とある異世界の給食の時間
『キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン」
「ふぅ、ようやく給食か」
僕は、最近できた学校に通っている一年生。
名前はソルト。
「はぁー、やっと給食かぁ、一時間目が実技の魔術基礎だったから魔力が空っぽなんだし、二時間目も実技の剣術で体力へとへとだし、しかもその後二時間続けて聞いてるだけの座学って、終わってんだろ、なぁソルト」
この子は同じ班の、ヘリスギ君っていう名前で、いつもは、やんちゃでうるさいが、優しい人である。
僕は一度家から離れた森で魔獣に襲われた時があった。
その時助けてくれたのが、ヘリスギ君である。
「そうだね、ヘリスギ君。たしか、今日の給食は、カレーっていう名前の料理が献立表に書いてあったよ」
「かれー?何だそれ、ソルトは食べたことあんのか?」
「いや、僕もないよ、できるならしょっぱい味がいいなー」
「ソルトは、しょっぱいもんが好きだよなー」
「何話してるのー」
「あっ、ヘルスちゃん」
「!!!」
この女の子も同じ班で、ヘルスちゃんっていう名前。
とっても元気な子だ。
ヘリスギ君の幼馴染でちっちゃい時から一緒にいるみたい。
そして多分、ヘリスギ君は、ヘルスちゃんのことが好きだ。
「今日の献立のことを話してたんだよ」
「そ、そうだ」
「へー、ちなみに何が出るの?」
「カレーっていう料理が出るみたい」
「へ、ヘルスは、た、食べたこと……、あるかっ?」
「食べたことなーい、聞いたこともなかった」
「そ、そうか」
ふふっ、ヘリスギ君の顔が赤いや。
「ちょっと、あなたたち、今日は私達が配膳する係でしょ」
「あっ、そうだったごめん、シュカちゃん」
「べ、べつにいいわよ、ソルト君は……。二人は別として」
「なんでだよ」
「なんでー」
そして同じ班の最後の一人が、シュカちゃんっていう女の子だ。
いつも本を読んでて大人しい子だ。
でも、僕も本が好きだからいつも一緒に、本の話をする。
本の話をしているときのシュカちゃんはとても楽しそうで、その時の笑顔がとってもきれいだ。
「っていうか、本当に早くしないと、先生に怒られちゃうよ」
「そうだね、早く配膳室に行こう」
‐‐‐
「失礼します、一年二組の2班ソルトと」
「ヘリスギと」
「ヘルスと」
「シュカです」
「給食を取りに来ました」
「はいよくできました。献立は見てくれたかな、今日は校長先生が考えてくださった、主食のカレーとデザートのプリンです」
この人は給食のおばちゃん、どこか温かくて、親しみやすい人だ
「じゃあ早速、男の子には、重い方のカレーのルーとご飯。女の子には、軽い方のプリンとミルクを持っていてもらおうかな」
「はいわかりました」
「俺は、これだな」
「私はこれ」
「私はーこれかなっ」
「よしっ、こぼさないように慎重にクラスへ持っていこう」
「そうだなっ、前の班がこぼしてて大変だったみたいだしな。それにしてもいい匂いだな」
「そうだね、なんかスパイシーって感じの匂いがする」
「スパイシーってことはしょっぱい!?」
「ま、まぁ、似たようなもんではあるんじゃないか」
「そうか、早く食べたなー」
「ふふっ、ソルトくんは本当にしょっぱいのが好きなんだね」
「うん、やっぱりいいんだよなー。あっ、そろそろ教室に着くね、入ったらはやくよそっちゃおうね」
「おう」
「苦手なんだよー」
「ソルトくん、家事はまかせてね」
‐‐‐
「もってきたよー」
「おー」
「はやくはやくっ」
「んっ、めっちゃいい匂い」
「あーやべ、腹減りすぎて○ぬわ」
「も、もう無理だ我慢ができん」
「わたしは、お腹なんて空いてないんだからねっ」
「領域展開 昼飯の流儀」
「かれーってどんな味なのかな〜」
「まだかよー」
「ぬん」
