item2 虚空の額縁(Ⅶ)
続きです
ちょっぴりショッキングな表現があります。ご注意ください。
――真っ白な嵐の向こう。最初に見えたのは、柔らかな陽光だった。
広大な牧場。風に揺れる草の匂い。そこには、幼い少女の笑い声と、それを何かしらの装置を使って収めている人物の温かな眼差しがあった。幸せで、どこまでも穏やかな日常を『彼』は映し出している。
『みんな、ぼくを、みてくれているよ!たのしいな!もっと、あそぼうよ!』
(よし!今その詰まってる魔力を繋ぎ直してやる。じっとしてろよ……)
アルドは口角を上げ、輝く画面の端――魔力が淀んでいる接合部へ、迷わず『鉄筆』を突き立てた。
だが、その瞬間。
――ガガッ、バリィィィィィィンッ!!!
鮮やかだった牧場の緑が、一瞬で禍々しい反転色へと塗り潰された。
あまりに急激な色彩の変貌に、アルドの目が驚愕に見開かれる。
「……っ!? なんだ、この色は……うわあああああああッ!!」
逆流してきたのは、心臓を直接掴まれるような、冷たくて暗い『終わり』の記憶。
視界を覆うのは、不気味に滑らかな、正体不明の透明な袋。
大好きだった家族の手を離れ、暗い荷台でガタガタと震える孤独。
『……もっと……あそこに、いたいよう……。どうして? ぼく、なにか……わるいこと、した?』
答えのない問いを遮るように、巨大な鋼鉄の刃が迫る。
バリバリ、と不快な破壊音が、アルド自身の肉体を噛み砕くような疑似的な激痛となって全身を走った。
「ぐっ……!あぁあっ……!!」
『――な、んで…………っ、いたい、いたいいたいいたい……っ!!』
思い出ごと粉々に砕かれる絶望。
その感情が実体化した魔力の暴風となり、アルドを正面から殴りつけた。
「が、はっ…………!!」
「あ、アルド氏ぃっ!」
アルドの体は数メートル後方まで吹き飛ばされ、床に激しく叩きつけられる。
画面は再び、死んだように真っ黒な「虚無」へと沈んだ。
今日はちょっぴり短め!
というのも本来はバカ長いからね。区切りのいいとこがここしかなかったの……




