大輝をよそに、にこにこと笑顔を見せるはるなはリズに負けず劣らず嬉しそうだった。城にいるとどうしても勇者として見られ、それなりの言動を心掛けるように意識を張っていたはるなたちにとって、こうして誰も周りに縛られずに過ごせるのは久しぶりのことだからだろう。


 それは秋も冬子も同様だったが、彼女たちはあまり外には出さずに隠しているようだった。

「それで、うちらはどこに向かってるんだっけ?」

 そういえば、と言わんばかりにはるなは未だにリズに抱き着かれたまま質問する。


「全く、もうちょっと話を聞いていなさいよね。私たちが目指しているのは北にある冒険者の街トゥーラよ」

 呆れたようにそれに答えたのは秋だった。はるなや大輝、そして旅慣れないリズの世話役ポジションについてしまった彼女は気苦労が絶えない。


「その前にいくつかの小さな村があって、森も抜けなければならなかったはず」

 追加の情報を出したのは、リズの抱擁から抜け出した冬子だった。城から出発する前にあらかじめ予習しておいたのであろう。


「そっかー、じゃあ村で休憩をしながら進む感じだね。森とかも地球とは全然違う感じだろうから楽しみだねー」

 元々楽観的なはるなはその一つ一つが新鮮で楽しみだった。


「私も楽しみです! 大きな街以外に行ったことないので……」

 リズもはるなを開放してから、外に目を向けてまだ見ぬ未知の場所へと思いをはせているようだった。

 チラリと後ろを見るとリズが本当に嬉しそうな表情をしているため、もう何も言うまいと大輝も嘆息していた。


「村で休息をとったら、その森で魔物退治をしましょう。素材を剥ぎ取ればお金になるし、リズがどこまで戦えるかっていうのを確認しないとだからね」

 秋の言葉にリズはごくりと唾を飲んだ。彼女もただお姫様として蝶よ花よと育てられたわけではなく、武芸の訓練や魔法の訓練も積んでいる。しかし、対人戦の訓練経験はあっても対魔物の経験はないため、そこに不安があった。


「が、がんばります!」

 先ほどまでの楽しい気持ちはなりをひそめて、決意に満ちた強い目をしていた。言葉はやや震えているが、彼女のやる気は十分だった。


「少し肩の力を抜きなさい。何も一人で戦わせるわけじゃないし、私たちだって最初は似たようなものだったんだからね」

 そんな彼女に思うところがあった秋は緊張をほぐすようにリズの肩に手を置いて、軽くウインクをした。実際には彼女たちは初戦から上々の戦いぶりだったが、あえてそれをここで言う必要はなかった。


「は、はい!」

 彼女は元気よく返事をすると、優しい勇者四人の期待に応えなければと握り拳を作って決意を新たにした。


お読み頂きありがとうございます。

誤字脱字等の報告頂ける場合は、活動報告にお願いします。


ブクマ・評価ポイントありがとうございます。


再召喚された勇者は一般人として生きていく? エルフの国の水晶姫 1/21発売です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作投稿始めました。 五百年後に再召喚された勇者 ~一度世界を救ったから今度は俺の好きにさせてくれ~

本作「再召喚された勇者は一般人として生きていく?」コミカライズ連載中!

配信は電子コミックサービス「 LINEマンガ 」、漫画担当は濱﨑真代さんとなります。

コミカライズ2巻は8月7日発売です! i484554

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