『ぐーっ』
「もうお腹の音がとまらねーよ」
「よしっできたっ!みんなー、全員分できたから一人ずつ持っていってー」
「わー、いい匂いで美味しそう」
「なんか、茶色くて、う○こみてーじゃねーか」
「…お前まじで、○ね」
「なんだ、この黄色いの」
「ぷりんっていうデザートらしいよ」
「みんな、準備はできましたか?では、黙想………」
「おいっ、お前、目ぇあけるなよー」
「お前こそ開けてるじゃねーか」
「男子、うるさい」
「………」
「やめ、手を合わせて、いただきます」
「「「いただきます」」」
「おお、うめー」
「なんだこれ、すぱいしーで、うめー」
「やばい、ご飯がめっちゃ進む、うめー」
「男子、もう少し静かな声で感想言え。………おいしー」
「これもう、飲み物じゃねーか」
「俺、もうなくなったんだが……」
「あっ、まだたくさんあるから、おかわりしていいよ」
「まじかよ、やったー」
「ちょっと、あんまりいっぱい取りすぎないでよね」
「はいはーい」
「ははっみんな、美味しそうに食べてるね」
「そうだな、っでソルトお前的にはカレーは何点だ?」
「百点、正直これほど美味しいとは思ってもいなかった」
「だよなー、誰かが言ってたが本当に飲み物みたいだぜ」
「私もそう思う」
「ソルト君、私、毎日作ってあげるよ」
「えっ、毎日はいいけど、作ってくれるのは嬉しいな」
「えっ、うん、ふふっ」
「?」
「あっ、そろそろデザートの時間だぜ」
「あっ、本当だ。プリンだっけどんなだろー」
「おー、プルンプルンしてるな」
「うん、プルンプルンしてるね」
「おーこのデザートうめー」
「甘くて美味しいね」
「あっ、もうなくなった」
「俺もだ、私も」
「「「………もう一個食べたい」」」
「あーみんな、今日の休み二人いるから二つ余ってるよ」
「「「………」」」
「「「殴り合いか?」」」
「いやそれは、だめだよ、先生どうしたらいい」
「そうだなー、あれがいいんじゃないか」
「あれ?」
「まえ全校集会で、校長先生が言ってたやつ」
「あー」
「「「じゃんけん!」」」
「よっしゃー、ぜってー負けねー」
「みんなかかってこい」
「はーい、食べたい人前に来てー」
「えっとー、一三人か」
「まぁ、なんとかなるか………それじゃっ、手を出してっ」
「最初はっ」
「「「グー」」」
「ジャンケーン」
「「「っぽい」」」」
「あいこでしょっ」
「あいこでしょ…」
「あいこでし……」
「あいこで…」
「よかったね、ソルト君とヘリスギ君」
「うんっ」
「今日、配膳したからだな」
「それもあるかもね」
「勝利の味を噛みしめるぜ、……うめー」
「…あっ、シュカちゃん少し食べる?」
「えっ、いいの?」
「うん、今日みんな頑張ったし」
「ありがとう、嬉しい」
あっ、今僕が一番うれしい顔をしてくれた。
……それと。
「ヘリスギ君」
「おっ、おう。へ、ヘルス、食べるか?」
「!うんっ、食べるー、ありがとう」
「お、おう」
「ふふっ」
僕とシュカは顔を見合わせた。
これが、僕らの日常だ。
‐‐‐
「―――みんな美味しく食べてくれてるかな」
こっちの世界に転生してから約三十年。
俺には子供たちの先生をになって笑顔にする、という前の世界の夢があった。
俺が転生してきたこの世界はもう、壊滅寸前だった。
もちろん誰も笑顔じゃない。
子供なんかほぼいないに等しかった。
俺は、この世界を救いたいと思った。街の人と協力をしていろんなことをしてきた。
魔法もあったから想定していたよりもはやく復興ができたと思う。
それに伴い子供が増えてきた。
しかし子供は笑っていない。
そこで俺は、日本のようなみんなが行ける学校を作った。
そして笑顔にするという夢がかなった。
そして、改めてこう思う。
やっぱり子供の笑顔が絶えない日常が一番いい、と。




