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再召喚された勇者は一般人として生きていく?  作者: かたなかじ
再召喚された勇者は一般人として生きていく?

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第三百二十三話

前回のあらすじを三行で


ディーナの裁定

首輪を外す

蒼太が後始末

「みんな離れていてくれ、あと離れたら衝撃を防げるように魔法障壁を張ってくれるか」

 それだけ言うと蒼太は塔を見つめたままその場を動かずにいる。

 理由はわからなかったが、蒼太が言うのであればとディーナたちは離れた場所へと移動していく。本郷たちも首を傾げながらもそれに続いた。

 蒼太はみんなが離れたことを確認すると、塔を改めて睨み付ける。

「さあ、一発派手にやるか」

 カバンから蒼太が取り出したのはローリーがヒュドラを倒すために使った魔導砲と同種のものであった。大きく違うのはそのサイズだった。



「おいおい、あいつ一体何をやる気だ!」

 慌てたようなその声は本郷のものだった。その武器がかもし出す異様な雰囲気に驚いていた。

「あれは……魔導砲の一種です。でも……」

 ディーナはそう呟く。しかし、蒼太が手にしているのはローリーが使ったものよりもはるかに大きく、それは大砲クラスの大きさだった。

『かっかっか、やはり蒼太は面白いのう!』

 イシュドラは楽しそうに眺めている。蒼太の規格外っぷりはいつも彼の予想をはるかに超えていくため、何をするのかと興味深そうだった。


「おい、一発でかいのを撃つからさっさと障壁を張れ!」

 蒼太はただ眺めているだけの面々にそう声をかけた。

「わ、わかりました!」

 わざわざ忠告するということに、これから起こることの危険性を感じ取ったディーナたちは慌てて障壁を張っていく。

 それを見た蒼太は、巨大魔導砲の弾となる宝石を取りだしていく。


「これだけあればいけるだろ」

 蒼太が用意した宝石の数は袋に入っていた。その数を全て数えきるにはしばらく時間がかかる。

「これをここに装填してっと」

 弾丸装填部に宝石をいれていく。

 通常の魔導砲であれば、この宝石の強さや種類によってだけ砲撃の威力が変わる。


 しかし、蒼太がアントガルたちと密かに作り上げた魔導大砲とも呼べるこれにはサイズ以外にもいくつかの改良が加わっている。

「よし、次に魔力の装填だ」

 これが一つ目、使用者が込める魔力によってその威力が変わる。もちろん蒼太ほどの魔力量であれば威力が高くなるのは当然のことだった。

「魔法陣発動」

 これが二つ目だった。魔導大砲の内部には魔法陣が組み込まれており、これを発動させることで威力を高める。今回はこの魔法陣が三つ組み込まれていた。



「あれ……やばくないか?」

 その様子を呆然と見ていた本郷がぽつりと呟く。

 ここにいる者の中で、蒼太に次ぐ実力を持っているであろう本郷が自然と漏らした言葉には説得力がある。

「危険ですね」

 ディーナがそれに答える形になるが、蒼太が使うあの魔導大砲がどれほどまでの威力になるかと緊張感に満ちた表情の彼女の頬には一筋の汗がつたっている。


『悠長に話している場合ではないのう! お前たちもっと距離をとるんだのう!』

 魔導大砲の大きさ、込められた魔力と魔法陣の規模からここにいるメンバー全員で障壁を張ったとしても危ないと判断したイシュドラの必死の呼びかけに全員がはっとなって走り出す。蒼太がなすことの結果を見届けたい、そんな気持ちはどこかに消えさっていた。

 殿をイシュドラとブラオードが務め、魔法障壁を張っている。

『お前たちの大将はやることが規格外すぎるであろう!』

 ブラオードが必死の形相で声をあげる。それに対して本郷、ナルルース、フレアフル、ブルグ、ボーガは焦ったように頷いていた。

 しかし、ディーナたちの反応は反対だった。


「うーん、ソータさんですし」

「うんうん、ソータさんだからねえ」

『ソータ殿だから仕方がない』

『かっかっか、これだからあやつの仲間はやめられないのう!』

 蒼太だから、と納得しきっているその反応に本郷たちは口をぽかんとあけることになる。


「あいつらも離れたみたいだな……第二、第三魔法陣発動」

 蒼太の魔力、蒼太が魔力を込めた宝石、蒼太が設計した魔法陣。これらが交わり、魔導大砲に過剰ともいえる負荷をかけていく。

「これで、こんなバカみたいなものぶっ壊してやる」

 この塔の中は広大な空間があり、それだけでも利用価値がある。しかし、この塔の最も希少性のある点は飛行機能があるということだった。こんなものを作れるのは、蒼太や本郷などの転移もしくは転生したものだけであろうと思われる。

「この世界の科学が進んでできたんだったら歓迎だったんだがな……」


 これが誰かの手に渡った時のことを考えて、事が全て済んだのちに蒼太は塔ごと破壊すると決めていた。

「いくぞ……発射!」

 砲身の先端に魔法陣が三つ浮き上がり、その周囲に宝石が円を描いている。その中心から、増強されたすさまじいまでの魔力が一気に放たれた。

 あまりの威力に砲身が悲鳴を上げ始める。砲身の近くにいる蒼太もその魔力による風圧で髪や服がたなびいていた。

「まだ、まだだ。まだもってくれよ!」

 目的を果たす前に壊れてしまっては困ると、蒼太は砲身自体に魔力を流して強化していく。


 こうなることも想定して砲身は魔力適応の高い金属で作られていた。

「いけいけ!」

 蒼太は砲身と、弾としての二種類の魔力をどんどん流していく。

 それを一身に受けている塔はというと、こちらも魔法耐性を高くして作られているため、最初は何もなく耐えていたが、すぐにミシミシと音を立て始める。


 塔の壁に一度ヒビが入り始めると、そこからどんどん亀裂が広がっていった。

「上まで届け!!」

 蒼太は砲身を持ち上げ徐々に上にずらしていく。中央の大きな亀裂が塔の天辺まで到達すると、細かな亀裂がどんどん派生していった。

「これで、とどめだ!」

 蒼太は砲身が耐えているうちに、今までのものより強力な魔力を込めた。


 それが止めの一発となり、亀裂が入っていた塔を見事破壊することに成功する。蒼太は踏ん張っていた足の力を徐々に抜いて、後方へとジャンプする。砲撃の反動もあってかなりの距離を飛ぶことになった。

 これは蒼太が考えていた作戦で、崩壊した塔の破片が落ちてくる前に距離をとる方法だった。

 唯一予定外だったのは、思っていた以上に魔導大砲の発動に魔力を使ってしまったので身体から力が抜けてしまい、綺麗な着地をすることなく、地面に衝突するとゴロゴロと転がっていったことだった。

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配信は電子コミックサービス「 LINEマンガ 」、漫画担当は濱﨑真代さんとなります。

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