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地獄

 私の名は悪田権兵衛。

 昔は名のある剣士。年を経て欲が湧き不正を行い、それを暴こうとした親友を斬り、脱藩した。

 今、その友の子と命のやり取りをしている。

 意志の強い目。整った鼻梁。立派に育ったものだ。

 未熟だが、才能を感じさせる太刀筋。

 まっすぐだった頃の自分に糾弾されているようで。

 眩しい何かに、後悔が手を鈍らせる。

 一瞬の隙に私は斬られ、地に倒れた。

「カット、もう一度!」

「クソ、何度目だよ」

 若者が舌打ちした。


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