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自己紹介はグダグダと。

「私君たちのこと何一つ知らないよ。

たくさん聞きたいことはあるけれど、

まず君たちは何なの?“守る者”ってなに?」


「なんだ、“守る者”っていうことは分かってるじゃん。

僕たちは“守る者”であって、

それ以外でもそれ以前でもない。

そうだよね、キリ。」

「あぁ・・・。」


むぅ。マコト君が意外と大人っぽいことを言うので少し驚いた。

見た目は小学校三、四年生くらいなのに。

精神年齢が高いのかな。


「えっと、もっと詳しいことが聞きたいの。」

「例えば?」

マコト君がにやにやしながら聞いてくるから気味が悪い。


「例えば・・・、そうだな、キリさんのその尻尾と耳は何?

カレンさんはどこに行ったの?

偵察って言ってたけど、何のこと?

っていうか、いつから私は守られていたの?

守られてるって言うけれど、あぁー、もう!よく分からない!

なんなんだぁ一体・・・。」


聞きたいことがありすぎて語尾がうやむやになってしまった。

無念。


「んー、とりあえず、答えられる所だけ答えると・・・。

キリの尻尾と耳は僕たちが生まれたときに与えられた

使命を全うする為の道具であって、

まぁ、本質的なところは動物と変わらないよ。


人の何倍も耳が良くて、鼻も良い。

尻尾がついているからバランス感覚だって良いんだ。

で、カレンは今さっきまで

僕たちが行っていたところに行っている。

代わりばんこで敵を観察しに行ってるんだよ。

いつから君が守られているのかというと、」

あ、もう無理。


「ちょ、ちょっと待って!えーとえーと、聞きたいことが倍になった!

君たちの生まれたときに与えられた使命ってなに?

敵って何?何っていうか誰?

なんのために観察しているの?」

頭がパンクしそうな弾みで話してくれている

途中に口を挟んでしまった。


「んー、だからね・・・。あー、えっと、

使命についてはカレンが帰ってきて、

三人揃ったらしっかり説明するね。

何の為に観察しているかというと・・・。

ま、それもカレンが帰ってきてからだね。いいでしょ?」

マコト君が少し寂しげな笑顔で首を傾げてきた。


「はーい・・・。」

結局聞けたのはキリさんの尻尾と耳のことだけじゃないか。

それになんだかマコト君に私が諭されたようになっていて

納得いかない。


「あ、ちなみに言っとくと、

僕たちはそらの何倍も歳を取っているから。」

あ、心の声がバレていたようです。

「えーと、具体的には何歳なの?」

「僕は今年で七百二十四歳。キリは何歳だっけ?」

「俺は七百二十二歳だ。」

へぇ、七百二十二歳ね。

とてもそんな風には見えないし、

それよりキリさんよりマコト君の方が年上だったんだ・・・。


「えーと、なんでそんな長生きしているんですか?」

「あ、いきなり敬語になった。

普通でいいよ、普通で。

なんでだろうね、死なないから、生きて行くしかないじゃん。

そしたらこんなになっちゃったよ。」

サラッとそんなことを言うマコト君。


でも、死なないってことは・・・。

不老不死ってこと?

んー、よくわかんないねぇ。


「ていうかさ、」

「はい?」

マコト君から話しかけてきた。

ちょっとびっくり。

「僕たちがご長寿さんってことに驚かないんだね。

初めてだよ、そんな人。ね、キリ。」

「あぁ・・・。そうだな。

確かにそらは驚かなかった。珍しいな。」


あー、確かに。驚いていない自分に驚く。

なんで驚かなかったんだろう。

「あ、そうだ。ちょっと気になることがあるんですけど。」

「なんだ?」

「なになに?」

二人してこっちを見てくる。・・・なんか照れる。


「いや、ほら、さっき会ったばっかりのときに、

俺たちはまだ若いからってキリさん

言ってたじゃないですか。

もしかしてカレンさんってもっとご長寿さん何ですか?」


「ああ。軽く四桁はいってたかな?」

「うん。確か今年で千百二歳じゃなかったっけ。」

「せ、千百二歳・・・。」

ケタが違う。

もうなんだかよくわからなくなってきた。


「そうだ!」

な、なになに何事?

マコト君がいきなり笑顔でこっちを向いた。

「いや、君のことをなんて呼んだら良いかなって!」

そんなことですか・・・。

「あー、なんでも良いですよ。

私って分かる名前であれば。変なあだ名は勘弁ですけど。

それにマコト君、さっき私のことそらって

普通に呼んでましたけど。」


「うーん。キリはそらって呼んでたよね。」

はい、スルーです。

「あ、いや、すまない。嫌だったら取り消すぞ。」

「いやいやいや、全然嫌じゃないですよ。そら大歓迎です。」

むしろ呼んで下さい。

「なら、よかった。」

ぎゃー、キリさんかーわいー。


「じゃあ僕はそら姉ってよぼうかな」

「そら姉?なんで姉がつくんですか?」

「え?いやだってほら、

最初僕のことを年下だと思ってた訳だし?」

「すいませんね・・・。

だって見た目が小学生だったから・・・。」

なんかその呼び名皮肉がこもっているようにしか

聞こえないんですけど。


「ま、いいじゃんいいじゃん。よろしく、そら姉!」

「あー、よろしくです。」

「敬語はダメー。」

「わかりましたよ。よろしく、マコト君。それにキリさん。」



なんだかんだいって楽しい自己紹介だった。


けど、あれぇ?

やっぱり肝心なことは聞けてないよなぁ。

カレンさんが帰ってきたらたくさん聞かなきゃ。

カレンさん、早く帰ってきて下さいなー。


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